5, お偉い人でした!!
「⋯、あいつらもう居ないか?」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
ローブの男性は周りを見回しながらゆっくり立ち上がった。
「失礼した、俺ももう行」
「私、絶対安全なところを知っているのですが、良ければそこへ行きませんか?」
「?そんなところを俺に教えてくれるのか?」
「えぇ。」
(この人は憲兵さん達に預けるべきだ。こんな細い人があの体格の良い人達に勝てるわけがない。)
ハーディはローブの頭の部分を見あげた。
○△○ ○△○
「ここ、道複雑過ぎないか?方向感覚は良いはずだがどの方角へ歩いているか分からなくなった。」
「ここは王都で一番道に迷う人がいる道ですからね。地元の人しか使わないです。」
「へぇ~。」
お店はイヴにも言って一旦閉めてきた。
そして私達は今、憲兵さんの詰所へ向かう1番の近道を通っている。
「あとはここの道をまっすぐです。」
「ありがとう、本当に助かる。」
(この男の人、本当にどうして追われていたんだろう。途中の会話で借金しそうなタイプでは無いのは分かったし。)
そこまで考えて、ハーディは首を横に振った。この人とは憲兵さんの詰所でお別れなのに、余計な詮索はしてはいけない。
突然道が開け、明るい光が辺りを照らした。
「ここです。憲兵さんの詰所!!」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯確かに、絶対に安全だね。」
盛大な間の後、ローブの中からどこか呆然としたような声が聞こえた。
「どうかされまし」
「団長!!」
「確保!!」
すると突然、先程店に来たあの男性たちがローブの人に飛びかかった。
「え?!どこから来たんですか?!」
「だぁ~もう、凱旋を秒でサボらないでくださいよ団長!!俺が代わりにローブ着て団長のマネしたんですからね!!」
「本当ですよ。ってか、今日はどこに隠れていたんですか。全く見つからないし」
「あの、団長って?」
ハーディは2人にもみくちゃにされている男を見つめた。彼は追われていたのではないのか?
「あら、君は?」
「え、団長をここまで連れて来たのか?まさか?」
「ってか、さっきのジュース屋の子じゃないか。」
「ジュース屋の店員が脱走の天才を連行してきた。」
「あの、本当にどういうことですか?追われていたって聞いたから憲兵さんに保護してもらおうと思ったのですが」
「⋯まさか団長、騙したんですか?」
「騙してはないよ。実際、俺はお前らに追われていたしね。でも、流石に申し訳無くなってきた。」
男性は2人の男の拘束を簡単に外し立ち上がった。
「俺は、魔法騎士団という団の団長をしているシャルルという。迷惑をかけた。」
ローブを細い腕が外し、現れた容姿にハーディは目を瞬かせた。
(綺麗な人だな。)
まず目に入ったのは、頭の周りはふわふわしているのに、伸ばしている髪のほうはストレートという不思議な癖を持つ黒髪。
次に、ジトッとこちらを見ている猫目。
(この国にも黒髪の人が居たんだ。)
黒髪はこの国で、いや、多くの国で忌み嫌われる。昔は黒髪というだけで殺された人がいるらしい。
今は多少は無くなったとしても、黒髪差別があるのも事実。
「⋯、キレイですね。」
「は?」
「団長が口説かれてる。」
「世界が壊れるぞ。」
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