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我、異世界にて暗躍ス  作者: 聖 ミツル
第2章 暗躍編

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第48話 ニュイ街へ行く




 ここは、本部である屋敷。今は、引越しの準備で事務員さん達は大忙しだ。

 そんな中、困った事に、ニュイはあれからも俺から離れようとしない。


 身体は、安定しているはずなんだけど……


 忙しそうにしている事務員さんには悪いけど、女の子の事は女性の方が良いだろう……


「ミルフィー、ニュイの事なんだけど……」

「ライル様、今、忙しいので、また、今度」


「あっ、ルナ、ニュイの事なんだけど……」

「あたい、忙しい。ライル様、ニュイはまかせたニャン」


 変な語尾をつけて喋るようになったのは、ユオのせいだ……


「セレーネ、ニュイの事なんだけど……」

「ニュイちゃんは、ライル様にお任せです、では」


 みんな、本当に忙しいらしくどこかに消えてしまった。


「シエル、チエロ、ニュイの事なんだけど〜〜」

『可愛い、可愛い、またね、またね』


 シエルもチエロも忙しそうだ。


 どうするか……


 川辺の村からの依頼があるとミルフィーが言っていた。

 仕方がない。


「ニュイ、一緒に行くか? 」

「行くか? 」


 単語を連呼しなくなったけど、なぜ、疑問形まで、真似する?


 そんな時、長官とリールが帰ってきた。


「その子は誰だい? 」

「この子は、実は……」


 俺は、今までの事情を説明した。すると、


「わかった。ライル君、ニュイちゃんだっけ、その子と一緒に行動しなさい。そうすれば、いろいろな事が理解できるようになるよ……きっと」


 今、『きっと』って言ったぞ……


「ニュイちゃん可愛い〜〜でも、リールは、ライルの妹なんだから、その地位は渡さないからね」


「妹、妹、妹……」


 また、連呼しだした……


「妹ってのは、年下の女の子の兄妹、いや、家族の事だよ」


「ニュイは、愛人、愛人」


「マジか〜〜そう来たか〜〜ライルに愛人ができたんだ。でも、妹じゃないからOKだよ」


 リール、お前、思考が少し変だぞ……


「そうか、ライルの愛人か、では、ライル君、ニュイを頼んだぞ。にゃははは」


 長官、その気の抜けた笑いはどうかと……


「そうだ。リーダーの件だが、」

「どうなりました? 」

「実家に帰って顔を見せるって言っていた。娘さんにも合わせたいようだ」

「それなら、良かったです」

「それと……まぁ、それは、また、今度話そう。ニュイが淋しがってるしな」

「…………」

「じゃあ、ライル君は、ニュイと仕事を頼むぞ」


 俺は、与えられた仕事にNOと言わない男だ。

 でも、今回は……


「わかりました……」


 やはり、こうなってしまったか……






 川辺に街は、今夜行く事にして、取り敢えず、近場の大きな街、ショルダンに俺は、ニュイと来ている。


 街に来たのには、理由がある。少しでもニュイに人々の状況を見せておけば、変化が得られるかもしれないと考えたからだ。


 だが、ニュイは、俺の腕を組んで離さない。


「ニュイは、もう、俺と離れても、魔力を枯渇する事はないんだよ。だから、安心して好きなところに行ってもいいんだよ」


「ニュイの場所、ここ」

「そうか、いきなりは無理でも少しづつ、慣れていこうね」

「無理、無理、無理……」


 まぁ、いつかは離れてくれるだろう……


 すると、果物屋に陳列されている林檎がふわふわ浮いてニュイのところにきた。ニュイは、それを掴んでかじり出す。


「わぁ〜〜ダメだよ。ニュイ、それ、お店のだから〜〜」


 俺のそばには、タコ坊主ならぬ、いかついオッさんが立っていた。


「おい、小僧、盗っ人はいけねぇなぁ〜〜代官様に成敗してもらうぞ! 」


「すみません。この子は世間知らずでして、今日初めて街に来たんです。これ代金です。すみませんでした〜〜」


 俺は、ニュイを抱えて一目散に逃げる。

 こう言う場合は、逃げるが勝ちだ。

 捕まると、身分証を持たない俺は、いろいろとマズイ状況になるからである。


「ふぅ〜〜ニュイ、食べたいものがあったら、お金を払って買うんだよ。いきなり、とって食べると泥棒になってしまうからね。それに、無闇にその能力は使わない事、いいね」


「そうなの? 」


「そうなんだよ」


「わかった」


 本当かどうか怪しいものだ……


「他に何か食べたいものとかあるかい? 」

「あの、白い粒がいい」

「ポップコーンか、わかった」


 お金を払ってポップコーンを買い、ベンチに座る。


 すると、それを狙ってたかのように鳥がそばに来た。


「あれ、何? 」

「鳥だよ。餌を求めてここに来たんだ」

「鳥、鳥、鳥……そう、マリアが言ってた。美味しい肉って 」


 間違ってはいないが……


「そうだね。肉にもなるけど、無闇に食べてはいけないよ。それにそのマリアって誰? 」

「マリア、素体となった。親? 」

「ニュイの素になった人物か……そういえば、ニュイは、どうやって手紙の事知ったんだ? 」

「マリア、言ってた。助けてくれるって」


 そうか、そのマリヤに教わったのか……

 もしかして、ニュイを庇うように亡くなってたあの人かもしれない……


「意識を飛ばして手紙を書かせたんだね」

「そう、なかなか会う人いない」

「キャルって子には、憑依したよね」

「あの子、一番近く、いた」

「能力に距離が関係あるの? 」

「そう、遠く、ダメになる」


 意識を共有させても、一定距離を離れるとそれが、解けるということか、それで、手紙が捨てられていたんだな……


「ニュイは、なんで作られたの? 」

「兵器」

「兵器にしようとしてたのか! 」

「うん、でも、魔力、使う、たくさん、だから、ダメだった」


 そういう事か……

 ロワード国はろくな事をしないな……


「他にもいたの? 」

「いた。ニュイは、被験体17番目。全部で20体」

「他のみんなもニュイのような能力があったの? 」

「ニュイだけ。だから、みんな殺される、いつか」


 それで、依頼を出したのか……


「みんな女性型なの? 」

「そう、兵器、ダメ、愛玩道具、又、廃棄、なる」


 そんな目的で……

 つくづく腐ってるな……


「わかった、辛い事を思い出させてしまったな」

「平気、道具、だから」

「そんな事はないよ。ニュイは、もう、俺達の家族だ」

「家族? 」

「そう、いつも一緒にいて、お互いを思いやれる関係かな」

「家族、家族、家族……」


 ニュイは、鳥を指差して


「家族、家族」


「そうかもしれないね」


 正直、鳥の家族なんてわからん……


 今度は、街行く男同士の冒険者達を指差して


「家族、家族」


「あれは、違うかな、仲間だと思う」


「違う、何故? 」


 う〜〜ん、どう説明すればいいんだ……

 リールは、どこを間違えたのかわからないが戦闘狂になってしまったし、ニュイだけは、おしとやかに育って欲しいものだ……

 それには、教育が一番、間違った知識を教えては、いけない……


 突如、『わぁ〜〜! 』という声が聞こえた。

 見ると、その2人の冒険者は、宙に浮いてる。


「ニュイ、ダメだよ。降ろしなさい」

「ダメ、ダメ……」


『ドサッ』と音がして2人の冒険者は、地面に尻餅をついた。

そして、俺とニュイのところにきて、


「おいおい、何してくれてんだ〜〜! 」


 まあ、こちらが悪いけど、この場合は、とぼけよう……


「見てましたよ。凄いですね。宙に浮かぶなんてさすが冒険者です。きっと、ランクもかなりの上の方なのでしょうね」


「ま、まあな。そうか、俺が飛んだのか? 」

「兄貴〜〜もしかしたら、俺達は、覚醒したのかもしれねぇぜ」

「おう、これで、俺達も無敵だぜ!わはははは」


 うむ、素直な冒険者だ……


 2人の男達は、上機嫌で去って行った。


「ニュイ、勝手に力を使ったらダメだろう? 」

「鳥、いい、俺も、飛びたい、言ってた」

「そう言ってたの? 」

「言ってた」


 これは、ニュイは悪くないな。相手の希望を叶えただけだ。

 俺は、部下を褒めて伸ばしてきた男だ。

 ここは、ニュイを褒めるべきだ。


「よくやった。ニュイは天才だぞ。えらい、えらい」

「えらい? l

「あぁ、ニュイは、えらいよ」


 せめて、ニュイだけは、お淑やかな女性になってもらいたい。

 ピアノでも習わすか?

 それとも、バレエとか……

 うむ、英会話は必須だな。

 国際社会における、女性の活躍もめざましくなっている事だし、そうだ、この際、ニュイに英才教育を……


 そう思ってニュイを見るとポップコーンをわしゃわしゃ食べてた。

口の周りと服が汚れてベトベトだ。


 まずは、普通の生活が出来るようにならないとな……


 俺は、ニュイを連れて服屋さんに行くのだった。





「すみません。この子の服を一式、何着か欲しいのですけど〜〜」


「いらっしゃいませ〜〜あら〜〜可愛い子ね、ちゅ」


 なんだ……女子の格好をした巨体のバケモノが出てきたぞ……


「あの〜〜」


「この子の服よね〜〜どんなのが好みなの〜〜」


「よくわかりませんが、似合う服をいただきたいのですが〜〜」


「は〜〜い、注文入りました〜〜」


 奥からも似たような巨体な女装人物が出てきた……


「あら〜〜ん、可愛い子ね〜〜食べちゃいたいわん」


 俺とニュイは、巨体の女装オッさんに挟まれて逃げ場がなくなってしまった。


 すると、ニュイが


「男、服、女? 」


 ニュイ、言いたい事はわかるぞ、でも、これは、デリケートな問題なんだ。一言では、語れない……


「あらん、そうよん。身体は男でも、心は乙女なのよん」

「素直な子ねん。食べちゃっいたいわん」


「男、心、乙女」


 ニュイは、理解ができないらしく、頭がパンク寸前だ。

 店の服がふわふわと浮き上がってきている。


 マズい……


「すみません、服は、また、今度〜〜」


 俺は、ニュイを抱えてその店をダッシュで逃げる。

 ニュイは、思考の容量がオーバーしたようで、目をくるくるさせていた。


 まだ、街は早かったか……





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