相殺方法
「「普通の方法じゃダメ」って、どういう事だ?」
入ってきた風華に、質問をするイトウ
「その事については、この人が話してくれるそうよ」
風華の手には、ボロボロになった霧上が連れられていた
「軌跡の牢獄…」
「ハッキリ喋りなさい!!」
「き、軌跡の牢獄は、特別なのよ!!」
「牢獄の周りには、特別な鉱石が埋め込まれてるわ」
「鉱石だと?」
「そうよ、能力記石」
「聞いたことがないな…」
「能力記石は、能力を記憶させるの」
「能力を記憶だと…!?」
「その能力記石に、能力を吹き込んであるわ」
「…つまり、だ」
「能力記石に、記憶を消す能力を吹き込んであるんだな?」
「ええ、数十人の手練れの能力を…ね」
「なるほど、普通には行かないわけだ」
「特殊とは言え、エネルギ-を混合した物を能に流されれば…」
「治療も難しい」
「そんな…!!」
「治す方法は?」
「未発見よ」
「かなり昔から使ってるけど、解らないことが多いの」
「そんな、得体の知れない物を使ってるのか?神月は」
「…ええ」
「簡単に考えれば、エネルギ-を分散させるのが、治療法…」
「…聞きたいことがある」
「何かしら?」
「記憶記石に、能力を吹き込んだのは、特殊の奴らか?」
「違うわ」
「他の支部から、収集させた一般能力者よ」
「そうか…」
「…消すしかないな」
「え…?」
「秋雨の記憶を、全て消す」
「言葉も残らず…な」
「そんな事をしたら、秋雨が…!!」
「元に戻すためだ」
「一旦、全て消して、再度修復するんだ」
「そうすれば、記憶は戻るはずだ」
「本当!?」
「甘いわね」
「多人数のエネルギ-を混合させた能力を受けて…」
「元に戻るとでも?」
「相殺方法だな」
「!!」
「多人数が特殊じゃないなら、それぞれの能力に、対となる能力をぶつければいい」
「それで、エネルギ-混合能力も問題ない」
「そんな多人数を、どこから…!?」
「人数じゃない」
「居るだろう?様々な能力を摂取してきた奴が…」
「…GL!!」
「その通り」
「今から、秋雨の記憶を全て消す」
「その前に、確認したい」
「何をですか?」
「赤ちゃんって、育てられるか?」
「…へ?」
「記憶を消せば、幼児と同じになるからな」
「しばらく、世話して貰わないと…」
「今すぐ、私のエネルギ-を使えば…!!」
「ダメだ」
「本部でエネルギ-を使い果たしているだろう」
「個人によって、幼児期間は異なるが…」
「ま、大丈夫だろう!」
「そんな、アバウトな…」
「霧上!お前は、本部に帰って神月に伝えろ」
「「軌跡の牢獄を、封印しろ」…とな」
「バカ言ってんじゃないわよ!!」
「敗者は死すべし…よ!!」
「帰ったら、殺させるわ!!」
「心配ないだろう…」
「コレも、渡しておけ」
イトウは、ポケットから封筒を取り出した
「校長からの伝言だ」
「帰ってから開けろ」
「くっ…!!」
「風華!そいつを本部まで帰すんだ」
「他の連中も、本部まで帰してやれ」
「解りました!」
「秋雨の記憶を消すが…」
「お前達は、寮で休んでろ」
「ココに居ます!!」
「ダメだ」
「もう、体力もないだろう」
「記憶を消せたら、秋雨を連れて行ってやる」
「解ったな?」
「…でも!!」
「解ったな?」
イトウの袖から、白い煙が流れ出す
メイスは、即座にガスマスクを装着した
「むぅ!?」
バタ!バタ!!
メイス以外の、周りの全員が眠りにつく
「世話の焼ける奴らだ…」
「メイス!コイツらを寮まで運んでくれ!!」
「はい!」
「記憶を消す…か」
「面倒くさいな」
「ま、仕方ないか」
イトウ
秋雨の記憶消去に着手
霧上 魔羅、麻簔 葉打左、その他戦闘員
本部、強制送還決定
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