軌跡の牢獄
「時間はないけど、私たちで地道に探すしかないわ!!」
「その人を離して!!」
「ッチ!」
「解ったよ…」
ドサッ
ボロボロの寺冬が、地面に落ちる
「まさか、下級戦闘員とはいえ、特殊を2人も倒すなんて…」
「そそる話よね」
「!!」
OLのような姿をした女性が、焼け野原に立っている
「誰だ!?」
「誰って…」
「ココは、本部よ?」
「本部の人間に決まってるじゃない」
「私は、本部副総督の、霧上 魔羅よ」
「ど派手にやってくれたわね」
「クソ…!」
「竜山!今度こそ、逃げるわよ!!」
「相手は一人だし、こっちはボロボロ」
「それに、副総督に勝てるはず無いわ!!」
「解った…」
「あら!私は戦闘員じゃないわ!!」
「野蛮な奴らと、一緒にしないでくれるかしら?」
「アナタ達、秋雨 紅葉を連れ戻しに来たんでしょ?」
「まったく…、仲良しこよしごっこも良いトコよね」
「着いていらっしゃい」
「彼の居る「軌跡の牢獄」に連れて行ってあげる」
「…信用して、良いのかな?」
「秋雨のトコに連れて行ってくれるなら、好都合だ」
「行くぞ」
「うん」
「早く行くわよ!!」
「挽我と寺冬も、バカねぇ」
「現実を見せた方が早いのに…」
WG学園本部 地下
「暗いわね」
「そうでしょ?」
「私、ココはジメジメしてるから嫌いなの」
「階段よ」
「ココを降りれば、軌跡の牢獄よ」
コッコッコッコッコ
小刻みに、階段を下りる音が刻まれる
「長いな…」
「そりゃそうよ」
「こんなトコ、滅多に使わないもの」
「奥深くに設置されて、当たり前よ」
「…秋雨は無事なのか?」
「どうでしょうね?」
「軌跡の牢獄は、常に能力が発動してるの」
「能に悪影響を与える能力が…ね」
「何だと!?」
「心配しなくても、微弱な物だし、牢獄に入ってる奴にしか効果はないわ」
「ココよ」
狭い部屋に着いた
「彼なら、その牢に居るわ」
「秋雨!!」
牢の中には、1人の男が倒れている
「秋雨!聞こえるか!?」
「…あ」
「秋雨!!」
「誰?」
「…!!」
「言葉は喋れるように、少しの記憶は残してあるわ」
「ま、思い出もクソもないでしょうけどね」
「まったく…、何で記憶を消すのかしら?」
「この子の能力は、希少なのよ?」
「そんな…」
地に膝を着くGL
「なぁ、冗談だろ…?」
「冗談だろ!?秋雨!!」
「もう十分でしょ?」
「構えて」
「ッ!?」
部屋にいきなり、明かりが付く
竜山と、GLを大量の武装兵が囲む
銃口の標的は、竜山とGL
「アナタ達を、本部不法侵入罪で逮捕するわ」
「くっ…!!」
「構えても無駄よ」
「彼らは能力者じゃないけど、武器は扱えるわ」
「終わりよ」
「…秋雨!!」
「もう、無理なの…?」
「帰ろうよ!」
「一緒に!!」
「…?」
物事が理解できない秋雨
「…ねぇ」
「帰ろうよぉ…」
「一緒に…」
「うぁあぁぁぁん!!」
泣き出すGL
「ちくしょう…!!」
「武器を捨てなさい」
「彼らを拘束して」
「…」
「何をしてるの!?拘束しなさい!!」
虚空を見つめる武装兵
「何を…」
ドサッ
霧上が触れた瞬間、全員が倒れ込む
「何なの!?これ!?」
「…幾ら、人員不足でも、無能力者を見張りにするか?」
「常識無いだろ」
「アンタ!誰よ!!」
「依頼が追加されて戻ってきた…」
「WG学園生徒会庶務 刃影 煌だ」
「また、支部の生徒…!!」
「でも、甘いわ!!」
「外には、この数倍の兵が待ち構えてる!!」
「脱出は不可能よ!!」
ゴトゴトゴト!!
「…え?」
気絶した兵が、階段から滑り落ちてくる
「大量の兵、か…」
「所詮、無能力者だろ」
「アンタは…!!」
「俺を知ってるのか」
「刃影は知らないのに?」
「WG学園風紀委員…」
「通称 情報屋 首狩 虚!!」
「ご名答」
「鍵、出せ」
「あのバカ連れて帰る」
「誰が、出す物ですか!!」
「右、胸ポケット」
「!!」
「本部の規則で、鍵をしまう場所だったな」
「アンタが戦闘向きじゃないのも知ってる」
「…諦めろ」
「…良いわ」
「使いなさいよ!!」
チャリ-ン
鍵が放り投げられる
「そのバカを出せ」
「は、はい!!」
「秋雨の記憶は、帰ってから何とかする」
「まずは、脱出が先だ」
「刃影、頼んだぞ」
「金を貰った以上、遂行するのが、俺の主義だ」
「解ってる」
「行け!!」
「はい!」
秋雨 紅葉
牢獄より、脱出
刃影 煌、首狩 虚
本部不法侵入
秋雨 紅葉
本部移行決定より、2日が経っていた
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