86, シャルルのローブ
「シャルルさん!!」
ハーディは買い出しの袋片手にそのローブへ近付いた。
「え、ハーディ?」
「やっぱりシャルルさんでしたね!!」
黒色の布に金色の糸で何かが刺繍されたローブ。その中に居たのは予想通り、驚いた顔をしたシャルルだ。
(いつも思ってますけどこのローブ、暑くないんですかねぇ。)
シャルルは基本的にサボるとき、お店に来るとき、その他諸々の人の目に触れるとき、ローブを被る。
(まぁ、それも本人が覚えてたらに限定されるらしいですが。)
ハーディが見たことのあるのは、この黒ローブの他には焦げ茶のローブとくすんだ赤色のローブだ。全部に同じような刺繍がある。
(確かこの刺繍、シャルルさんが縫ってるって以前に教えてもらったんですよね〜。)
「どうしたの?」
「そのローブ、暑くないんですか?」
「うん。この刺繍の中に温度調整の魔法陣を組み込んでいるから。雪国や火山とかに行かない限りは大丈夫。」
「それ魔法なんですね!!」
「そう。魔法。気になる?」
「はい!!」
「わかった。」
そう言うとシャルルは腰に巻いているコンパクトな茶色の鞄を漁り始めた。
(ん?)
そしてその中から焦げ茶色のローブを取り出すと、パッと広げてハーディに被せた。
「え?!」
「?どうかした?」
「それ、何処から出てきました?」
「この鞄の中から。」
「明らかに鞄に入る大きさでは無いですよね!?」
「魔法の鞄だから。」
シャルルはハーディの反応を見て楽しそうに笑うと、パッとローブを広げてハーディに被せた。
「あ、肌寒さが急になくなりました。」
「でしょ?」
「すごいですね、コレ。」
「魔法騎士団のローブにも同じのがあるから、気になるなら今度団員に見せてもらえばいい。国に支給されるものはコレより性能が劣るけど、見応えはあると思うよ。」
「はい!!見せてもらいます!!」
(国に支給されて性能が悪いなんてことはない気がしますけど。)
ハーディはシャルルの実力の凄さを再確認しつつ、自分には大きすぎるローブをそっと脱いだ。
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