046 僕、インターネットを普及させる
「はぁ、室長もそうだけど、もっと柔軟に対応してほしいよね」
「ですが、パソコンの機能が大幅に上がりましたし」
僕は今日もコウに淹れてもらった紅茶を飲みながら愚痴を吐いていた。
「まぁそうなんだけどさ。僕はまず普及させたかったんだよね」
「先週販売も開始されましたし、ひとまずは良かったのでは」
「そうだね、とりあえずはどうなるか様子を見よう」
最初に売り出したパソコンには文書作成と表計算のソフトは入れた。
これには新聞社も絶賛するに違いない。今までは筆記用の魔道具を使っていたはずだから、これは褒められるはず。
1週間の売り上げは2千台を超えたようだ。1台が 50 万円相当なので、国や企業がほとんどみたいだけど。
「まずは新聞の反応を待とうかな」
翌日
「主様、パソコンについて記事が出ていました」
「あ、出てた!? どれどれ」
『パソコン発売から1週間、売り切れ続出! これは魔王様の最高傑作か!?』
「お〜! やったよ! ついに新聞に絶賛された!」
「はい。お見事です」
「いや〜、気持ちいいね。よし、挨拶に行こうかな」
「「「っ!!!」」」
「おやめください!」
「そうです。新聞社に忖度させることに繋がってしまいます」
「それこそネタにされてしましますよ」
「そっか、そうだよね。じゃあ気分がいいから喫茶店に行ってこようかな。サン、今日は定休日じゃないよね?」
「はい、今日は営業日です」
「じゃあ行ってくるね」
僕は喫茶店の前に転移した。
「マスタ〜」
「これは、魔王様。うちでもパソコンを導入しました。売り上げの計算など非常に役立っております」
「お〜、買ってくれたんだね。役立ってくれてるみたいでうれしいよ」
僕は非常に気持ちよくコーヒーを飲んだ。
この1か月後
パソコンは新聞の絶賛や、購入者の口コミもあり、市民にも少しずつ広がっていった。
「そろそろインターネットも開設しようかな」
そうして僕は室長の所に向かった。
「室長〜」
「お、魔王様。今日はいかがされたでありますか?」
「パソコンの売り上げも好調みたいだし、そろそろインターネットを実装しようかと思って」
「お〜、ついに実装でありますか。インストーラーの準備と魔素を使った通信の使用確認は済んでいるであります。いつでもいけるであります」
「じゃあ、早速来週から始めよう」
本来10万円相当のインストーラーだったけど、既にパソコンを購入している人には1万円で売ることにし、これから買う人にはセット割で2万円。というキャンペーンを期間限定で打ち出し普及を狙った。
結果、僕の作戦は見事に的中し、インストーラーもパソコンも爆発的に売れた。
特に、メール機能は大受けだったようで、企業間のやり取りの手段として定着するまで時間はかからなかった。
僕は更にインターネットを普及させる為に、まずは役所の各部署にホームページを作らせた。
すると、見よう見まねで大きな企業から続々とホームページを作りだし、インターネットは次第に賑わうようになっていった。
「うん、いい感じだね。新聞社もホームページを作ったみたいだし、これは完全に成功だよね」
調子に乗った僕は、インターネット利用者が相互に繋がれるプラットホームとして『まおうチャンネル』という掲示板を作り、利用者参加型の百科事典として『マオペディア』を立ち上げた。
これで更に加速度的にインターネットが盛り上がるはず。
僕が『まおうチャンネル』と『マオペディア』を作ってしばらく経った時、
「主様、『マオペディア』に魔王様のページが出来ています」
シュンは3執事の中でも1番パソコンが気に入ってくれていた。最近では四六時中ネットサーフィンしている。ネットゲームでも出来ようもんなら、ネトゲ廃人になっちゃうんじゃなかろうか。
「僕のページか、どれどれ」
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ダイキ・リューンダイン
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出典: フリー百科事典『マオペディア』
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ダイキ・リューンダインは、ダイン魔族連合王国の魔王、道楽家。
同国初代魔王。
龍ヶ峰で生まれ育つ。父親は四神獣のパール・リューンダイン。
10歳の時に後の3執事、コウ、シュン、サンを配下とする。
12歳の時にアイル=ダルム、アンサッスを弟子に取る。
15歳の時に魔族領に赴き、当時の魔王ジョルジュ=ダルムの病を治し救世主と呼ばれる。
……
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とりあえず最初の方は概ね間違ってなさそう。ただ、道楽家ってなんだよ。
とりあえず続き読むか。
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……
魔王になってからは多くの発明をする。中でも携帯電話、パソコンは画期的な発明と言える。
一方で、大流行している魔王将棋、サッカーというパフォーマンスなど娯楽にも力を入れ、ケーキやラーメンなど新たな食文化の育成にも熱心である。これらを指して、新聞では道楽と揶揄される。
多くの発明の中にコーラなど失敗作もあり、道楽家と呼ばれる理由ともなっている。
(『魔王様の功績一覧』を参照)
……
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「……」
僕って道楽家って呼ばれてるの? もしかして市民の間で定着してる?
「主様、ちなみに『まおうチャンネル』にはこんなものも」
僕は見たくないけど見てしまった。
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魔王様って仕事してんの? wwwwwwwwww
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1: 名無し
昨日も喫茶店に入り浸ってるの見たぞ
2:名無し
俺はケーキ屋で見た
3: 名無し
俺は中央通りで大量に買い漁ってるのを見た
4: 名無し
やっぱ仕事してねぇwwwww
5: 名無し
でも温泉は良かったぞ
6: 名無し
>>5
確かにあれは良かった
7: 名無し
ラーメンもうまいよな
8: 名無し
>>7
あれはうまい。魔王様は神。いや魔王。
9: 名無し
でもコーラは……
10: 名無し
>>9
あれは罰ゲームwwwww
11: 名無し
>>9
あれは罰ゲームwwwww
12: 名無し
>>9
あれは罰ゲームwwwww
…
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「……」
「主様、戻りました。ってあれ? パソコンの前でなんで固まってるんですか? まさか! シュン、お前主様にあれを見せたの?」
「今ちょうどお見せしていた所だ」
「馬鹿!!!」
「ちょっと新聞社行ってくる」
「主様、待ってください! これは新聞社関係ないですからね!」
「離せサン! 元凶は新聞社なんだ。やっぱり1回シメとかないと」
「落ち着いてください! おいシュン! お前も手伝えよ!」
「お、おう」
ネットの拡散力は凄まじく、あっという間に辺境まで道楽家というのが広まってしまった。
僕はインターネットを作ったのを少し後悔した。
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