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071 僕、やっぱ無理

 コウとシュンが本来のフレイムバードとストームタイガーの姿に戻って放った、全力の中の全力の第十位階魔法が、伝説の勇者リューンと海龍様にあっさりと防がれてしまいました。


 僕は呆然としてしまいました。

 コウとシュンからも絶望感が漂って来ます。


 やっぱり、ダメ元で僕も戻るしかない!

 僕はエンペラースライムに戻りました。


 勇者リューン、海龍様! 少しは堪えてくれよ!


 その僕を見て、勇者リューンと海龍様は新しいおもちゃを手に入れた子供のように目を輝かせています。


 僕は本来の姿に戻ったことで、更に結界を強化し、コウとシュンへの防御魔法も強化しました。

 加えて、本体と分離させた分身体を2体作り、それぞれコウとシュンの元へ飛ばしました。


 さあ、これで勇者リューンに対しても、海龍様に対しても2対1です。

 これまでの様に涼しい顔はさせませんよ。


 コウが勇者リューンに火魔法を連発します。

 とは言っても、1発1発が第八位階以上の威力。ほんと結界がなかったらどうなっていることやら。

 でも、勇者リューンはこれをすんなりさばきます。

 ですが、僕の分身体が気になるのか先ほどまでに比べると余裕がない様に思えます。


 僕はこうの火魔法が目くらましになった瞬間に水魔法を放ちました。

 完全に死角からはなったのに勇者リューンはこれも防ぎます。

 勇者リューンは楽しそうに笑っています。


 勇者リューンが一瞬僕の方に視線をずらした隙にコウが巨大な火魔法を放ちます。

 これには勇者リューンもそれなりの技で対応する必要があった様です。

 手にしている政権に光が溜まって行きます。


 聖剣を振り抜くと光の斬撃がコウの巨大な火魔法を割りました。


 と同時に僕は勇者リューンの背後に転移しています。

 勇者リューンの気が一瞬それた隙をつきました。


 そして、僕は勇者リューンを丸呑みしてしましいました。

 僕の体内は特殊な亜空間になっていて、飲み込んだものを収納しておけるのです。それでいて、捉えたものは出ることができない特殊な空間に放り込まれることになります。


 このまま大人しくしてくれればいいんだけど。


 一方で海龍様は、僕の分身体とシュンに巨大な水魔法を放って来ました。


 防御しても良かったんですが、僕は水魔法を丸呑みして見せました。

 これには海龍様も驚いた様です。


 すかさずシュンが雷魔法を放ちます。

 海龍様は若干顔をしかめましたが、難なくこれを弾きます。


 僕はその間にシュンを丸呑みし、海流様の背後に転移しました。

 海流様は僕の転移を読んでいたのか、僕の更に裏を取り、鋭い水魔法で僕の分身体をぶった切りました。


 ぶった切られたと同時に、僕は体内からシュンを出します。

 これには海流様も不意をつかれたのか、シュンの雷魔法をゼロ距離からもろに受けました。


 流石にこれは効いてほしい。


 僕は勇者リューンに対しても、海流様に対しても有効な攻撃をできたと思ったのですが、やはり甘かった様です。


 勇者リューンは僕の体内から斬撃を放ち、僕の体内からブチ破りました。

 ありない〜〜〜〜!!!


 僕の体内は亜空間で、外の世界に干渉できないはずが、あっさりと破られました。

 これが、主様から聞いていた勇者リューンの固有スキルなのでしょうか。

 僕は体内のことは全て観察していましたが、全く理解できません。


 そして、海流様に目を向けると、シュンの雷魔法の直撃を受けた海流様の体が、みるみるうちにドロドロになり、液体となって崩れてしまいました。


 僕もシュンも何が起こったかわからずにポカンとしていると、突然後ろから声がしました。


「見事に引っかかってくれたのう」


 僕達は慌てて振り向きます。


「妾が水分身と入れ替わっていたのが、見抜けなかった様じゃの」

「「っ〜〜〜!!!!!」」


 嘘だろ!? 水分身!? 一体いつの間に!?


 こうしてあっという間に僕の分身体は両方とも倒され、元の状態に戻ってしまいました。


 主様、やっぱ無理っぽいです。


 僕達の心が折れかかった時、それを見計らったかの様に、勇者リューンと海流様は今までで最大の攻撃の準備を始めました。


「お前ら、中々楽しめたぜ。もう少し強けりゃ、全力が出せたんだがな。とりあえず礼にこの技をくれてやる」

「妾も久々に楽しめたぞ。妾もこの技をくれてやろう」


 あ、そのお礼いらないです!!!


 と言う間も無く、2人から技が出されました。


「固有スキル<何物も防げぬ斬撃(ザ・ブレイク)>!!!」

「<絶対なる大海の一噛(オーシャンバイト)>!!!」


 凄まじい光と水の奔流が僕達を飲み込もうとしました。

 僕は思わず目を閉じ、主様に心の中でごめんなさいと謝りました。


 しかし、攻撃は僕達に届きませんでした。


 僕はゆっくり目を開けると、


 そこには、神剣パールを手にした主様がいました。


「「「主様!!!」」」


「3人ともご苦労様。ここからは僕がやるよ。3人はアイルちゃん達と協力して、もっと強く結界を張って。

あと、サンは転がってる敵の兵士を全部食っといて」

「「「は!!!」」」


 僕達はすぐに動きました。


 勇者リューンと海流様はというと、それはもう驚いています。

 自分たちの必殺の一撃があっさりと防がれたのですから当然でしょう。

 先程までの僕達の気持ちを今度はあの2人が味わうことになったのです。いや〜、いい気味です。


 ダイキ様はまた、悪い顔で笑っています。

 もしや、あの奥の手を使う気でしょうか。


 あの顔ならそうに違いないです。

 なるほど。あの2人相手に使うならそれはもう楽しいでしょう。

 僕達の心臓は速さを増しました。


 楽しみで仕方がないのです。

 まだ決着がついていない中で不謹慎なのは百も承知していますが、こればかりはしょうがない。

 世界で確実にダイキ様しか使えない大魔法が見れるのですから。

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【世界最大の敵の元魔王、現在はウエイター見習い 〜人間の領地を侵攻中の魔王が偶然出会った町娘に一目惚れした結果、魔王軍を解体してそのまま婿入りしちゃった話〜】

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