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異世界で自由な子育てを夢見れるか  作者: tinalight


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9-34.実演の準備2

アリアと念話で計画を立てたので、ゲーム大会の責任を教団に取って貰おうかな?


「あの……。私からの発言を許可頂けますでしょうか」


 と、アリアが切り出したよ。上手く誘導してくれると良いね。


「ええと……。そちらは確か人族のアリアさんと申したか?」


「はい!発言しても宜しいでしょうか?」


「うむうむ。ステラ様の方は実演して頂く都合はあるが、ほぼ支払い条件に目途がついておる。後はそなたの件のみだ。何かあれば申すが良い」


「はい。ステラ様も私も魔族の国に観光で立ち寄り、たまたま参加したイベントで大金を得る機会に恵まれました。ですが、このような会見の場の状況から察しますに、魔族の国にとって重大な事件だったのではございませんか?」


「うむ……。まぁ、カジノの賞金としては多額であり、種族間や国家間の交渉に発展するに至った。稀なことではあるが、国としては大きな事件であるといえよう」


「カジノの景品に国を賭ける事情があったということでしょうか?」


「むむ?それは看過できない発言であるが?」


「ステラ様と私がこのままカジノの不払いを不問にして旅に出れば全く問題無いのですが、それぞれの種族の金貨への交換を求めることを公にしたとしますと、不払いの問題はカジノの運営の問題では済まず、魔族の貨幣の信用がなくなります。これは国家破綻の危機であったと思いますが、回避策はおありでしたでしょうか?」


「であるからして、今、この様に交渉の場を設けている訳だが?」


「そうしますと、私個人の賭け事の支払いは人族の金貨でお支払い頂いても問題ないということでしょうか?」


「困るのはそちらであろう?大量の金貨を抱えては、旅を続けることも難しかろう?それに大量の金貨を狙って多くの盗賊が命を狙いに来るやもしれぬ。双方にとって良い解決策ではないと思えるのだが?」


「養父が商人をしておりますので、船で運ばせることが可能です。

 連絡を取る間は身を隠して待つ必要がございますが、そこは夫なり、ステラ様にご支援頂くなり、腕の立つ冒険者を雇うことで対応できると考えます」


「わ、わかった。認めよう。

 今回の事態は国家破綻の危機にあり、その回避のために皆様に同席頂いている。それがアリアさんの言いたいことであるか?」


「いいえ。私が気にしているのは、『第二の私が現れない様に対策をすべきでは無いか』ということです」


「それはどういう意味であろうか?」


「カジノの運営に係るルールに不備があるにも拘わらず、国がその欠点を無視して運営を認めている様に思われます。何らかの責任が発生すると考えます」


「むむ?ルールに不備があるのか?

 つまりルールの抜け穴を突いた行為により今回の勝利を得たということであろうか?」


「いいえ。ゲーム自体には問題がありませんが、運営に不備があったと考えます」

「んん……。分かり易く言うと?」


「ゲーム大会で引き分けたら繰り越して、次の試合に2倍で賭けることが可能という仕組みに問題があります」


「ふむふむ。あのゲームはほとんどのゲームで引き分けが生じず、もしもに備えて賭け事のルールに穴が無いように設けた特例ときいていたが?」


「その『ほとんど起こらない事態』が偶然起こってしまったため、今回の事態を引き起こしたと考えます。つまり、そのルールを設けた人物には今回の事態に見合う責任を負って頂く必要があるとおもいます」


「んん……。

 ああ……。

 確か、カジノへあのゲームを導入し、ゲーム大会の提案とルール作りはメインの投資元である教団からの提案であったが、如何であろうか?」


 やっと、今回の一連の事件が教団の指示に問題があったと誘導できたね。当然、教団側からはルールにもゲーム大会にも問題が無いって言い張るはずだけど……。

 アリアに勝てるかな?


「陛下、私からお答え申し上げます」


 と、教皇と言われる人が出てきたよ。

 やっぱり、魔族にの教団を作ったのはこの人で、異世界のいろいろを持ち込んでる人もこの人の可能性が高いね。


「うむ。皆に分かるように説明をして欲しい」


「はい。

 先ずコマを64マスに埋めて完結するというゲーム自体は私が考案し、それを魔族の国へ普及させました。皆様にとても馴染みのある内容であると思います。

 そして、国民の皆様に広く普及し、ゲーム大会が過去に何度も行われてきた中で多くの勝者が生まれました。その結果、知的好奇心が高く、思考能力の高い優秀な人材を国中から集めることに成功しました。


 そのようなゲームとゲーム大会に不備があったと?

 そして今回たまたま起きた事態に対して、次また起こるとおっしゃるのですか?」


「アリアさん、その様な訳で魔族の国としては、布教と共にゲームも広めて頂いたことに対して教団の幹部の方達に感謝している。

 であれば、偶然起きた事態に国として責任ある対応をすべきだと考えている。

 宜しいだろうか?」


「私はある条件が成立すれば、ゲームの結果を操作できる可能性を危惧しております」


「アリアさん、例えばだが、予め勝敗を予測できるように、事前に対戦相手同士で打ち合わせをしておくような仕込みがあったと、そういうことであろうか?」


「事前に勝敗の打ち合わせがされてなくとも、条件が整えば勝敗を支配できると申しております」


「アリアさん、今回は非常に稀なことが起きたと思っている。

 対戦相手との波長が合い、偶々似た様な手を重ねた結果として引き分けが繰り返されたとしよう。だが、あの対戦の組み合わせ以外で似た様な事象は過去から起きていない。

 偶然と捉えて構わないと思うのだが?」


「わかりました。ステラ様同様に、私も何らかの実演を求めらていると認識しました。

 ゲームに関しての私の理解と実行力が正しかった場合には、国家破綻のきっかけを作った方達の責任について、私が処分を決めることで宜しいでしょうか?」


「アリアさん、少し待って欲しい。

 もし、この後の実演で偶然が起こったとすると、教団の幹部にどの様な処分を望んているのだろうか?」


「国家破綻の危機に導いた責任は、関係者全員の連帯責任と考えます。

 魔族の国に存在すべき人材とは思えませんし、今度は国外から他の種族を率いて魔族の国を狙うかもしれません。

 あるいは人族やエルフ族に逆恨みをしにくる可能性がございます。

 そうであれば、処分の方法は1つに限られると思います」


「ま、まぁ、本当に偶然ではなく、再現したとなるとアリアさんが逆恨みされる懸念は永遠に残ってしまうな。

 うむ……」


 完全にアリアの間合いに引き込めてるね。

 ただ、教皇や枢機卿が何も発言をしてこないのは、奇跡が2度起こらないと信じているのか、あるいは別の根回しによって既に手が打たれているのか……。もし罠がありそうな雰囲気だと、ちょっと探っておいた方が良いかな?


「陛下、そしてアリア殿、私からも発言を宜しいでしょうか?」

「うむ。私は公平に場を見ているつもりだ。教皇もなんなりと弁明をするが良い」


「今日、この場にこれだけ多くの重鎮が揃っており、そして高名なエルフ族の妖精術師がいらっしゃる。もし、この中の誰かと内々に結果を操作出来る様に事前に打ち合わせがされていたとすると、私としては公平性を欠くと思います」


「うむうむ。それで?」


「アリア殿の言う条件がどの様な物か伺いたい。そしてその条件が緩く、私や枢機卿との対戦が認められるのであれば、実演に参加させて頂きたい」


「なるほど。自分の命を他人の偶然に委ねるつもりはないと。確かに弁明ではなく、自らの潔白を示すことが出来る最良の方法であるな。

 アリア殿、教皇の話を受けることは可能か?」


「はい。

 条件に付いて明示してしまうと、悪用されたり、あるいはその条件設定を外される可能性があるので、条件を提示することはできません。

 ですが、そちらにいらっしゃる教皇様と枢機卿様を実演の対戦者に入って頂くことは可能と考えます」


「ふむ。

 確かにこれだけの人数の前で特定の条件を明示することは大きなリスクとなるな。アリア殿の考案した条件を隙の無い手法に高めてゲーム大会に参加されることを考えると恐ろしい話ではあるな。


 うむ……。

 全面的に教皇の提示した条件をアリア殿が一方的に呑むのは、ある意味で不公平ではあるな。

 では、アリア殿、私からのお願いであるが、教皇と枢機卿とは別に、我々魔族の王族の中から対戦者を選び、実演の相手に加えて頂くことは可能であろうか?」


「はい、構いません。ですが、対戦者が増えるに従い、条件が外れる場合も増えますので、例えば5人と対戦して、『5人全てと引き分けろ』という結果を示すことは出来なくなる可能性がございます」


「うむうむ。そうかそうか。

 アリア殿が5人の対戦して、そのうちの一人でも条件を満たして、アリア殿が引き分けに持ち込むことが出来たなら、それは必然では無いが、偶然の域を超えた結果となるな。 教皇、如何だろうか?」


「陛下の采配に感謝します。私と枢機卿以外の3名の人選につきましても、もし人選に迷うことがあればお申し付けください。教団の中でも腕に自信のある者を直ぐに呼びつけます。

 それと、もう一点確認させてください。

 もし、5人の人選で一人も引き分けに持ち込めず、それどころかアリア殿が一人にも勝てなかったとすると、これは単なる言い掛かりといえます。その様な結果になった場合の措置も併せてご検討頂けますでしょうか」


「うむ……。

 アリア殿の考える条件が満たせず、ゲーム大会が偶然の賜物による賭けの結果だったとしよう。その場合は賭け金を正当に受け取る権利が残るだけになるな。

 その場合、アリア殿の提案では無く、リチャード殿下の提示頂いた鳥の飼育施設の権利の譲渡、それと実行力が不明ではあるが、人族との国境の位置を戻すことを受け入れることになる。


 リチャード殿下、アリア殿、アリア殿がこれからゲームで5回対戦し、5連敗を喫することとなった場合には、アリア殿の提示した責任者の処分は無効とし、リチャード殿下の提示頂いた内容で、実行力の伴う内容に関してのみ、条約物の締結を行う。

 この条件で如何だろうか?」


「陛下の裁定に感謝いたします」と、リチャード。

「私も陛下の裁定に従います」と、アリア。


 これでステラとアリアが実演をして予定通りの結果を示せれば、私達が魔族の国から欲しかった物は大体手に入る感じかな?




いつもお読みいただきありがとうございます。

暫くは、毎週金曜日22時更新の予定です。


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