幻影の能力者
「どうして、天鹿和さんが!?」
動揺を隠せない秋雨
「任務が重なってね…」
「「如月 美海を暗殺しろ」って言われたんだよ」
「でも、君達が護衛に付いてるなんてね…」
「戦わなければなりませんか?」
「…いや、僕は手を引こう」
「元々、人殺しなんてしたくないし、君達が相手じゃ負けちゃうし」
「そうしてくれるとありがたいです」
胸をなで下ろす秋雨
「ま、あの可愛い美海ちゃんをしっかり護衛してあげてね」
「黙れ、腐れ野郎」
そう言って、刃影が短刀で天鹿和を突き刺す
「ぐぅ…!?」
「な、何でだ…!?」
「刃影さん!!」
「どうして解った?」
天鹿和の顔が崩れはじめ、体も透けてくる
「!?」
「やはり、幻覚か…」
「その通り」
「いやはや、完全に真似したつもりだったんですが…」
黒いス-ツを着た男が暗闇から出てくる
「どうして解ったんです?」
「天鹿和は「可愛い美海ちゃん」なんて言葉は使わない」
「それに、アイツの能力は幻覚を見せる事じゃない」
「簡単な話だ」
「う-む、迂闊でしたね…」
「キサマの能力は、幻覚を見せることだろう?」
「その程度の能力では、俺達は殺せないぞ」
「いいえ、少し違いますね」
男の姿が揺らぐ
「!?」
秋雨の背後に、男が立っている
「いつの間に!?」
「私の能力は、相手の脳内を覗き…」
ガッ!!
男が秋雨の頭を掴む
「私が選んだ記憶を具現化させることです」
ジュゥゥゥウゥウウゥ…
秋雨の頭から、煙が上がる
「あぁああぁ…」
「秋雨君!!」
首狩が男に飛びかかる
「無駄ですよ」
男はひらりと躱す
「さぁ!戦いなさい!!」
秋雨がふらつく
「大丈夫かい!?秋雨君!!」
「え、ええ…どうにか」
「シんデクれよ…」
雑音のかかった声が聞こえる
「シンでクれよ…」
「この声は…!?」
「竜山!?」
暗闇から、ゆらりと竜山が出てくる
「さぁ!親友と戦いなさい!!」
大声で笑う男
「秋雨君!それはアイツの能力だ!!」
「気にすることはない!!」
「でも…!!」
「やるしかないんだ!!」
「くっ…!!」
ハンドガンを取り出す秋雨
しかし、その手は震えている
「くそ…!!」
「秋雨君!!」
「人の心配より、自分の心配をしてください」
「!?」
首狩の背後に、男が立つ
「しまっ…!!」
ガッ!!
「くぅぅうぅう!!」
「除け!!」
刃影が男に斬りかかる
「おっと!」
男はコレもひらりと躱す
「しっかりしろ!首狩!!」
「あ、ああ!すまない…」
「ふぅ!危ないですね…」
「記憶を具現化できなかったじゃないですか」
「しなくて良いんだよ!!」
刃影が短刀を構える
首狩も大鎌を構える
「くそ…!!」
秋雨は、男の能力の作り出した竜山の攻撃を避け続けている
「秋雨君!撃つんだ!!」
「でも…!!」
「仕方ない!刃影、コイツは任せた!!」
「ああ、あのヘタレの助太刀に行け」
首狩は秋雨の方へ走っていった
「仕方がないヤツだ…」
「言ったでしょう?「人の心配より、自分の心配をしろ」と」
男が刃影の頭を掴む
「…」
一切、動かない刃影
「おや!抵抗なしですか!!」
「諦めましたか?」
「早くしろ、腐れ野郎」
「お望み通りに」
ガッ!!
男が刃影の頭を掴む
ジュゥゥウゥゥ…
そして、煙を上げる刃影の頭
「さぁ!アナタの記憶を見せてください!!」
「ククククク…!この記憶にしますか!!」
笑いながら、刃影の頭から手を離す
「さぁ!戦いなさい!!」
「刃影!!」
首狩が叫ぶ
ゆらりと暗闇から、男女が出てきた
「…アレは!!」
刃影と首狩の表情が一変する
「父さん…、母さん…」
刃影が呟く
「しまった…!!」
「最悪の相手だ!!」
首狩が顔を青くする
「シンでクレヨ!!」
竜山が斬りかかってくる
「首狩さん!!」
秋雨が手でガ-ドする
「くぅ!!」
刀はみるみる鉄の塊になっていく
「ナぁ!?」
「ナイスだ!秋雨君!!」
その瞬間、刃影が大鎌を振り回す
「ぎゃぁぁあぁ!!」
悲鳴を上げ、竜山が崩れ落ち、溶ける
「…」
「落ち込むことはないよ、秋雨君」
「どうせ、偽物だ」
「…でも、良い気分じゃないです」
「…そうかい」
「って、それどころじゃない!!」
「逃げろ!刃影!!」
下を向いて、ピクリともしない刃影
「刃影!そいつらから逃げろ!!」
「どうしたんですか!?首狩さん!!」
「あの2人は…」
「あの2人は?」
「刃影の両親だ」
「…?」
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