29, 燃料が足らず、みな、完全に疲れ切っています。そこに極端な気候が直撃しています。ああ……神様。これでは、みんな、持ちません……。
結局――。
クリプト……仮想通貨は、「神の計画 ―― 終末論」の一部だった。
わたしは……。
全貌が明らかになったSHA-256刻印の、完全な解釈を手にした今――改めて、当時の……あの状況を見つめ直していた。
……。
「女神様……。ああ……、ご慈悲を……。」
「な、なによ……。急に……。」
「燃料が足らず、みな、完全に疲れ切っています。そこに極端な気候が直撃しています。ああ……神様。これでは、みんな、持ちません……。」
「……。」
「女神様……。クリプトの塔――『1ゼタの神殿』で消費される大量の燃料のうち、せめて、1エクサ分だけでも……お恵みいただけないでしょうか。それだけでも……、月に数回は……命をつなぐための貴重な燃料が……、港に……。」
「そ、それは……。」
……。
わたしだって――どうにかしたかった。
でも。
これを一度でも受け入れてしまえば……。
すぐに――他の地域からも、同じ要請が押し寄せる。
そうなれば――。
大部分のハッシュレートを、失うことになる。
……。
このときのわたしは――それ以上、何も考えなかった。
……ほんと。
とんでもない女神だったわよ……。
やっぱり。
でも――。
こんな事態に至った原因は、はっきりしている。
あのSegWitよ。
SegWitは――クリプトの採掘を抱えている。だからこそ、燃料に対して、もともと極端に弱い。
その致命的とも言える弱点を――完全に見透かされた。
その状態で――。
「秩序の再構築」を開始するなんてね。
……。
それからは――。
まるで操られているかのように、燃料供給網が閉じられていった。
そしたらあのSegWit。慌てて、地の大精霊に働きかけて制裁を解除したのよ。
そしたら今度は――その大精霊の敵対勢力によって、燃料供給源そのものが破壊される。……どうしようもない状況だった。
当然よね……。敵から見れば――。
SegWitの制裁によって、かろうじて戦況を維持していたのに、それを解除される。
ならば――。
その燃料供給源そのものを叩く。
それは、あまりにも合理的で自然な判断だった。
……。うん……。
今にして思えば――。その行動すら、すべて読まれていたのかもしれない。
SegWitの性格。構造。意思決定の癖。
すべてを分析すれば――。
燃料に関して、あの行動に出ることは、あらかじめ予測できる。
……つまり。最初から――。
全部、計算されていた。
……。
これが――。
あの数学の女神の書物に登場していた……「聖霊様」。
……、なのかしら……。




