9, さぁ、行きますよ!!
「これ、美味しい。」
「ですよね!!このオレンジを提供してくださっている果樹園の方々がとても大切に育ててくださったので、いつも甘くて美味しいんです!!すごく簡単に言うと、私はそれを絞って皆さまに出しているだけなので、本当に凄いのは果樹園の方々なんです!!」
「はぁ、そうなんだ?」
「ところで⋯。」
周囲を見回し、お客さんが彼以外居ないのを確認して彼女は口を開いた。
「そろそろ詰所に戻らなくて大丈夫ですか?」
「⋯。」
少しは悪いと思っているのか、ジリジリと視線をそらすシャルルにハーディはくすり、と微笑んだ。
「また副団長さんたちに怒られちゃいますよ?」
「隠れている敵を探す訓練になるからいいでしょ?」
「駄目です。それならそうと皆さんに伝えないといけないでしょ?」
「⋯。」
「だから⋯」
ハーディはそっと隠し持っておいたソレを取り出した。
「な、縄?」
「ちょっっっと、手荒な感じになりますけど、ごめんなさい。」
「ニコニコの笑顔なのに目が笑ってないよ!?」
「さぁ♪」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ハーディがシャルルを縄で連行していたのを見ていたある人は2度見し、ある人は失笑し、ある人は言葉を失ったらしい。そして女性に縄で連行される男性の話を各地で聞いた魔法騎士団の面々は、
『見たかった!!』
っと、その場に泣き崩れたらしい。
○△○ オマケ ○△○
「で、またまた連れてきてくださったと。」
「なんかこの縄の結び方変。全然解けないんだけど。」
「団長はそろそろ本当に反省してください。一般人に2度も連行されてくるなんて⋯。というかなんで声枯れてるんです?」
「叫びすぎた。」
「アホですか?」
ここまで読んでいただきありがとうございます。




