↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Ray of sunshine』レイ オブ サンシャイン - Stunning sky in Florida - 突然の御曹司との生活……?! 過去を紐解きフロリダの空の下で輝くサクセスストーリー  作者: 彩川カオルコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
102/104

第102話『Race through the street』逃走劇の果てに

有紗(アリサ)がいるはずのスタジオの前で思いがけなく声をかけられ、驚いて駆け出した玲音(レオ)は、雲ひとつない燦々(さんさん)と太陽が降り注ぐ空の下、観光客の波に紛れながら全力でクレマチス・ストリートを走り抜けた。


「はぁ……さすがに……ここまで追いかけては来ねぇだろ」


玲音は木陰で足を止める。

ベンチに腰を下ろし、背もたれに身を(ゆだ)ねた。


「マジでびっくりした……チッ! 俺としたことが、とんだ早とちりしちまって……」


さっき肩に置かれた手が、てっきり仕事の呼び出しから戻ってきたジェンミのものだと思い込み、見当違いの相手に、勢い余って日本語でまくし立ててしまった。

その光景を思い出す度に、玲音は顔を歪め、髪を()きむしる。


「あー、ったく! 不覚(ふかく)だ! それに、なんで()()をあの男が持っていたんだ?!」


腕を(つか)まれたとき、彼のもう一方の手にスティック状のものを見つけた。

それは今朝、いつものように有紗がひらひらとはためかせていた物と一致する。

ここはアメリカ、そんな物が偶然転がっている確率は至って低いだろう。


「あの日本人が持ってたのって、絶対有紗の扇子(せんす)だよな?! ってことは……あれが " 例のカメラマン " ってことか?!」


玲音はベンチで一人、表情を変えながら首をかしげる。

「だとして……なんでカメラマンが有紗の扇子を?! いや……そんなことはどうでもいい! 俺よりもジェンミが見つかったらマズいだろ?! だってアイツはエプコットで目撃されてるわけだし……」


その時、また背後から肩を掴まれた感覚が走り、玲音は驚きのあまり声をあげた。

「わぁっ!」


手を置いた(ぬし)はその声に驚く。

「な、なに? どうしたんだよレオ! そんなに驚くなんて……」


「あ、いや……」

玲音はばつが悪そうにジェンミを見上げる。


「あはは、お化けでも見たような顔してるよ?」


「び、びっくりさせるな!」


「びっくりさせるつもりで声かけたんじゃないんだから。こんなとこに座ってるなんて、こっちこそびっくりだよ!」


「そりゃまぁ……そうか」


「どうしたのさ? アリサがいるスタジオって、あっちでしょ?」


玲音が慌てて引き留める。

「ああダメだ! お前はやめとけ」


「はぁ? なんで? あ……レオ、もしかしてもう見に行ったの? なんだよ! ()()けじゃん!」


()ねた表情のジェンミに、玲音は面倒くさそうにため息をつく。


「だから……今、そこから逃げてきて……」


「はぁ? 逃げて?? いったいなにがあったのさ?」


「とにかく! お前は行かない方がいい。男に声をかけられたんだ。お前がエプコットで会ったヤツかもしれない」


ジェンミは目を見開く。

「えっ?! あのカメラマンに会ったの?!」


「ホントにそいつかどうかはわからないが……その可能性が高い」


「なんで? スタッフも沢山いるんだから、一概(いちがい)にあのカメラマンとは……」


玲音はため息をついてジェンミの言葉にかぶせる。

「そいつ、扇子を持っててさ」


「ん? 扇子?」

ジェンミは首をかしげる。

「へぇ、珍しいね。いくら日本人でも扇子を常備してる男性なんているんだ?」


「じゃなくて! アイツが今朝持っていった、あのライトブルーの扇子だ」


「ええっ!? あのアリサの扇子を?! その男が?!」


「ああ。だから例のカメラマンじゃないかと思ってな」


「なるほど。うん……きっとそうだろうね。あのカメラマン、アリサと妙に距離感が近いからさ……」


「だろ? だからヤバいと思って、とりあえず逃げてきた」


ジェンミは不可思議な面持ちで眉を寄せた。

「ん……? にしてもさ、普通、走って逃げたりする?!」


「なに言ってんだ! お前が来ちゃマズイだろ?! だから早くその場を離れようとしただけだ」


「そっか……それは確かに。もう一回彼と遭遇(そうぐう)しちゃったら、さすがにボクのこと、アリサのストーカーかなんかと勘違いされちゃうかもしれないしね」


「ま、あながち間違ってもないけどな」


「もう! またそんな言い方する……とにかく、ここでこうしてても暑いだけだからさ、どこか店に入ろうよ」


「そうだな……なら……」


辺りを見回した玲音に、一つの案が浮かんだ。

視線を戻すと、同じく確信をついたジェンミが同じ表情をしている。


「行くか?」


「そうだね!」


二人はメインストリートから外れ、陽射しを避けるようにひんやりとした路地裏へと消えていった。



第102話『Race through the street』逃走劇の果てに - 終 -


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。