2 鼻に紅ショウガを詰めた状態でプレゼントを渡せばいいらしい
「いや~、小宵ちゃんってホンマに可愛いな~」
自転車でミナ高へ向かう途中、後ろに座る矢代先輩がほうっとため息をつきながら言った。
それに対して俺は自転車をこぎながらこう返す。
「そうですねぇ。ちょっと人見知りするけど、性格は素直でいい子だし」
「このままず~っと沢凪荘に居ってくれたらええのにな~」
「気持ちは分かりますけど、それは無理でしょう」
「いやいや、このまま沙穂さんが何も思い出さんといてくれたらええねん」
「ハハハ・・・・・・」
沙穂さんだったら例え思い出したとしても、小宵ちゃんを沢凪荘に留める為にずっと忘れたフリをしそうだな。と思いつつ、俺はさりげなく話題を変えた。
「ところで矢代先輩、ちょっと聞きたい事があるんですけど」
「ん?何?」
「例えばの話なんですけどね、女の子にプレゼントを渡そうと思ったら、どういうタイミングで何て言って渡したらいいですかね?」
ちなみにこれは昨日岩山店長にもらったイヤリングに関する相談なんだけど、それを聞いた矢代先輩は興味津津で食いついてきた。
「え?なになに?お兄ちゃん、誰かにプレゼントあげるの?」
「いやいや、例えばの話ですよ。例えばある男が、特に好きでもない知り合いの女の子にプレゼントをあげる場合、どんな感じで渡せばいいのかなと」
「みっちゃんに何のプレゼントをするの?」
「違いますよ!何でここで美鈴が出てくるんですか!例えばの話だって言ってるじゃないですか!」
「う~ん、まあ、普通に渡したらええんとちゃう?」
「普通って、どんな感じですか?」
「鼻に紅ショウガを詰めた状態で、『はいこれ、プレゼント』って言うて渡したらええんよ」
「何で鼻に紅ショウガ⁉」
「普通な感じやろ?」
「全然普通違う!」
「で、みっちゃんに何をあげるの?ウチにはくれへんの?」
「だぁあっ!だからそういうんじゃないって言ってるじゃないですか!」
どうやらこの人に相談したのは間違いだったようだ。
やっぱり自分で何とかするしかねぇか。




