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優柔不断

王子のお相手はまさかのコーコ?

失敗を重ねもうダメかと思われたが逆にそこが王子の目に留まったらしい。

奇跡が起きた。信じられない。

揺れに揺れ動いた王子の心がコーコに傾きかける。

これでいいんです。これで付き添った甲斐があると言うもの。


「うむ時間だ」

優柔不断で決めきれない王子に対して痺れを切らす国王様。

もうあと少しというところで時間切れ。

パンパン

パンパン

これにて終了となった。


王子のお相手は後日改めてじっくりと決めるらしい。

随分とのんびりしているみたい。

違和感があるもののこれも王子のこだわりだと思えば気にする必要もない。

王子のお相手選びなので慎重になっている。

あーあコーコが選ばれて欲しかった。

そうすれば付き添いの私も優遇されたでしょう。


一泊してから帰ることに。

それまでは自由に過ごしていいらしい。

もう国王様や王子の目はない。好きなだけ飲み食いができる。

この上ないチャンス。

三日分の食糧も尽きかけている。できるならお食事の残りを持って帰れたらな。

でもそんな恥ずかしい真似はできない。

皆に笑われるだけでなくお婆様からお叱りを受ける。

これもすべて家族を思ってなんだけどな。ダメでしょうねきっと。


「あんたは大げさなんだよ! 田舎に引っ込めば何とかなるさ」

お婆様は私の涙ぐましい努力を無視して断言する。

そう言うところはなぜかポジティブだから理解に苦しむ。

どうせ引っ込んだら自給自足の生活を送ることになる。

それは元令嬢として耐えがたい屈辱。

だから何としても爵位を得る必要がある。

どんな爵位もないよりはマシ。


「ちょっといいか」

またしても王子と二人っきりになる。

護衛もお目付け役もいない中で私はどうすればいいのか。

一度ならず二度までも。これは神のお導き?

もし復讐を果たせと言うのでしたら躊躇いはしません。

王子にはそれだけの恨みがある。


「王子。コーコはお気に召しましたか? 」

当たり障りのない話をする。

まさかこの王子は私に気があるのでは? だから選べなかった?

それならすべてが納得いく。

いや…… まさかそんなに都合よくないか。

王子とは言えお父様を追いやった張本人。恨みこそあれ憧れなどない。

あるはずがないのです。そこを誤解しないでもらいたい。

「実はお前たちに頼みたいことがあるんだ。詳しいことは明日にでも」

どうやら王子は何かお考えがあるらしい。別に私には関係ないですがね。


「どうしたのクレーラ? 」

王子とこそこそ話していたところを見られていたようだ。

「ううん。大丈夫だよコーコ。きっと振り向いてくれるよ」

いつの間にか王子は姿を消した。どうやらまだ秘密にしとけと言うことらしい。


翌日早朝。

国王様への挨拶を済ませ帰途に就く。

二日も留守にしたので早く帰ってパンキーを安心させてあげなくては。

お婆様も首を長くして報告を待っているでしょう。もちろんお母様たちも。

ただ残念なことに王子に気に入られることはなかった。

内密な話はしたもののそれは決して私を気に入ってではない。

恐らくコーコに関する何かでしょう。私は彼女のために付き添った訳だから。


「ではごきげんよう」

こうして宮殿を後にする。

馬車が四台。順番に宮殿から離れていく。

私たちはその一つに乗って故郷へ戻る。


結局王子の優柔不断でお相手を選べなかった。

次回も招待を受けているがこのような事態が続くなら私は同行を拒否したい。

何と言ってもこの王子への強い思いがない。

お父様を追いやった恨みがあるだけ。いつでも復讐する機会を窺っている。


でもまだですよね。それは我々が引っ越す直前。

没落して田舎に引っ込む時にでもこの手で果たす。それが私の役目だと思ってる。

没落した者にまで手が及ばないだろうと言う浅はかな考えから。

その時までは決して手を出さない。強い恨みの感情を隠して生きて行こうと思う。

もちろんそうなる前に爵位を得て一族を復興して見せる。

お父様の失態を私の手で取り返す。それを胸に生きて行こうと。


馬車に乗ると違和感。まさかの先客が。


               続く

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