ハロウィン!ト-ナメント4
保健室
「イトウさん、彼を頼む」
「…ああ、解っている」
ベットに竜山を寝かせる校長
「…っと、ここから出ようか」
「何でだ?」
「竜山君にお客様だ」
そう言って保健室から出て行く校長とイトウ
ガラ!!
保健室の扉を開けて、火衣良ちゃんが入ってきた
「竜山お兄ちゃん!!」
ベットで眠る竜山
「ゴメンね…、ゴメンね…」
「私のせいで負けちゃった…」
涙を流す火衣良ちゃん
ポタッポタ
竜山の顔に涙が落ちる
「気にすること有りませんよぉ~」
のほほんとした空気で保健室に入ってくる七糸
「アナタが私の能力を彼に気付かせるキッカケを言わなかったらぁ~」
「彼はもっと無様に負けてましたよぉ~」
「そんな事、言わないで!!」
叫ぶ火衣良ちゃん
「いや…、その通りだよ、火衣良ちゃん」
「た、竜山お兄ちゃん!!」
ゆっくり起き上がる竜山
「火衣良ちゃんのおかげで、彼女に一泡吹かす事が出来た…」
「ありがとう」
「う…」
「う゛ぁぁああぁぁん!!」
竜山に抱きついて、泣き叫ぶ火衣良ちゃん
「あらら~、お邪魔みたいですね~、私ぃ~」
「まぁ、この傷の手当てをして貰いますかぁ~」
そう言って、七糸は保健室からイトウを探しに行った…
体育館、戦闘訓練専用広場
「それでは、第4回戦の組み合わせを発表します!!」
「秋雨 紅葉VS風華 舞桜!!」
「おぉおおぉお…!?」
微妙な空気の会場
「…死なない程度に頑張ってくる」
「…頑張ってね」
思い詰めた表情の秋雨とGL
「さ-て!手加減しないわよ!!」
ハイテンションの風華
観客席
「さ-て!どっちに賭ける!?」
金田とガルスが大声で叫ぶ
「お前はどっちに賭けるよ?」
「やっぱり、風華会長だろ!」
「でも、あの秋雨って奴も、白刃之会長の攻撃を防いだんだぜ!?」
「確かにそうだよな…」
「コレは面白い勝負になるんじゃねぇか!?」
「風華だ!!」
「いや、秋雨だ!!」
盛り上がる観客席
戦闘訓練専用広場
「始め!!」
同時に構える風華と秋雨
「風連開華!!」
風華の廻りに美しい華が咲き乱れる
「どう?綺麗でしょ?」
「でも…」
ヴウウヴゥウウゥウン!!
震動音を発する華
「こ、これは…!!」
凄まじい異臭が会場に溢れ出す
手で鼻を押さえる秋雨
「く、臭い…」
ふらつくGL
観客席
「た、助けてくれぇ~」
「臭いわ…」
もだえ苦しむ観客席
「さぁ!苦しむアナタにコレ!!」
金田が懐から大量のガスマスクを取り出す
「1つ500円!!」
「激安です!!」
「お、俺にくれ~!!」
「俺も~!!」
「私もぉ~!!」
飛ぶように売れるガスマスク
「よっしゃ!大儲け!!」
ガッツポ-ズする金田であった…
戦闘訓練専用広場
「あら…?アナタに効果はないのかしら?秋雨君」
手で鼻を押さえているも、平然と立っている秋雨
「臭くないですよ」
「おかしいわね~」
「あ!解った!!」
「!?」
「アナタの能力でしょ?」
「…でしょうか?」
「細胞の強制変換で、空気中の細胞を変換して匂いを消してるのね」
「白刃之君の攻撃を防いだのも、それでしょ?」
「僕は無意識に発動したのでしょうか…?」
「あら?意識してなかったの?」
その会話を続ける中、華がしぼんでいく…
「…時間切れね」
「じゃ、コレはどうかしら?」
風華が腕を大きく広げる
「百華草嵐」
舞い上がる華片
ゴォォオォオォオ!!
空中で、だんだん集まってくる
「行け!!」
その集まりが一気に秋雨に突っ込む
「!!」
両手で防ぐ秋雨
「直線的な技じゃないわよ?」
グゥン!!
大きく旋回し、秋雨の背後に華片が回り込む
「しまっ…!!」
「食らいなさい!!」
ババババッババババッバ!!
秋雨を包み込む華片
「どうかしら…?」
ヒュゥウウゥウ…
だんだん地面に落ちていく華片
「くぅ…!!」
かろうじて立っている秋雨
「…今のを耐えるのね」
「負けませんよ…!!」
「良い心意気」
にっこり笑う風華
「でも、世の中、そんなに甘くないわ」
パチン!
指を鳴らす風華
ピンッ!
華片が一枚、舞い上がる
ピンッ!
もう一枚、舞い上がる
ピピピピピピピピピン!!
次々に、大量の華片が舞い上がっていく
「コレはどうかしら?」
パァァァァン!!
大きく手を鳴らす風華
ピタッ
動きを止める大量の華片
ズズ…ズズズズズズ…
大量の華片が一カ所に集まっていく
ズ…
そうして出来上がったのは、広場を埋め尽くすほどの大蕾
「コレは…!!」
たじろぐ秋雨
「どう?大きくて綺麗でしょ?」
「先刻、白刃之君も言ってたけど…」
「「綺麗な花には棘がある」」
「風華満開」
パァァアアァン!!
鈴が鳴るような音と共に開く大華
「覚悟しなさい!秋雨君」
「…はい」
読んでいただきありがとうございました