プロローグ
湖をわたる風がそよぐ
オークの木の葉で光がゆれる
遠い時代の記憶にのせて
エルフたちの詩声が聞こえる
「チチ、チチチ…」
木漏れ日の中、どこからか小鳥のさえずりが聞こえてくる。懐かしい空気が鼻に入ってくる。ここはどこだろう。柔らかな布地にくるまれて、心地よい気配を感じていると、またうつらうつらとしてしまう。
多分こういうことは、以前にもあった気がする。あいまいな記憶のかけらを、ただひたすら頭の中で丁寧に結び付けて、意味のある模様に紡いでいく。そうしていると、最初はまるで夢の中にいるように霞がかかってぼんやりしていた周囲の風景も、このところは徐々に見えてくるようになってきた。
でも、なぜだろう。今回は、出来るだけ早く戻らないといけない気がする。理由は不明だが、それだけは確かなようだ。無意識の世界に残存する記憶がそう伝えている。でもどこに戻ればよいのだろう。それがまだわからない。
断片的に覚えている無数のピースをジグゾーパズルのように組み合わせては、また元に戻す。毎日ひたすらそのルーチンを繰り返す。もちろん、焦る気持ちはあるが、今はこの作業を繰り返す以外に出来ることは何もない。
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