50, イヴとシャルル
しばらくイヴかシャルル視点になると思います。
「ハー、ディ。嘘、何で⋯。」
イヴは玄関に座り込んだ。目の前には、ハーディによって閉められた木の扉がある。
(守れなかった⋯。ハーディは、こうなるって分かってたの?)
役目を果たせなかった。友達を救えなかった。胸を占めるのは強い後悔。
「何で⋯、あいつらが、アレって、何で。」
「こんにちは〜、ハーディさ〜ん!!ってあれ?君、ハーディさんのお友達っすよねぇ。何でそんな所に座ってるんですか?」
「⋯は?」
「君イヴさんだっけ?ハーディは?どうしたの?」
扉を開けて姿を現したのは、ハーディが消えたことを言うなと言った魔法騎士団の団長と、フルーツを籠に沢山詰め込んでジャンプしてるなんか陽キャな人。
「⋯、あんた達、何してるの。」
(⋯あぁ、八つ当たりとか、最低すぎるな、私。)
「ハーディは?って、何それ。」
「⋯ハーディに、何かあったのか?」
黒髪の団長の纏う雰囲気が変わった。ピリピリとした緊張感が辺りに立ち込める。
(流石は黒薔薇の騎士様、ねぇ。)
黒薔薇の騎士とは、シャルルの二つ名である。ハーディは噂に疎いからシャルルという本名しか呼び方を知らないが、逆に、世間一般の人は本名を知らないから二つ名で呼ぶのだ。
(でも⋯)
「全て、遅いよ。」
「⋯?」
「全てが終わった後に現れても、ハーディは、助けられない。」
(言わないでとか、私に守れない。)
心の中でハーディに謝りながら、イヴは口を開いた。
「月の聖女」
「⋯!?」
「⋯?何ですそれ。」
(この顔、黒薔薇の騎士は、カルト教団『純白の月』一掃作戦の関係者だったのか。なら、黙って上に報告しても必然とバレてたか。)
イヴは嗤った。
「一掃作戦なんだから、ちゃんと一掃してくれないと困るわよ。処理漏れが居たなんてね。」
「何を言って」
「ヨハン。」
黒薔薇の騎士は横の男を一瞥もせずに言った。
「準備させとけ。」
「⋯っ、了解っす。」
準備だけで伝わったのか、近くの机に籠を置いて男は走り去って行った。パタンと扉が閉まり、
「⋯⋯で、何?」
「⋯っ、ハ、驚いた。黒薔薇の騎士様にも嫌悪感とかあるんですね。すごい顔。ハーディには見せられない。」
「早く要点をまとめて話せ。何で純白の月が出てくるんだ。月の聖女がハーディと何の関係がある。」
「⋯。どこから話そうかな。」
ここまで読んでいただきありがとうございます。




