地獄の保健室
保健室前には、B班が待機していた
「ココに、秋雨 紅葉が居るのか」
「そうらしい」
「準備が整い次第、突入する」
「了解」
コッコッコッ…
革靴が、地面を蹴る音が、くらい保健室前に響く
「何をしているんだい?」
「!!」
白衣を着て、煙草を吸っている男がB班の前に現れる
「キサマは…!!」
「イトウ!!」
「こんばんは」
「こんな、夜遅くに何の用だい?」
下位戦闘員達は、顔を見合わせた
「行くぞ!!」
全員が武器を構える
「おやおや、物騒だね」
「死んで貰うぞ!!」
「武器をしまいなさい」
「怖じ気ついたか!?」
「勘違いするなよ」
「ヒヨッコ共が」
禍々しい殺気が、イトウから溢れ出す
「コレでも、教員だ」
「生徒を殺したくはない」
「ぐっ…」
「と、突撃!!」
全員が、イトウに斬りかかる
「バカ共め…」
モァァァァァ…
薄黒く、紫のような煙がイトウの袖から流れ出す
「むぅ!?」
「毒ガスだ!全員、息を止めろ!!」
「そんな、甘ちょっろい物じゃない」
「う゛ぁあああああ!!」
1人の戦闘員が、悲鳴を上げる
「がぁ…」
口から、赤黒い物をはき出し、倒れ込む
「ぎゃぁぁぁ!」
「ああああぁぁあ!」
「がぁぁああああぁ!!」
次々と、悲鳴を上げて、倒れ込んでいく戦闘員達
シュゥウゥゥウゥ…
煙が、少なくなっていく
「ゲホッ!ゲホッ!!」
「今のを耐えるとは、大した物だな」
「お前ら!!」
耐え抜いた戦闘員以外、全員、息はなかった
「な…!!」
「どうやって…!?」
「全員、息は止めていたはずだ!!」
「言っただろう」
「そんな、甘っちょろい物じゃない、ってな」
「皮膚呼吸って、聞いたことあるか?」
「馬鹿な…!!」
「皮膚から、体内に浸食していった、とでも言うのか!?」
「そうだ」
「撤退しろ」
「お前が勝てるとは、思えない」
「舐めるな!」
「これでも、このB班に配属され、任務を任されたのだ!!」
「引くワケにはいかない!!」
「アツイ奴だな」
「先刻の、ガスも耐えられたし…」
「未来有望なのにな」
「…名と、学年は?」
「1年、麻簔 葉打左だ!!」
「そうか」
「覚えておこう」
「ハァァァ!!」
相打ち覚悟で、突撃する麻簔
「ふぅ…」
ゆっくりと、煙草の煙を吐き出すイトウ
パキン!!
「何!?」
麻簔の武器を、足で蹴り上げるイトウ
「オラァ!!」
ドゴッ!!
イトウの回し蹴りが、麻簔の腹に食い込む
「ガハァ…」
カラン!カラン!!
武器は地に落ち、麻簔は倒れ込む
「殺すには、惜しい男だ」
「生きろ」
「…本部の鉄則のル-ルだ」
服の裏から、短刀を取り出す麻簔
「くぅ!!」
目を瞑り、刃を自分へむける
ガン!!
短刀の刃を踏みつけるイトウ
「バカめ…」
「何の為に、生かしたと思っている?」
「仲間に、示しがつかない!!」
「死なせてくれ!!」
「は?」
「お前の仲間は、死んではいない」
「今、治療をすれば助かる」
「ま、簡単に言うとだな」
「選べ」
「…え?」
「このまま、仲間を死なすか、仲間を救うか、だ」
「俺は…」
「好きにするんだな」
「しかし、任務が…」
「本部のワガママに付き合うことはない」
「神月の作った馬鹿なル-ルにも…な」
「どうする?」
「…」
「…助けてやってくれ」
「解った」
イトウ
勝利
麻簔 葉打左
降伏
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