45, 信頼の証 ―― 聖霊様が設計した「定数」と「構造」のみが、許されていた暗号ってことだったのね。
そうね……。この地には、「許されていた暗号」という――少し変わった風習があった。
暗号そのものは、いくらでも存在するわ。でも――使っていいものは、限られていたの。
決められた「定数」と「構造」。それだけが、求められていたのよ。
つまり――。暗号として「信頼の証」を得るためには、その指定されたものを、必ず使わなければならない。
そこが、すべてだった。
だから――。クリプトもまた、「信頼の証」を得るために、それ以外の暗号には基本的に触れなかった。
もちろん、例外はある。でも……その例外ですら。
そうね……結局は、SHA-256を経由させる構造になっていた。……そういうこと。
このSHA-256。そして、SHA-1も――。どちらも、「信頼の証」を与えられていた暗号。
そして……問題を起こした、あの決定論的乱数生成器ですら。同じく、「信頼の証」を持っていた。
……。信頼の証。
それは――。暗号にとっての「神の刻印」だったのかもしれないわ。
そう……。改めて、SHA-256の内面に秘められたスコフィールドが、そう呟いているように感じたのよ。
信頼の証とは――神の刻印を得るためには、決められた「定数」と「構造」を、必ず使う。
たとえ、他の選択肢を望んだとしても。
その指定されたPとQ以外を使いたいと、どれだけ叫んでも――。それ以外を使えば、「信頼の証」を失う。……そして。獣となる。……もちろん。もともと、獣だったのかもしれないけれど。
それでも――。その線引きは、確かに存在していた。では――。
これほどまでに、数学的に精緻な構造を設計し、その運用まで支配する存在は……誰だったのか。
……。
「聖霊様」。そう考えるしか、なかった。
ううん――。
信頼の証とは。
聖霊様が設計した「定数」と「構造」のみが、許されるということ。
……つまり。
それ以外は、最初から許されていなかった。
そういうことだったのね。




