070 僕、伝説の勇者と海龍様の強さを見せつけられる
僕は全力で結界を張っています。
勇者リューンと海龍様が暴れているので、結界を張らないと環境がとんでもないことになってしまいます。
ただ、これもいつまで持つかわからないです。
対するこちらはコウが勇者リューンとシュンが海龍様と向き合って体を張っています。
勇者リューンがコウに話しかけました。
「この国はおもしれえな。パールの息子がいるからおもしれえと思っていたが、それ以外におもしれえ奴がこんなにいるなんてな。
お前はその中でも指折りだ」
「それはどうも。伝説の勇者である貴方にそこまで言っていただくのは恐縮ですね」
勇者リューンが手に持つ聖剣を振りかぶりコウに襲いかかります。
それをコウは得意の火魔法を拳に纏わせ、聖剣を弾きました。
「恐縮してる奴の顔じゃねえな」
「そんなことはありませんよ、勇者リューン」
「へっ、食えねえやろうだ」
勇者リューンがまだ手を抜いてくれているのか、コウはなんとか渡り合えています。
コウは涼しい顔をしていますが、実はかなりいっぱいいっぱいなのは僕にはわかります。
勇者リューンは本当に楽しんでいるだけなのか、まだまだ余裕がありそうです。化物め。
一方、シュンが対応している海龍様もシュンに話しかけています。
「お主、中々に興味深い。
妾が海底にいた間にこんなに面白い奴が現れていたとはの。
リューンの奴に唆されて地上に来た甲斐があったというものよ」
「私達としては平穏に暮らしたいのですがね」
「何を言う。妾を差し置いて楽しもうなど不届きであろうが。ほれ、もっと楽しませてみせよ」
そう言って海龍様は手に水魔法を用意して、それをシュンに向けて放ちます。
シュンは雷魔法で防壁を張ってこれを防ぎます。
でも、魔法の相性としては雷は水に強いはずなのに、シュンが若干押し負けています。
「コウもシュンも何やってんだよ! 抑えるだけじゃダメなんだぞ!
リューンと海龍様を倒さなきゃいけないんだぞ!!!」
僕は2人に発破をかけます。
しかし、2人からは何の反応も返って来ません。
2人は僕に反応を返すことも出来ないのか。
ここで、少しは僕の言葉が効いたのか、コウもシュンも自分から仕掛けました。
コウは火魔法、シュンは雷魔法、2人とも自分の得意魔法を全力で放ちます。
が、勇者リューンも海龍様もそれをあっさりと防ぎました。
くっそ、なんなんだよ!
反射的に僕も動こうとした、その時。
まだ体を動かす前の段階で、
勇者リューンと海龍様は僕を睨みつけました。
マジかよ!?
僕は結局動けません。
このままではダメだと判断し、コウもシュンも基本的には主様の許可がなければ禁止されている本来の魔物の姿へと戻りました。
これはしょうがない。主様も許してくれるでしょう。
コウはSランクのフレイムバードに、シュンは同じくSランクのストームタイガーに姿を変えた。ただ、僕も含めて3人とも主様に鍛えられてとっくにSSランクの域にいる。
本来の姿に戻ればSSSランクにもう1歩と言うほどの強さになっている。
勇者リューンも海龍様も、へ〜という表情を見せている。
本来の姿に戻ったコウとシュンが第十位階魔法を全力で容赦なく放ちました。
ちょっと待ってよ! 結界で周囲を守っている僕の身にもなってほしい。
僕はそんな事を愚痴りながらもっと結界を強固にしようと全力以上を振り絞ります。
しばらくして、爆炎と豪雷が収まった時、まったく同じ位置に無傷で涼しい顔をしている2人の姿がありました。
僕は呆然としてしまいました。
コウとシュンからも絶望感が漂って来ます。
やっぱり、ダメ元で僕も戻るしかない!
僕はエンペラースライムに戻りました。
勇者リューン、海龍様! 少しは堪えてくれよ!
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