それはお伽噺のような噂
はい、不定期更新第三弾の連載作品です。
なんかこう、心が温まる系になる予定です。
できるかわかりませんが。
いつも通り書きたいという理由から始まったので、気長にお待ちしながらお読み下さい‼︎
よろしくどうぞ‼︎
どこにでもある様な平凡な町。
子供達は学校帰りに楽しそうに笑って、主婦達は夕飯の準備に取り掛かり、仕事終わりの人達が疲れた顔で家に帰る。
そんな夕暮れ時の光景。
平凡で、普通な町並みはどこか突飛つするものもない。
ただ、鮮やかな茜色に染まっているその光景は当たり前だけどどこか綺麗で。
セーラー服の上にパーカーを着た彼女は、フードから覗いたその瞳を、眩しそうに細めていた。
夕暮れ時。
もう少し経って、世界が黄金に染まれば黄昏時。
彼女はそれに間に合う様に、走り出す。
それはお伽噺のような噂。
黄昏時の路地裏には、人には解決出来ない悩みを解決してくれる探偵がいる喫茶店が存在するという。
しかし、その喫茶店は人ならざるモノ達の憩いの地。
気をつけなくては、食べられてしまうのだとか。
この町に細々と伝わる、都市伝説のようなもの。
そして、今の彼女が縋るしかないお伽噺。
そうして、彷徨って彷徨って……。
彼女はやっと辿り着く。
日差しの届かない路地裏の、古びたアンティーク調のお店。
出入り口の茶色の扉に、小さくかけられたネームプレート。
〝タソガレ探偵喫茶〟
それを見て、泣きそうになりながら……彼女はゆっくりと取っ手を回す。
スローペースのジャズの音楽と漂う珈琲の匂い。
茶色をベースとした店内にはカウンター席とテーブル席があり、シンプルな内装ながらも落ち着いた雰囲気があった。
「いらっしゃいませ」
声をかけてきたのは……白いシャツに黒のショートエプロン、黒のズボンを履いた白髪金眼の美青年。
人ならざる美しさを持つモノ。
彼は彼女を見て、「おや」と顎に手を添える。
「どうやら君は探偵にご用があるようだね、猫さん」
「………っ⁉︎」
柔らかく微笑んでいるのに、不気味さを覚えさせる彼はカウンター席へと案内する。
カウンター席の内側にいたのは、黒髪黒眼の普通の青年。
黒いシャツにベストを着ているその姿は、どちらかといえばバーのマスターのような雰囲気がある。
黒い青年は彼女を見てから、ギロリッと白い青年を睨んだ。
「おい、皇。客がビビってんじゃねぇーか」
「おや?怖がらせた気はないんだけどね」
「どーせ、美味そうとか思ったんだろ」
「あははっ」
皇と呼ばれた彼は笑いながら、カウンターに座る。
もう一人の青年はそれを見て呆れたように溜息を吐いて……そして、彼女に向き合った。
「ようこそ、タソガレ探偵喫茶へ」
この町には噂がある。
黄昏時の路地裏には、人では解決出来ない悩みを解決してくれる探偵がいる……喫茶店があると。
これは、このタソガレ探偵喫茶で起きる……不思議で、優しい物語。