13, さぁさぁ、飲んでみてください!!
「ぉ、おはようございます?」
「あ、昨日の方ですねー。また来てくださりありがとうございますー。どうぞこちらへー。」
翌朝、ハーディは今の季節に販売しているジュースのサンプルを持って、再び工房へ向かった。
「えっと、今の季節は、ぶどうジュース、オレンジジュース、メロンジュース、の辺りを主にやっていて、仕入れの時、他に良さそうなフルーツもあったら、たまにそれもジュースにしたりしています。」
「了解しましたー。では、それを、一口はこちらのコップに、もう一口はこの持ち帰り用のコップに入れてくださいー。」
「はい!」
(お願いします。どうか美味しいままでいてください。)
ハーディは謎に震えそうになる手で、ジュースをどうにか注いだ。
「お願いします。」
「じゃあー、失礼して⋯。」
そう言うと彼はまず、普通のコップに入ったジュースを飲んだ。
「普通に美味しいですねー!!これ、妹が好きかも」
「なら、今度お店に飲みに来てくださいよ。」
「できればお持ち帰りにしたいですねー。」
そう言いながら彼は、もう一つのコップに手を伸ばした。
「⋯っと、これはー?」
「⋯、どう、ですか?」
ハーディは彼の一挙手一投足を見逃さない勢いで彼を見る。彼は何かを考えるように上を向くと、途端に立ち上がった。
「私、アルトと申します。」
「へぁ?あ、私はハーディです。」
「ハーディさん。ジュースとコップの相性が良さそうなのを確認しました。なので、具体的な交渉を、我々魔力紡ぎの糸工房としてくださいませんか?」
「ウソ!良いんですか?いや、逆にここでできませんって言われてもどうしたら良いか分からなくなってたから嬉しいんですけど⋯。」
「ハルカゼ、誓約書を持ってきて。」
アルトが突然扉の奥に向かって叫んだ。すると、パタパタと可愛らしい足音が聞こえて、2人の子供が部屋に入ってきた。
「なんだー。ピロット君も居たんだー。」
「こんにちは。」
「にーにー!!紙さん、持ってきましたぁよー!!」
「ありがとーねー。」
(口調が独特なのは、この家族の特徴なのかな?)
ハーディは仲の良さげな兄と妹を見ながらそう思った。
そしてその後、ハーディは無事に魔力製のコップを卸してもらえる契約を結んだのだった。
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