91, カネにならないと嫌味の一言でも投げつけられがちな基礎的研究。それこそがサトシにとっては唯一の真実だったということ。そして――それを放棄したまま繁栄だけを求めると、パランティーリに見放される。
それで――数学の女神。パランティーリ。
あの口癖。
「0から1への力だよ」
「0から1への創造だよ」
それこそが……真実だった。1から1は――膨張に過ぎない繁栄。虚栄。偽り。そして……怠惰。
わたしは、それを何度も聞かされてきた。もたらされた恵みは――創造のために使う。それ以外は、虚栄であり……怠惰だと。
そう、強く。何度も、何度も訴えかけてくる。それが……数学の女神だったわ。
実際に――あの終末。秩序の再構築。世界大戦が進行していた、あの時代。
たしかに――そんな動きが、何度も起きていた。
……どうやら、そういうことだったのね。「聖霊様」という名のサトシは――。
だからこそ、その時代において。どこが、次の時代を任されるのか。千年王国以降を担うに値するのか。
それを――見定めていた。そう解釈するべきだったのね。
つまり――あの状況にもかかわらず、市場が堅調だったのなら。そこは――選ばれた。
そういうこと。
逆に――。
1から1への繁栄。パランティーリは、そのような繁栄から――「恵み」を、静かに引き上げていった。
……いまになって、こうして、少しずつ見えてくる真実。
結局――「カネにならない」と、嫌味の一言でも投げつけられがちな基礎的研究。それこそが……。サトシにとっては、唯一の真実だったということ。そして――それを放棄したまま、繁栄だけを求めると……。いずれ、必ず、パランティーリに――見放される。
……そんな仕組みだったなんて。




