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パート8

渋谷、日本――

「2日後の予定だった会議を、なぜ今日に繰り上げる必要があったんだ?」

タガヤ警部が問いかける。

会議室には、東京、渋谷、そして南支部の三つのエージェンシーが集結していた。

「急な呼び出しもこれで3度目だ……。我々に手間をかけさせすぎではないか」

南支部のナズカワ警部が、不快感を隠さずに言った。

渋谷支部のオカイラ警部が深くため息をつき、水の入ったグラスを手に取る。しかし、それを口にすることなく、静かに机に戻した。

「……申し訳ない。だが、嵐山の森で我々のエージェント2名の遺体が発見された。運の悪いことに、その件は我々が動く前にSAT(特殊急襲部隊)の手に渡ってしまったんだ」

その瞬間、室内の温度が急激に下がったかのような静寂が訪れた。

「……誰が通報したんだ?」

ナズカワ警部が低く問い返す。

タガヤ警部は彼を見つめたが、誰も答えを持ち合わせていなかった。

「今の我々の任務は情報の共有、そして新たな決断を下すことだ」

タガヤ警部の言葉に、二人の警部は鋭い視線を彼に向けた。

ズーシャイ・カフェ――

マヨラは客のためにコーヒーを運んでいた。店内はいつも以上に混み合っている。

「マヨラ、17番テーブルへ!」

「はい……」

マヨラがテーブルにコーヒーを置くと、その客がすぐに伝票について尋ねてきた。マヨラは単なる冗談だと思い流そうとする。

「これはブラックコーヒーだが……俺が頼んだのはチョココーヒーだ」

マヨラは無言でカップを下げ、チョココーヒーを改めて運んだ。客は再び会計を促し、支払いを済ませる。そこには88円の余分なチップが添えられていた。

マヨラはそれを気に留めず、しばらくしてテーブルを片付けに戻った。すると、カップの裏側に一枚の紙切れを見つける。そこにはこう書かれていた。

『俺を忘れたのか』

マヨラはその紙を強く握りしめた。カップを片付けて店を出ようとしたその時、先ほどの男がカフェのすぐ外に立っていた。

男がマスクを外した瞬間、マヨラの耳がキーンと鳴り、感覚が遠のいていく。あの屋敷での記憶が、濁流のように押し寄せてきた。

(記憶の中の声)

「ここらじゃ、ずっとチーターの影に怯えてるんだ。これまでに何人も殺されている……」――屋敷の料理人。

「……死体を確認するまでは、死んだと思い込むのはただの勘違いに過ぎない」――タガヤ警部。

マヨラはただ立ち尽くしていた。耳鳴りが激しくなり、周囲の音がぼやけて聞こえ始める。

会議室――

「……君の言う通りかもしれない。大阪の森の端、民間人が決して足を踏み入れない場所に、巨大な屋敷がある……」

ナズカワ警部が呟く。

オカイラ警部は頷き、話を続けた。

「だが、警察がこの件を楽観視することはないだろう。まず我々のエージェントの半分を大阪へ送り、残りの半分をここに残す。両方の事態に対処できるように。

「彼らには、我々のうち一人が同行する必要があるな」

タガヤ警部が付け加える。

「不本意だが、嵐山の調査は一旦中断し、大阪に集中する。我々の動きが露呈すれば、厄介なことになるからな」

三人の警部は、嵐山の調査を一時凍結し、大阪へと舵を切った。各エージェンシーから3名ずつ、そしてマヨラ――計7名のエージェントが、闇の深淵へと動き出す。

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