↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
59/172

58, 過去との決別

「アリアちゃんの妹に会えると思わなかったから、家に置いているんですけどね、アリアちゃんから家族にって、預かっていたお手紙があるんです。」

「⋯ぇ。」

「何だかんだ言いつつ、こうなる事を予想していたんでしょうね。」


ハーディはその手紙をもらったときのことを思い出した。


「妹同士、仲良くするんだよって言われたんです。それだけじゃない。私は先に生まれ変わるからあなた(アメリア)のもとに戻るまで待っていてって、伝言まで頼まれて。」


家の場所も、家族の名前も教えてくれなかったのに、無理難題を押し付けてくれたものだ。でも、それさえも、実に彼女らしかった。


「そういえば、そのときは何のことだって思ってたんですけど、復讐はするなよとも言われていたんですよね。」

「⋯お姉ちゃん。」


アメリアは、涙を浮かべるとその場に座り込んだ。


「ずっとこの言葉を伝えに行けなくてごめんなさい。貴女を見つけられなくてごめんなさい。早く会えなくてごめんなさい。」

「⋯ぅ、ぁ、ぁぁ。ね、ちゃ⋯、っぐ、お姉ちゃん。うわぁぁぁぁぁぁ。」


ハーディはアメリアを抱きしめた。


「この教団のことを忘れようと思っても、私たちはきっと忘れられない。忘れるには、失ったものが多すぎるんです。」

「あぁ、ぁぁぁ⋯」


ハーディはアメリアの背中をさすった。


「でも、前を向くべきなんです。」


それは、アメリアに言っているように見えて、自分自身に向けた言葉でもあるのだろう。


「私たちは、"今"を生きているから。アリアちゃんや、他の亡くなったたくさんの子どもたちが、迎えられなかった今日を生きているから⋯。」


私達を覆うように、暖かい気配が近付いた。ぎゅっとその気配に抱き締められる。


「⋯。」


アメリアの肩に、ポタポタと水滴が落ちた。それが自分の涙だと気づいたのは、少ししてから。気づいた途端に、涙は止まることがなくなって、ハーディは、アメリアを抱きしめる力を強めた。


「こんなところにいても、気持ちが暗くなるだけです。外に、出ていきませんか?一緒に。」

「⋯ぅん。」


ハーディは立ち上がると、アメリアへ手を差し伸べた。


○△○       その後        ○△○


目的があったとは言え、純白の月に入団していたアメリアは詳しい事情などの聞き取り調査を受けることになり、私たちとは一旦別れた。


「シャルルさん。さっきは私たちを抱きしめてくれてありがとうございます。」


ハーディは横に立っているシャルルにお礼を言った。


「は?何のこと?」

「え?アメリアちゃんと私が号泣合戦してた頃です。近くに居たのはシャルルさんだけでしたし、シャルルさんなのかなって思ってたんですけど。」

「俺は何もしてついないよ。二人に気づかれないように教主含めその辺りに居た信者を捕まえたりはしてたけど。」

「え?」

「え?」


(じゃあ、あの温かい腕は誰のだったんだろう。)


でも、決して悪いものではなかった気がする。


「⋯ありがとうございました!!」


ハーディはその存在に聞こえるようにと祈りながら、声を張り上げた。


「帰りましょう、シャルルさん。トトの実のジュースを今度こそ飲んでもらいますよ!!」

「⋯わかった。いくらでも飲むよ。」


ハーディはシャルルを手招きした。シャルルも、目を瞬かせたあと、笑って彼女に近付く。そんな2人を見守るように、廃墟と化した建物の前で、女性は微笑んでいた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

純白の月編終了です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。