騎竜試合
申し訳ありません。
今、夏の日差しと格闘しており、更新が遅れております。
申し訳ございません。
チョークスリーパーが効かないので苦労しております。
「ふぁー。」
僕は今猛烈に眠い。
何せ寝る間も惜しんでやるべき事をやっているのだから。
基本的に日が登ったら目を覚まし、日が落ちたら家に帰り、平穏な1日に感謝して祈り夕食を取った後に眠りへとつく。
そんな生活が当たり前なのだが皇国との戦争まで無駄な時間を過ごしたくないので眠る時間を削って文献の調査やシリルから貰った記録や考証の確認をしている。
そんなこんなで今は寝不足だ。
「いかんな。これから大事な用があるのに。」
今から行くのは騎龍騎士団の訓練場だ。
ここは創立以来邪悪なる者共を打ち倒す尖兵として長年活動を続けて来た重要な騎士団だ。
だから、そこに時期王として視察に来た。
そう考えていると馬車が停まった。
「ノエル様。到着しました。」
行者からそう伝えられ、短くお礼を述べると、馬車の扉は開けられた。
「お待ちしております。」
馬車を降りた先には訓練場へ向かう道の左右に騎士達が剣を掲げて立っており、そして中央には確か……騎士団の副団長が出迎えてくれた。
「あぁ。出迎えご苦労。団長は?」
「はい。今は団員に訓練を付けています。」
「そうか。では案内を頼む。」
かしこまりました。と副団長が言い、貴族に相応しい所作で礼をして案内をしてくれた。
見慣れた訓練所の廊下を歩く。
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ここの詳細も知りたいなー。
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ここ騎龍騎士団の訓練場は王国の攻めの要である騎士団の訓練所であり詰所である。
その為、敷地内を大きな城壁に囲まれ、3階建ての建屋は石造りの頑丈な物になっている。
そして建屋の真ん中にはとても広い訓練場となっており、そこは騎士として剣や槍での訓練も行うが主にやる物としては竜に乗った騎乗状態の戦いである。
「殿下。お待ちしておりました。」
訓練場で私を出迎えたのは騎竜騎士団団長のブン•セルイキ•コントローラだ。
ブンの背後には2体の竜が緑の識別布と青の識別布をそれぞれ兜に付けた騎手を載せた状態で向かい合っていた。
「出迎えご苦労。邪魔をして悪い。」
「いえいえ。平和だからと団員達も緩んでいました。そんな時に殿下が観覧に来るととの事で皆、やる気を出したのですよ。」
「そうか。では期待しているぞ。」
「は!畏まりました。」
ブンが礼をし、その後振り返り片手を上げる。
すると2体の竜は訓練場の外周を回るように走り、羽を羽ばたかせて飛ぶ。
空に飛びあがった2体の竜はお互いに牽制をしながら空を飛ぶ。
それがしばらく続くと青の騎手が複数の水の玉を飛ばす。
それを避けて緑の騎士が風の壁を飛ばしてぶつける。
が、いくつか止めれなかった水の玉が騎手に向かって飛ぶ。
呪文が聞こえなかったが風の刃を複数飛ばして水の玉を撃墜する。
貴族同士での戦いにおいて攻撃された時の対処法の最善手は防ぐ事ではなく攻撃する事である。
まず、魔法を主にした戦いの短所は詠唱が長い事だ。
この為魔法が発動するまで間があり、唱えてる間は他の呪文は唱えれない。
いや、正確に説明するなら途中から別の呪文を唱える事は出来るが唱えようとした呪文の分の魔力が取られ、無駄になってしまう。
それなら唱えてる魔法で迎撃した方が無駄にならずに済む。
先程青の騎士は竜を操り相手の方へ接近する。
「コントローラ卿。今回は武器の使用はして良いものだったか?」
「いえ。武器だと不測の事態が起きやすいので今回は持たせても降りません。」
「ふむ?」
という事は迎撃が難しい近距離にて魔法を放つという事か。
だが、魔法戦とは近づくまでが難しい。
緑の騎士は複数の球状の風を放った。
先程の風の刃と比べて遅い。だが-
青の騎士は竜を操り急降下して回避しようとするが風の玉はそれについていくように竜を追いかける。
あれは風の魔法を使う者がよく使う追尾製の高い魔法だったはず。
それを青の騎士は飛行速度上げて引き離そうとするがそれは一時しのぎではあるが緑の騎士は円を描くように相手から離れる。
このままでは青の騎士は負けるだろう。
だが、青の騎士も素人ではなかった。
青の騎士は竜に翼を広げさせて風の流れを受けて後ろに飛んでいく。
竜は風を受けながら頭を中心縦方向に回り追ってくる風の弾を避け、緑の騎士へ迫る。
青の騎士の竜は再度翼を広げて緑の騎士へ飛んでいく。
それは一瞬の出来事であるが思わず拳を強く握り込む程のものだった。
青の騎士は緑の騎士の下を竜の体を捻りながら潜り、水の濁流を魔法を用いて放った。
だが、緑の騎士もそのような事、予想していたのか彼の乗る竜を体を捻らせ潜ろうとする相手に向けて風の壁を放つ。
よって水は大地と風に引っ張られ青の騎士へと襲いかかる。
「辞めい!勝者!エタン!」
ブンの号令により勝敗は決した。
義兄上は負けてしまったか。
我々貴族は戦う際は矢避けの魔法を掛けて戦うから怪我は無いと思うが……。
後で声を掛けてみよう。
その後、団員全員の前で訓示を発し激励を、激励の言葉をかけた後、ブンと会談を行った。
そこで現状の確認とこれからの希望を話し合った。
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訓練場に設けられた厩舎の戸を開ける。
そこには竜を世話する騎士や用務員が所々にいる。
跪く皆に答えながら奥へと歩いていく。
「おう。そう。落ち込むなよ。お前は良くやったから。」
歩いていると探していた人物がいた。
その人物‐我が義兄上ダヴィドはベアトと同じ金の髪を戦いに適した短く切り揃えられております、鎧を脱いだ直後なのか簡素な麻の服を着、青い糸で装飾された騎士用のズボンを履いて己が竜を撫でながら労っていた。
「ここにいましたか。お怪我は…………その様子ですと大丈夫そうですね。」
僕が声を掛けるとその声に気付いたようでゆっくりと振り返りこちらを見る。
「おや?これは殿下。」
彼はそういうと頭を垂れ跪いた。
「やめて下さい。長い付き合いなんですからそのような事をされると困ってしまいます。それにベアトの兄であるあなたにそのような事をされるとこちらが困ります。」
「そうか。ならこの方が良いだろう。」
そう言い、キヴァルシ卿と似た強い意志を持った緑の瞳をこちらへと向ける。
「先程の戦いは見事でした。」
「負けたがな。」
「何、これから強くなれば良いのです。」
僕は知っている。
義兄上は王国の存亡を掛けた戦いの時、常に前線で戦い、果敢に戦い、そして‐
「お兄様!」
僕が物思いに耽けていると背後から澄み渡った空のような声が聞こえて来た。
「この声は!ベアト!」
僕はこの飛び上がる気持ちのまま振り返る。
予想通りベアトがいた。
彼女は鮮やかで明るい黄色のドレスを身に纏い、籠を持ってそこにいた。
「まぁ!殿下。ごきげんよう!」
そう言い、彼女は挨拶をした。
「ここに来ていたのか。」
「えぇ。お兄様とお茶をしようと。」
そう言い籠を持ち上げて見せる。
僕はその愛らしい姿に思わず笑みが漏れてしまった。
「あぁ。わかった。一緒にお茶を楽しもう。ノエルもどうだ?」
「良いのですか?」
「あぁ、当然だ。」
「ふふっ。私も殿下とご同伴出来て嬉しいです。」
僕は礼を2人に述べた。
こんな仲良しな2人とお茶を共に出来るなんて幸せだ。
それにしてもこの前まで少し溝があった2人の蟠りが晴れて良かった。