↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/4

マコとの出会い

 ドロンはお使いのとちゅう、キツネの妖怪――マダラギツネに出会ってしまう。

 そして森の中を逃げまどううち、いつしか知らない世界へと迷いこんでいたのだった。


 白い霧の中。

 ドロンは眠っていた。霧が晴れるのを待つうち、しらずしらず眠ってしまったのだ。

 やがて霧が晴れ、ドロンもやっと目をさました。

 だが、このとき。

 ドロンは森にはいなかった。なぜか見たことのない部屋の中にいたのだった。

「きゃっ!」

 声をあげて、ドロンは目を大きく見開いた。

 そばに知らない女の子がいる。

 女の子もおどろいているようで、ドロンをじっと見つめて聞いた。

「あなたって、なあに?」

「チャワン妖怪、名前はドロンっていうんだ」

「チャワン妖怪?」

「そうだよ。チャワンが百年われずにいたんで、こうして妖怪になれたんだ」

「すごいわ。でも妖怪なのに、あなたってとってもかわいいわね」

 女の子がにっこりする。

「それで妖怪のあなたが、どうしてここにあらわれたのかしら?」

「それはおいらも……」

 ドロンもわからないのである。

 そこでドロンは、これまでのことを話した。

 お稲荷様のホコラで生まれ、白キツネのもとで修行をしている。それがお使いのとちゅう、マダラギツネに追われ、ひっしに森の中を逃げた。

 そのうち白い霧につつまれ、その霧が晴れると、なぜかここにいたことを……。


 女の子はドロンの話を信じてくれた。

「あたしはマコ、よろしくね」

「おいらこそ」

「ドロンは妖怪の世界から、こちらの世界に迷いこんできたんだわ」

「じゃあ、ここって?」

「ここは人間の世界。あなたがまだチャワンだったころの世界よ」

「だったら、マコは妖怪じゃないんだね」

 ドロンはマコのことを、すっかり妖怪の仲間だと思っていたのだ。

「あたしね、本で読んだことがあるの」

 こんどは、マコが知っていることを話した。

「ふたつの世界はかさなり合っていて、タマシイの通る道でつながっているそうなの」

「タマシイって?」

 妖怪になってまもないドロン、今は修行をしている身で、むずかしいことはわからない。

「人間界の者はね、死んだらタマシイになって、その道を通ってドロンがいた世界に行くの」

「おいら、死んでなんかいないよ。妖怪として生まれ変わったんだ」

「そのときドロンに命ができたのよ。それで道を反対に通ってこれたんだわ」

「そういえば、白キツネ様もそんなことを……」

 ドロンは妖怪になった夜ことを思い出した。

 あのとき白キツネ様は話していたのだ、おまえは妖怪となって命を宿したのだと。

「それでドロンは、タマシイの通る道に迷いこんでしまったのよ」

「おいら、その道を通って、こちらの世界に出てきてしまったんだね」

「そうなの。たぶんまちがって、ドロンは人間界に来ちゃったんだわ」

「その道がわかんないと、おいら、もとの世界に帰れないんだ」

「あきらめちゃダメよ。ここに出てきたんだから、きっとその道の入り口が、この部屋のどこかにあるはずだわ。ねえ、探してみましょ」

 マコがやさしくドロンの手をとった。


 ふたりは妖怪の世界に続く入り口を探した。

 ベッドや机の下を見た。

 壁や床など、あちこちをさわってみた。

 けれどいくら探しても、そのような入り口はどこにも見つからなかった。

「白キツネ様、おいらが帰らないんで、心配してるだろうな」

 ドロンの目から涙がこぼれ落ちる。

 そんなドロンを、

「帰れるまで、ずっとここにいていいのよ」

 マコはやさしくだきしめてくれた。


 こうして――。

 ドロンは人間界の女の子、マコと出会った。

 マコのあたたかな腕の中で、笑顔をとりもどしたドロンであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。