50, どのみち、クリプト……仮想通貨は――。もって、あと三年。それはもう、噂ではなかった。警告へと、変わっていたのよ。
採掘とSHA-256がすでに危険水域にある状況で――。そこへ、さらにECDSAの衝撃。
もう……古い未使用トランザクション出力なんて、破られたも同然だったわ。これで楽観的でいろ、なんて……あり得ないのよ。
それまではね。既存インフラに影響が出るから量子なんて出せない――そんな話ばかりだった。
でも……もう、その次元の話じゃない。
特にECDSA。公開鍵と、その先にある価値が、直接結びついている。既存インフラでは、まずあり得ない構造。
つまり――。
「これを解けた者に、この残高を与える。これが『恵みの時代』だ。」
そんな公開イベントが、常時開催されているのと同じ。……そういうことだったのよ。
この状況で、量子耐性アドレスへの移行。つまり、未使用トランザクション出力の保護。本来なら急ぐべきだった。
でも――。
ECDSAのバーンは封じられていた。
それだけは許さない、と。機関から、強く念押しされていた。
……じゃあ、どうするのよ。移行期間を、どうやって確保するの。
ある者は、何かおかしな方法を並べていたけれど――。秘密鍵の所有で権利が決まる、この仕組みでは。そんなもの、何をしても意味がないわ。
結局は――本人が、自分の意思で移動するしかない。それだけ。
……。そして、この罠を張っていた相手。常に、クリプトに対して好戦的だった。
まず――。
今回のECDSAへの雷光。あれは、いつも量子問題を投げ込んでくる者たち。暇さえあれば、クリプトを標的にする。そして――。あのSHA-1を粉砕した者たちでもあった。……非常に、好戦的。
次に、採掘。クリプトを皮肉たっぷりの論文で弄び続けてきた者たち。その彼らが提示したのが――。採掘の「量子寡占――いつでも二重支払い可能」問題。こんな相手が、すぐ隣にいるのよ。それなのに――。10年、20年は大丈夫だなんて。……何を見ていたのよ。しかも彼らは、最大抽出可能価値を敵視している。当然、こちらにも攻撃的。
そして――。SHA-256。量子アニーリングで衝突検知を狙う者たちは、はっきりと言った。
「我らが最初に、あの女神のクリプト……仮想通貨を破ることになるだろう。」
……逃げも隠れもしない。あまりにも、ストレート。そして――。あのSHA-1を破るためのロジックを組み上げたのも、彼らだという噂すらあった。
そこに――。刻印。
スコフィールド注釈付聖書初版。ハルマゲドン。そして――ロンギヌスの槍。
……これだけ並べられて、どこか一箇所でも破られれば、終わり。そんな、極めて不利な構造。三方向プラス刻印から、同時に崩される。……逃げ場なんて、なかった。
そして――。こういう状況だからこそ。
噂は、すぐに現実へと変わっていった。そう……。
どのみち、クリプト……仮想通貨は――。
もって、あと三年。
それはもう、噂ではなかった。警告へと、変わっていたのよ。




