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沢(さわ)凪(なぎ)せ女(にょ)り~た3  作者: 椎家 友妻
第二話 言伝の真相
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3 玉木、メイドさんを語る

「あ~っ、メイドさんっていいよな~」

 その日の昼休み、クラスメイト(しかし決して仲が良いという訳ではない)の玉木(たまき)直人(なおと)は、昼食のカレーパンをかじりながらそう言った。

そんな玉木の前の席でコロッケパンを頬張(ほおば)る俺は、冷たい口調でこう返す。

 「何をいきなり言い出すんだよお前は?」

 すると玉木は右の(こぶし)をグッと(にぎ)ってこう続けた。

 「この前深夜番組を見てたら、俺の好きなアイドルの(さい)(さき)綾音(あやね)ちゃんがメイドさんのコスプレをしててさ、それを見た瞬間に『これだ!』って思ったんだよ!」

 「どれだよ?」

 「メイドさんはご主人様に、誠心(せいしん)誠意(せいい)を尽くしてお世話してくれるんだ。

朝は優しく起こしてくれて、家に帰ったら可愛い笑顔で

『お帰りなさいませ、ご主人様♡』

って言って(むか)えてくれるんだよ。もしそんなメイドさんが家に居てくれたら、俺の人生は毎日がバラ色になるね!」

 「ああそうかい」

 ていうか今俺の住んでる所にそのメイドさんが居るけど、そんな事言ったらこいつも(さわ)(なぎ)(そう)に引っ越すとか本気で言いそうだから絶対言わねぇ。

そんな中玉木は目をキラキラ(かがや)かせながら続けた。

 「もうひとつ言うと、張馬(はりま)先輩(矢代先輩の事)が俺のメイドさんになってくれれば最高なんだけどな~」

 「あの人は他人に奉仕(ほうし)できるような性格じゃねぇと思うけど」

 俺がそう答えると、玉木は一転して真面目な顔になって言った。

 「そういえばイナゴン(俺の事)、張馬先輩はどうしてあの見事なロングヘアーをバッサリ切っちゃったんだ?今じゃすっかりボーイッシュなショートカットになって、張馬先輩ファンの間では賛否(さんぴ)両論(りょうろん)なんだぜ?」

 矢代先輩ファンの賛否はともかく、矢代(やよ)先輩はあの事件(第二巻参照)で自慢のロングヘアーをバッサリ切ってしまった。

が、その詳しい経緯(けいい)をこいつに話す義理もないので、俺は素知らぬ顔でこう返す。

 「さあ?俺は何も知らねぇよ。ちょっと気分転換でもしたかったんじゃねぇの?

ていうかお前も矢代先輩はロングヘアーの方が良かったのか?」

 「そ、そんな事ないよ!どんな髪型だろうと、張馬先輩への俺の想いは変わらないぜ!」

 「はいはい、そうですか」

 と俺。

(さっ)しの通りこいつは超が付く程の矢代先輩のファンだ。

この前などはあらぬ誤解で、こいつを筆頭(ひっとう)とする矢代先輩のファン達にひどい目にあわされそうになった。

だからこいつらは下手に矢代先輩の事で刺激しない方がいいのだ。

 さて、それはともかく。



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