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デジタルゴールド ―― 女神に接続された暗号  作者: パランティーリ
第十三章:SHA-256に浮かぶ刻印 ―― パランティーリ
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78, 狂ってしまった ―― そう囁かれるようになったわ。それでも、数学の女神は余裕の笑みを浮かべていたわ。

 シィーらしくない、その言葉に……また、あのときの情景が蘇ってきたのよ。


 燃料の見通しが立たない状況の中で……。ついに、ふたりの証人と、わたしは――狂ってしまったのではないか。そんな囁きが、広がっていったわ。


 でも……わたしは、すぐに受け入れていた。だって……。


 それでも、わたしのすぐ傍にいた数学の女神は――余裕の笑みを浮かべていたのよ。


 そう……何を叫ぼうと、何が起ころうと。秩序の再構築の勝負は――始まる前から決まっていたわ。


 彼女は、そう言い切っていたのだから……。


「なんだか、騒がしいよね。こちらは、こんなにも余裕なのに……周りが騒いでいるだけだよね?」

「……。」

「どうしたの、ネゲート? 何か気になることでもあるの?」

「……、だって……。」

「そういうところ、ネゲートは弱いよね。でも……それでもネゲートにしか、この状況は打開できないよ。それだけ重要な使命を背負っているんだよ。そこは、期待しているよ。」

「ちょっと……それって……。」

「そうだよ。始まる前から、勝負なんて決まっているよ。それは、何度も話しているよ。だから……しっかり決めて、頑張ろうよ。」

「……、そうね。」


 どのみち、わたしには何もできない。そんなもどかしさの中で……わたしは、成り行きに身を任せるようになっていたわ。それは……あのときの自分を思い出していたから。観測者だった、あの頃のわたしを。


 観測者……。聞こえはいいけれど……それって……。その頃、わたしは女神ではなく、魔女と呼ばれていたわ。


 ううん。どのみち、悩んでも何も変わらない。


「そうそう。燃料が心配なのはわかるけど……どうやら市場も気づき始めているよ。この……計画に、ね。」

「……。わたしは、できることをする。それで……いいのよね?」

「うん、それでいいよ。みんなで幸せになるために、頑張ろうよ。」


 ……。そこには、妙に納得してしまう、わたしがいたわ。


 そして――実際に、今は……平和よ。


 そうね……。クリプトは、いったい何を数学的に証明したのか。まだ……その答えは見えてこないわ。


 ううん……。すでに、量子オラクルのように目の前に存在しているのに……観測できない。


 その、もどかしさこそが――もしかしたら……その「解」なのかしら。

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