76狩り目
誰も居ない中庭、私の少し荒くなった息遣いだけが聞こえる。
帰っちゃったの?それとも、また別の女の子にでも呼ばれた?
……………………。
「西園寺、さん?」
バッと音がするくらいの勢いで振り返る。
そこには、東山君がいた。
「と、うざん、君?」
「?どう、したの」
不思議そうな顔をする彼は何かを手に持っていた。
「それは?」
「あ……これ、ジュース」
「あぁ、すいません。待たせました、よね?」
そうだよね。東山君も暑いよね。もうちょっと場所を考えとけば良かった。ちょっと後悔していたが、次でテンションアップ!!
「ん?ちが、う。これ、西園寺さんに。部活、疲れる……。暑い」
「……私に?あり、がとうございます」
この時の私の脳内環境はフィーバー!!本気東山君、天使!!!
ヤバイ、保存してしまいたい……。いや、飲むけど?
飲まんでどうするよ!東山君がこんなにも、愛らしい顔で嫌いかな?みたいなのし始めたのに!
「ありがとうございます!!!私、このジュース大好きなんです!」
実際、これは本当。昼食時にはこれを買うことが多い。この金持ち学園にしては何処か懐かしい、前世で好んだ味に似ているからかも知れない。
「よか、た。それ、飲ん、でた……から」
見てて、くれたんだ。割と、真面目に嬉しいです。
しかし、こんな幸せってすぐに無くなる位の話が待ってるんだよね。




