4, 私は欠陥品なので。
「失礼する。」
突然体格の良い2人の男の人が店の中に入ってきた。
「このあたりに怪しい人は居なかったか?」
(あなたたちが十分怪しいです〜!!)
ハーディはニコニコしながら答えた。
「いえ、怪しい人は居ませんでしたよ?」
(追われている人は居ますけど。)
「そうか、失礼した。今度お詫びにここのジュースを買いに来る。⋯、持ち帰ったりはできるのか?」
「そうですねぇ、お持ち帰りに使う容器の問題が解決したら始めようかと考えていて⋯。」
カウンターの横に大きな窓があるから、外からも買ってもらえるようなシステムを作りたいなと考えているのは本当だ。
(だけど、周りのお店がやっている作戦が私にはできないのよね。)
この世のものは全て、少からず魔力というものを持っている。
だから、魔力を使った様々なものが私たちの生活を支えている。
つまり、世間一般が使うお持ち帰りの皿なりコップなりは、魔力を集めて固めただけのお皿だ。なんなら特訓を積んだら誰でも作れる。そして、それらは一定時間が経過すると勝手に溶けていくのだ。だからゴミが出ない。
(私は何故か魔力を持っていないし使えないから自分で作る方法が使えないんですよね。)
魔力こそ至上とされている世界なのに、魔力が無い。
皆持っているはずのものを持っていない。
(一体どうするべきか。)
「そうか。」
「では、失礼する。」
男性2人はそう言うとお店を出ていった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。