護衛任務開始
「ごゆっくりどうぞ」
3人は個室に案内された
「任務を開始していただくまで、ココでお待ちください」
そう言って、案内人は出て行った
「豪華な部屋ですね」
「テレビでも見たこと無いよ…」
「金をかけすぎているな」
しばらく、雑談をしていた3人
それからしばらくして、案内人が迎えに来た
「時間です、護衛していただきますので、玄関の方へお越しください」
「はい」
玄関
「いらっしゃいましたか」
3人を待っていたのは、執事だった
「皆様、ご主人様が本家でお待ちです」
「護衛対象は?」
「お嬢様でしたら、こちらにおられます」
コッコッコッコ…
革靴で音を鳴らして、小さな女の子が歩いてくる
「よろしくお願いします」
「…火衣良ちゃんより年下ですね」
「それに、この子…」
よく見ると、少女は両目の色が違う
「!!」
刃影の表情が一変する
「どうかしましたか?刃影さん」
「…何でもない」
「さっさと行くぞ」
「は、はい!」
3人と少女、そして執事はリムジンに乗り込んだ
発車するリムジン
リムジン内
シ-----ン…
無音、まさに無音
秋雨達が乗ったときとは違って、かなり気まずい
「く、首狩さん…」
首狩にささやく秋雨
「…何?」
「気まずくないですか?」
「う、うん…」
「どうかしましたか?」
女の子が話しかけてくる
「え!?」
動揺する秋雨
さっと、首狩の方を向く
「ジョ-クでも言えば?」
「結婚ネタ以外で」
「え、えぇ…」
「?」
「な、名前をまだ聞いてなかったね…」
「私の名前は如月 美海と言います」
「そ、そうなんだ…」
「この度は、護衛していただき大変ありがとうございます」
「い、いえ…」
そして、さらに気まずくなる
リムジンは門を抜け、外に出る
「ここからが本番でございます」
執事がハンドルを強く握る
「準備は良いか?」
刃影が全員を見る
「はい!」
「良いぞ!」
「気をつけます」
だんだん進むリムジン
辺りに怪しいような物はない
「執事さん、大通りを通るんですか?」
「はい、その方が安全ですので」
「この車は、外からの衝撃を一切通さない超合金で出来ております」
「簡単には窓は破れません」
「そうですか」
その後、何事もなく進むリムジン
「何もありませんね」
「このまま行ったらいいんだけど…」
「おお!本家が見えました!!」
執事が身を乗り出す
目の前には、ラスベガスか、と見間違えるほどの豪邸
いや、豪邸と言うより城である
「あそこまで行けば、もう安心です」
ガシャ-ン…
ゆっくり門が開く
「お帰りなさいませ!お嬢様!!」
大勢の召使いが美海を迎える
「ただいま戻りました」
にっこり笑う美海
「何事もありませんでしたね」
「…」
沈黙する刃影と首狩
「どうしたんですか?刃影さんに首狩さん」
「お嬢様、荷物をお預かりいたします」
老婆がゆっくり歩いてくる
「ええ、お願いしますわ」
荷物を渡そうとする美海
「!!」
刃影が美海の髪を思いっきりひっぱて、押し倒す
「…ッ!!」
倒れ込む美海
「何をなさるのです!?」
「何してるんですか!?刃影さん!!」
立ち上がる秋雨と執事
「おい、ババァ…、その手に持ってる物は何だ?」
老婆の手をよく見ると、拳銃が握られている
「これは、護身用の物ですが…」
「そうか?」
首狩が、大鎌で老婆の首をはねる
「!!」
口を押さえる美海
ゴロゴロ…
地面に転がる老婆の首
バフン!!
音を立てて煙と化す
「さて、下手な劇は見飽きた」
「もう、幻覚も解いて良いぞ?腐れ野郎」
ジュゥゥウゥゥゥ…
周りの景色が、音を立てて崩れていく
そこは豪邸ではなく野原
「な…!?」
困惑する秋雨
「やっぱり、おかしいと思ったよ」
武器を構える首狩
「途中の道が一瞬、揺らいだ」
「幻覚を見させられてたんだね」
「流石に、執事さんも気が付かないか…」
口をあんぐり開けている執事
「とりあえず、美海ちゃんと執事さんはリムジンの中に避難してね」
「は、はい!」
リムジンに避難する2人
「とっとと、出てきやがれ!腐れ野郎!!」
刃影が叫ぶ
「やれやれ…」
「うるさいなぁ…」
ゆっくりと、暗闇から人が出てくる
「誰だ…!?」
暗闇から出てきたのは…
「あ、天鹿和さん!?」
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