↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我、異世界にて暗躍ス  作者: 聖 ミツル
第1章 少年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/145

第32話 ダークエルフの子





 俺が目を覚ますと、側にルルがいた。


 流石に、どこぞの誰かさんのように一緒に寝てるわけがなく、ただ、目が覚めるのを椅子に腰掛け見守っていたようだ。


「お目覚めになられましたか? 」


 さっきまでと態度が違うな……


「うん。俺はどのくらい寝てたんだろう? 」

「3時間程でございます」

「そうか……」


「ライル様、私……ごめんなさい。無礼な真似を致しまして」

「あぁ、長かあの兄貴に言われたんだろう? 気にしてないよ」

「それにしても、私は……」

「こんな子供に、色仕掛けなんて、何、考えてるんだろうって思ってたから、俺も同罪だろ? 」

「ライル様は、全てお見通しだったのですね」

「ルルも大変な役を任命されたものだ」

「滅相もありません。どうか、お許し下さい」

「いいよ。それより、ナハトはどうしてる? 」

「はい。妹のリリと話していると思います」

「まぁ、楽しそうならいいか……」


「はい。2人とも楽しそうに過ごしております」

「それと、1つ聞いておきたい事がある。さっきの罪滅ぼしと思って答えてくれ。俺が森で出会ったダークエルフは、この村にいたんだろう? 」

「はい。おりました。その子は……私の妹です」

「そうだったのか……亡くなった母親はもしかして? 」

「私の母です……」

「良ければ詳しい経緯を話してくれないか? 」

「はい……実は、ダークエルフは、忌み嫌われているとお話ししましたのは、ご存知の通りですが、母が産んだ子がそのダークエルフだったのです。実は、この村では数百年毎にダークエルフが生まれます。でも、ダークエルフが産まれる何十年かは、災いが起きるのです。大精霊様が封印されてしまった時もダークエルフが生まれました。それが、この村に伝わっている話です」


「だから、追い出したの? 」


「いいえ。本来なら産まれて直ぐに処分されてしまうのですが、母は、その子を3年程、隠して育てていたのです。それが、見つかりこの村から逃げ出しました。でも、魔物に襲われてしまったなんて……」


 あの婆さんエルフ、こんな事して平気なのか?


「そうだったのか……実は、そのダークエルフの子は生きているよ。俺が匿っている。母親の方は、残念だが、その子を守るように亡くなっていた」


「えっ、生きているの? 本当? 」


「あぁ、俺の連れが家で面倒見ている。母親の遺体も俺の屋敷にある」


「そうだったのですか……何もかもお見通しだったのですね」


「そういう訳ではないが、その子はどうしたらいい? 」


「できれば、ライル様のところにいさせてくれませんか? この村では、きっと辛い目に合うでしょうから……」


「母親の遺体は? 」


「母もこの村を捨てた身です。きっと、ここには、帰って来たいと思わないでしょう。出来れば、静かに眠れる場所に埋葬していただけるとありがたいです」


「そうか……わかった。そうするよ」


「ありがとうございます。ライル様には、感謝してもしきれません」


「前みたいに普通に話してくれて構わないから、それと、感謝されるつもりも無い。俺はしたい事をしたい様にするだけだから」


「はい……ありがとう……本当に、ありがとう……」


 ルルは、涙を浮かべていた。この涙は本物だと思いたい。


「それから、なんで名前がなかったのだろう? 」

「それは、忌み子に名前をつけるのは禁忌だと、昔からの言い伝えがあるからです」

「そこまでする風習なんだ……」

「はい……ライル様には、隠しても仕方ない事ですので、今のは全て本当の事です」


「わかった。でも、ルルはどう思ってたの? 」


「それは、私にもよくわかりません。あの子が産まれていなかったら、父は代わりに死ななくても良かった、母も魔物に殺されなくてもよかった。そう思えば悔しい気持ちになります。でも、そういう風習がこの村にあるから、いけないのだと考えれば、あの子に罪はないのだから、愛おしく思います」


 父親まで、犠牲になっていたのか……


「そうだね、少し意地悪な質問だったね、許してほしい」


「いいえ。あの子を保護してくださっているのですから、当たり前です」


「わかった。あの子の事は任せてほしい。きっと、いつかルルとも笑顔で会えるように育てるよ」


「はい。ありがとうございます」


 今は、この方が良い……

 時間はかかるかもしれないが、きっと、笑顔で合わせてやる……







 俺とナハトは、エルフの村を出て行くことにした。

 沢山の果物と野菜、その他、珍しい香辛料などをもらった。


 割れた封印の水晶と中にあった卵の殻も受け取った。そして、長から神樹の実をたくさんもらった。


 今までは、大精霊が封印されていた為、神樹の実は、1年で1個しか取れなかったそうなのだが、大木になった神樹は、俺がもらってもまだ、たくさんその実を実らせている。


 神樹の実の効果は、寿命を延ばすことができるそうだ。比較的、短命な人族にとっては、夢のような果実だと言う。それに、加工すれば、最上級回復薬にもなると言う。確か、エクサリーとか言っていた。


 後で調べてみようと俺は、思っている。


 封印を解いてからのエルフ達は態度を一変させた。


 まるで、神を扱うような感じだ。


 壇上に祀り上げられるような感じは、好きになれない。


 普通に接してくれれば助かるのだが……


 ルルとリリは、別れの時、涙を浮かべて手を振っていた。

 ナハトも嬉しそうに手を振りかえしている。


 俺は、少し複雑な思いだ。


 ルルの流す涙には、きっといろいろな思いが込められているだろうと思ったからだ。


 俺達は、そんなみんなの前で転移して自分の屋敷に帰った。






「おかえり〜〜」


 出迎えてくれたのは、ダークエルフの子を抱っこしたノーチェだった。


 エルフとはいえ、成人までは人間と同じように成長するようだ。

 成人してからは、成長がゆっくりとなるらしい。


「元気だった? その子は、もう、大丈夫? 」

「あ〜〜リールのこと? うん、だいぶ、落ち着いたよ」


 リールって名前をつけたんだ……


「リール、良かった。俺は、ライル。よろしくね」

「うん、知ってる……助けてくれてありがと」


「俺様は、ナハト様だ。よろしくな。小娘」

「小娘じゃない! リールなの! 」

「がははは、結構、我が強そうだぞ。気に入った。リール。よろしくな」

「うん」


「それで、ユオは? ユオは、どこ行ったんだ? 愛しの兄様が帰って来たと言うのに〜〜」


「ユオは、薬師さんのところに行ってるわ。薬の作り方を教わっているみたい」

「そうか、出来た妹だな」


「じゃあ、俺は、竜神様のところに行って報告してくる」


「少し、休んでから行けば良いのに〜〜」


「用事は先に済ませたほうが、後でゆっくりできるだろう」


「そうもそうね」


 俺は、歩いて隣の王城に行く。出迎えてくれるのは何時も凛とした女性の竜人だ。


 そう言えば名前を聞いてなかったな……


 俺は、挨拶もそこそこに謁見室に通された。


『おぉ、ライルよ。大精霊の封印を解いてくれたそうじゃな』

「はい」

『お主があやつの封印を解いたと言う事は、何かを約束させたのか? 』

「復讐しようとしていたので、やめてもらいました。」

『復讐か……だが、やつを封印した者はもうおらんじゃろうに』

「その子孫に復讐しようとしてました」

『あいつは、遊びが半分じゃからのう。ライルも苦労した事だろう』

「まぁ、それなりに」

『しばらくは、のんびり過ごせば良い。そうだ。また、妾と夕食を食べようぞ』

「そうですね。今日は、少し疲れたので、また、今度お願いします」

『そうか、そうか、わかった。待っておるぞ』

「はい」


 竜神様のところから帰る途中、ユオに出会った。

 ユオは、ポーションの作り方を教わっていたようだ。


「こちらの世界の薬剤の調合は、錬金術ですぐできるそうなんですよ。魔法って便利ですね」


「ユオなら、直ぐにマスターしそうだな」


「はい。あとは材料さえあれば、チョチョイのチョイで出来上がりです」


「そうなんだ。そう言えば、神樹の実をもらったよ。加工すれば、エクサリーとか言う回復薬になるそうだよ」


「それ、本当ですか? さっき、聞いた話では最上級魔法薬ですよ。部分欠損など、通常では治らない怪我や病気も治癒できるそうです」


「そうなの? たくさんあるから、後でユオに渡すよ」


「そうですね。私は、まだ、亜空間収納が使えませんし、外に出しておいて腐らせるのも勿体無いですから、まだ、主任が持ってて下さい」


「わかった。必要になったら言ってくれ。それと、亜空間収納だけど、イメージを固めるとできるようだぞ。俺も、ブラドが使ったのを見て覚えたし」


「そうですか、今度、古竜様に聞いてみます。それと、転移も覚えたいです」


「そうだな。できれば、便利だものね」


「はい。絶対、マスターしてみせます。それと、リールっていい名前でしたでしょう? 」


「あれって、ユオがつけたの? 」


「はい。[夜]繋がりで……」


「そうか、どこかで聞いた事ある単語だと思ったよ。確か……」


「主任でもわからない言語がありましたか? 」


「イヤ、ここまで、出かかってるのだが……」


「リールは、チュニジア語で、夜という意味です」


「そうだった……完敗だよ」


「主任に、言語で勝てました。初勝利です」


「そうだったか? 」


「はい。結構、嬉しいです」


「それは良かったよ」


 ユオと屋敷に戻るとリールは走り回っていた。ノーチェにかなり懐いているようで、お姉ちゃんと呼ばれてノーチェも嬉しそうだ。


「そう言えばナハトは? 」


「今夜はご馳走だと言って台所にこもったきりよ。なんでも、美味しい食材を手に入れたんだって」


「そうか、それは楽しみだな? リール」


「うん」


 笑顔が出るようになって良かった。


 でも、心の中は、辛くて悲しみで溢れているのだろう。


 俺は、この子の笑顔を曇らせることのないように努めようと思った。


…………………………………

リール (3歳)女性 ダークエルフ

Lv 1

HP 35/35

MP 30/30


スキル

 闇精霊術

…………………………………






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。