お勉強会!
土曜は、ロマノ大学の卒業式だ。お父様は、いつもより立派なスーツでお出かけされた。
「私がやはり総代なのかしら?」
卒業式で、嫌な事を思い出しちゃった。入学式で、挨拶なんかしたくないよ。
「アルーシュ王子が総代で挨拶したら良いんじゃない?」
お父様に言ってみよう! でも、お父様って融通が利かないからなぁ。
他国でも王子なんだから、そっちを優先させてあげても良いんじゃないかな? と私は思うんだけどね。
今日は、マーガレット王女達との勉強会だ。お陰様で、屋敷はピカピカに磨きあげられているし、玄関、応接室、食堂にもバラが飾られている。
応接室には、勉強しやすいように高い机と椅子が設置済み。それぞれの机には、魔導灯も置いてある。
マーガレット王女とリュミエラ王女、エリザベス様とアビゲイル様とリリーナ様とで机を使って貰う予定。
私は、それぞれの机の前の椅子に移動しながら、勉強を見る感じかな?
だから、今日は応接室のカノンは、隅に置いているよ。お茶を飲む時の、応接セットはそのままにしているからね。
皆様が来られるまで、子ども部屋でヘンリーとブロックで遊ぶ。
「お嬢様、お越しですわ!」
メアリーが少し緊張した声で告げる。今日は、ヘンリーはランチも別の予定だ。女子会だからね!
「カミュ先生と一緒にランチを食べてね! 今日は女の子だけの勉強会だから」
「ええ、お姉様!」
ううん、可愛い! ほっぺにキスして下に降りる。
「ペイシェンス! ほんの少し会わないだけなのに寂しかったわ!」
マーガレット王女の言葉に、エリザベス様達も頷いている。
「お茶でも……」と言いかけたけど、今日は勉強会!
「先ずは、勉強してからにしましょう!」
やはり、侍女のゾフィーではなく、女官のシャーロット様だった。
それぞれの侍女が用意した勉強道具を机に広げて、勉強会を開始する。
「やはり、家政数学が一番難しいわ。世界史もややこしい暗黒時代だけど、ペイシェンスのノートのお陰で、なんとか合格点は取れそうなの」
二人の王女様は、それぞれの婚約者の王子と話が合わないと困るから、世界史も勉強している。
「こちらの簡易表を覚えれば、テストは合格できると思います」
エリザベスとアビゲイルは、何とかなりそうだけど、リリーナは……不合格にならないように、最低限のメモを書く。
「リリーナ様、これだけでも覚えて下さい。留年にならないように、絶対に!」
リリーナ様が、メモを必死で覚えているので、留年は避けられると信じたい。
ランチは、エバの渾身のヌーベルキュイジーヌのコース!
「まぁ、なんて綺麗な料理なの! 食べるのが勿体ないぐらいだわ」
そう言いながらも、食べるんだけどね!
前菜は、マッドクラブと雲丹、それに型抜きした野菜のテリーヌ。
「ソースまで綺麗に掛かっているし、それに美味しいわ!」
半円形にドット模様にかけてあるソースは、低温調理で甘くしたパプリカだ。
スープは、澄んだコンソメ。でも、可愛いハート型のニンジンと蕪が浮かんでいる。
「ペイシェンスの料理人、とても腕が良いのね」
リュミエラ王女にも褒められたよ。後で、エバに伝えてあげなきゃ!
今日は簡単なお食事。あまりお腹いっぱいになったら、勉強できないからね。
魚料理は、グレンジャー海老のテルミドールだけど、丸ごと半身は出していない。
殻から出して、一切れ! その皿には、ミニニンジン、ミニブロッコリーなどが芸術的に飾ってある。
「美味しいだけでなく、目でも楽しめるわ!」
おしゃれなエリザベスは、とても気に入ったみたい。
「いちごのシャーベット、美味しすぎるわ!」
お代わりをしたそうなアビゲイル。横で、リリーナも頷いている。
「メインは? もしかしてワイバーンなのかしら?」
マーガレット王女は、わかっているね!
「ええ、エバの渾身のゲームパイですわ」
教授会のゲームパイは、大きな型で焼く。こちらは、一人ずつの小さなゲームパイ? 一人ずつだと、ただのパイかしら?
「まぁ! ワイバーンだわ」
全員がサービスされると驚き、手を叩く。
「ワイバーンって、こんな形なのね」
「これなら可愛いと言えるかも? でも、実際は大きいのでしょう? 王立学園にも一頭、寄付されたのよ」
パーシバルの討伐したビッグボアだけじゃなく、ワイバーンも寄付されたみたい。
私は、その頃は金の鬣と天狼星がいるので、屋敷に篭っていたんだよね。
「ええ、凄く恐ろしかったわ!」
そんな話をしながら、ワイバーンのミニゲームパイを食べる。
サクッとナイフを入れて、半分に切ると……エバ、凄すぎるよ!
「まぁ! 中は何重にもなっているのね! 綺麗だわ!」
ニンジンの赤、ワイバーンの茶色、かぼちゃのオレンジ、キノコの黒、葉物の緑、蕪の白。
綺麗な断層になっているし、それぞれ味付けが美味しい。
「ふぅ、お腹がいっぱいになったわ」と言いつつ、デザートも食べる。
今回は、イチゴがメインのデザート! いちごケーキだけど、下半分はムースになっているし、宝石のようなイチゴがケーキの上に鎮座している。
「ふぅ、勉強するのが嫌になってくるわ」と言うマーガレット王女だけど、なるべく多くの単位を取って、最終学年は花嫁修業も始めなくてはいけないのだ。
また応接室に戻って、午前中の続き。リリーナが最低ラインのメモを覚えたか、テストする。
「これなら、なんとか……」ホッとしたよ。
他の人達も、それぞれ目標ラインに達したので、お茶にする。
エバに簡単で良いと伝えていたけど、やはり手の込んだ茶菓子が用意されていた。
色とりどりのマカロン! 可愛いよね!
それを摘みながら、お茶を飲んで、今日は解散! ミッチャム夫人が、お付きの女官や侍女にお土産を渡している。
「ペイシェンス、今夜は宜しくね!」
リュミエラ王女も、リチャード王子とブロッサム公爵のパーティ組だ。
「皆様、良い結果を!」
ロマノ大学の卒業パーティに行く狩人達に、エールを送っておく。




