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第十六話

一週間ぶり?ですね。お待たせ致しました。そしてあんまり進んでません。





こんにちは、皆さん。神咲(かんざき)璃桜(りお)です。

只今私は、異世界トリップして色々あった後、オルカディン王国の城の一角で尋問らしきものを受けておりました(精神的に疲れたというか今も疲れてる)。

目の前にはにこにこと何を考えてるか分からない笑顔を浮かべてるクリス王子と、そのクリス王子の後ろで立っているカヌイ?さんに、私の後ろで困ったように微笑んでいるアレス。

それに部屋の入り口に立っている兵士2人。助けて、という視線を向けてじっと見ていたが、多分意識的に無視してるよあれ。助けろよ。


現実逃避したかったが、そういうわけにもいくまい。仕方ないので内心溜息を吐きながら目の前の机に置いてある物を見る。

先程戻ってきた時に自己紹介をした、全身真っ黒であるカヌイ・ヘカ・プロメウスさんが喜々として持ってきた代物だ。大きさはゴルフボール程の大きさで、真珠の様に光沢のある、何やら高そーな物。

何だこれは、と視線に込めながらカヌイさんを見る。すると説明したかったのか、先程の寡黙さは何だったのかと言うほどに饒舌に説明しだした。


「これは生き物の魔力を測る物で、触ったその人間の魔力の大きさと質を測る物だ。大きさは白から黒までの色を出し、質は光沢で出せる」

「おや、この前は色だけだと思ったのですが、もう改良したのですか」

「ああ。これで更に精霊や魔族の魔力も測ってみたいものだが、それにはまだまだ改良しないとな」


……ちょっと待ってくれ。その魔力測定物なる物を私が触れと?


明らかにフラグ(色々乱立する可能性有り)。


アレスよりも魔力が高い私だよ?質はどうか分からんけど、上限が分からないから何が起きるか分からんぞ?あ、そういえばこの2人のステータス見るの忘れてた。こんな便利なのがあるんだから多用しないと。そう思いながら確認する。先ずはクリス王子から。


『 クレイオス・ベルガ・ディエス・オルカディン ??

  体力 674/674

  魔力 571/571

  種族 ヒューマン

  武器 クレイモア

  属性 【光】【風】

  状態 なし

  スキル・技 清輝光風

  称号 光輝の戦神                』


おお、アレスよりは強い。というか、この世界って厨二が流行ってんの?言うにしても恥ずかしいくらいだよこれ?本人たちは気にしないのかな。

あ、カヌイさんも確認しないと。どれどれ。


『 カヌイ・ヘカ・プロメウス ??

  体力 593/593

  魔力 562/562

  種族 ヒューマン

  武器 クレイモア

  属性 【火】【雷】【土】

  状態 なし

  スキル・技 黒焔焦土

  称号 蒼天の騎士       』


ふむふむ、こう見ると一番強いのはクリス王子で、カヌイさんは魔力、アレスは体力が強いって感じかな。私が一番強いけど(決して自慢じゃない)。というか、カヌイさんってアレスと対照的だなぁ。スキルと称号も対照的だし。

と、カヌイさんをじっと観察しているとアレスと喋っていた顔をこちらに向けてきた。と思ったら妙に何か期待したような瞳をこちらに向けてくる。

やめてくれこっち見んな、と内心叫んでいたら目の前で満面の笑みで最後の通告をしてくる方一人。


「リオ、その魔水晶を触ってくれるかい?」


お断りします。と言えたらどれだけ良かっただろうか。だがしかしここで断ったらその理由を聞かれる。最終的にはシエルのことまで知られて何かあるかもしれない。それだけは駄目だ。私は兎も角、シエルに何かあったらと思うと耐えられない。

この短い日でシエルは私の大事な弟のようなものになった。この世界での癒し。いきなり別世界に来て急に家族や友達と離れたという事実に、前の私は心が不安定になっていた。そんな時にシエルが言ったのだ。


『僕、家族に、なる』


泣きそうになってしまった。何も言ってないのに、シエルには全て知られているような気がした。契約すると、内面のことも知られてしまうのだろうか?シエルのふわふわとした身体に抱き付いて声を出さないように泣いたのはついこの間。大事な存在。


なので仕方なしに嫌々ながらも魔水晶に触った。すると一瞬で真っ黒になった。まるで深淵の闇を切り取ったようだ。光沢も先程より更にテカってる気がする。鏡のように私の顔を映した。丸いので私の顔が大きくなっているが。


「……これは」


顔を上げると、カヌイさんが目を丸くして驚いている。信じられないとでもいうように。ちょっとヤバいかなと思いながら背筋に汗が流れる。

クリス王子とアレスがカヌイさんの反応を見て訝しんでいるようだ。


「カヌイ、これはどういうことだ?」

「……この者の力は計り知れない」

「何ですって?」


あ、ちょっとヤバい。ちょっとどころじゃないくらいヤバい。逃げて良いかな。よし逃げよう。

立ち上がろうとした瞬間にアレスが両肩を掴んできた。と同時にカヌイさんが右に、クリス王子が左に来て退路を阻む。

ちょ、逃がすか!とばかりのその対応は何!?あと顔怖いから!カヌイさんは睨んでアレスとクリス王子は満面の笑みでいる。


「リオ、何故逃げようとしました?」

「いや……何か危機感を覚えたので……」

「おかしいな、ここには私とアレスとカヌイ、それに護衛兵2人しか居ないよ?」

「はははーナンデデショウネー」

「全て曝け出して貰おうか」

「ちょっ」


いやいやいやいや!!やめてくれ!そんなことしたら変態とか言うからな!

顔が青くなる。気絶したいです。3人がじりじりとこちらに近付く(正確には2人)ので仕方なく逃げようとするのを止めた。


「分かりました、分かりましたから満面の笑みで近付くのはやめてください!クリス王子が一番怖いですから!」

「おや、これでも女性からは人気が高いのだが」


自慢ですかそうですか。まあそのお顔じゃさぞかしモテるでしょうね。この2人も。取り敢えず私が逃げることをやめると言うとクリス王子とカヌイさんも元の位置に戻ってアレスも手を離す。心臓に悪かった……。


「それで、カヌイ。リオの力が計り知れないとはどういうことです?」


アレスがカヌイさんに質問をする。ヤバい、手に汗が滲んできた。


「……俺が発明したこの魔水晶では、ここまで黒い色を出す者は居なかった。一番魔力が大きいはずだったクリスでは、黒に近い灰色だっただろう?」

「……確かに」

「だが、この者は何の色も混ざっていない、純粋なる黒色だ。光沢にしても、まるで黒水晶のように滑らかで輝いている」

「…成程」


カヌイさんの言葉を納得したクリス王子が私に顔を向けて一言。


「リオ、詳しく話を聞かせてくれるかな?」


帰りたいです。いや、帰れないけどこの部屋からダッシュで逃げたいです。

そんな願いも空しく、私はこの三つ巴から逃げられなかった。






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