34, 平常運転
「この、アホシャルル!!」
「あ、グリエノールさん。こんにちは。」
「こんにちは、副団長。」
「呑気に挨拶してんじゃねぇぞクソシャルル」
あの鐘の音から約30分後、バタン、と店の扉が開け放たれ、眉間に皺を寄せた副団長が店に入ってきた。
(シャルルさんが言った通りだ。今日は団長じゃなくて名前呼び。)
『アイツは変な所真面目だからね。凱旋前に街の中に騎士がいるってバレないようにこの日だけは呼び捨てなんだよ。律儀だよね。』
「何でここってわかったの?」
「お前はなんで分かったより先にごめんなさいを言えるようになろうなぁ?」
「ごめん、ムリ。」
「さぁ、今回こそ凱旋に来てもらうぞ。」
「あ、やっぱり⋯」
ハーディはシャルルを見た。再会したときにもしかしてと思っていたこと。
(サボりだったんだなぁ。サボってまでここに来てくれたのは嬉しいけど。)
「凱旋をサボるとかバレたら間違いなく終わりだぞ。替え玉作戦が何回も通用するとは限らないんだからな?」
「⋯。」
「⋯。」
シャルルとグリエノールは黙って見つめ合っている。
⋯⋯⋯、見つめ合っている。
「あ、あ〜、私そろそろ凱旋の場所取りしなくちゃいけないな〜、全員揃った魔法騎士団の皆さんを凱旋で祝いたいな〜?!」
(何やってるの私?!)
「凱旋お祝いしてくれるの?」
シャルルはこちらを見て首を傾げた。
「そりゃあそうですよ。私だって団長専属連行係ですし。初めて帰還の凱旋を見るので楽しみです。」
「へぇ~、初めての凱旋で一番見たい騎士団は?」
グリエノールはあからさま過ぎる私の作戦を察したのか、そう問いかけてきた。
「魔法騎士団ですよ、当たり前です。」
「あぁ、なんてこった。シャルルはここでサボるらしいな。せっかくのハーディさんの凱旋デビュー?なのにな〜。」
「⋯二人とも、俺がそんなんで凱旋に出るって思ってるの?」
「で、でも、凱旋にみなさんを見に行こうとしているのは本当ですよ!」
「⋯はぁ。」
シャルルはため息をついて立ち上がった。ローブを被り直すと扉へと向かう。
「?」
「何してるの?行くんでしょ?凱旋。」
「騎士が凱旋に出るのは本当は当たり前なんだが、サボリを中断して自分から戻ろうとしてるこいつの成長を見て感動してしまう俺がいる。」
「頑張って手を振りますね!!」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
本日2話目です!!




