56, 教団の主
「何で⋯。」
(13年前に、捕まっていたんじゃないの?)
「ハーディ。お前のせいで何人が犠牲になったと思っている。」
「⋯ぇ?」
「熱心な信者達が、何人私を庇ってこの国の軍隊共に捕まったと思うか?答えてみなさい。」
「⋯仲間を身代わりにしたのか。クソだな。」
シャルルは低い声でそう言った。
「ハーディ、こっちへ来い。」
「⋯。」
(嫌だ。嫌だ。)
男が一歩踏み出せば、その度にハーディは一歩後退った。
「⋯。」
「アリア。」
(⋯え?)
シャルルとハーディの前に、突然女性が現れた。金髪は頭でおだんごにされていて、服は長めのワンピース。知っている姿は違うけど、その声をハーディが間違うことはなかった。
「アメリアちゃん?」
「アリアという女の子を知っている?」
彼女はひたすらに目の前の男を見据えていた。
「知らないな。」
「嘘を付かないで。お前が攫って、殺した子供の名前なのよ。」
「そんな子どもは山のようにいる。」
「私は、お前をずっと探してきた。殺された姉の、復讐のために。この教団に潜り込んで、下っ端になって、ずっと。」
「だから何だ。」
「私に殺されて、教主サマ。」
「アメリアちゃん!!」
アメリアが持っていた鞄から包丁を出して、男に向かって走って行った。
「駄目だ。」
「離してよ。」
彼女を止めたのは、シャルルだった。まず、いつかグリエノールさんが使っていた魔法で教主の男を拘束する。そして、包丁の刃じゃない方をピッとつまんで、彼女の肩を押さえた。
「こいつは、国の法で裁かれる。」
「離して」
「今こうして、何の苦労もなく捕まえられるような奴のために、なぜ君が手を汚さなければならないんだ」
「お姉ちゃんを殺したこいつも、殺さないと」
「ここで殺して終わりより、罰を与え、生き地獄を味わわせることができる。」
「⋯。」
「こんな奴が、一瞬で死ぬなんて勿体ないだろ?苦しんで、苦しんで、死にたくても死ねない。復讐するなら、長い時間苦しめないと。」
「⋯。」
「アメリアちゃん。」
ハーディは一歩前へ出た。
「私、アリアさん、あなたのお姉ちゃんを、知っているの。」
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