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ネトゲの親友に性癖をぶちまけてたら、オフ会に来たのがクラスの美少女︎︎だった  作者: こうと


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第100話 熱く甘い日々の予感

二学期最大のイベント、『青葉祭』。

 この学校の文化祭は、自由な校風も相まって近隣の住民や他校の生徒からも注目される一大行事だ。

 最優秀クラスに贈られる「青葉大賞」を巡り、どのクラスも躍起になる中、我が2年2組が選んだ道は、熱血オタク・鬼塚の暴走に近い情熱によって生み出された『ファンタジーRPGカフェ』だった。


 内装はギルドの酒場。メニューは有名パティスリー『フルール』直送の限定スイーツ。

 そして何より、客を導く「案内人」として、クラスの頂点に君臨する東雲凛が『聖女』を、そしてなぜか地味な帰宅部の俺がその傍らに立つ『近衛騎士』を演じることになった。


 表向きは「適材適所」という言葉で片付けられたが、俺にはどうしても腑に落ちないことがあった。






******






 放課後の教室。買い出しの相談を終え、凛が一ノ瀬さんと一緒に部活へ向かった後のことだ。

 俺は片付けをしていた鬼塚を呼び止めた。


「鬼塚。ちょっといいか」


「む? 佐藤くんか。どうした、近衛騎士としての自覚が芽生え、伝説の聖剣の在処でも聞きに来たかね?」


 相変わらず芝居がかった口調で、鬼塚が眼鏡を押し上げる。


「……いや、そういうんじゃなくて。……なんで、俺と東雲さんをペアに指名したんだ? 騎士役なら、他にも運動神経のいい海斗とか、見た目のいい奴はいくらでもいただろ」


 俺の問いに、鬼塚は作業を止め、ゆっくりと俺の方を向いた。

 窓から差し込む夕焼けが、彼の分厚い眼鏡を白く反射させる。


「ふむ。表向きの理由は会議で言った通りだ。君の冷静さと、球技大会で見せたあのひたむきな守備。それが私の描く『聖女を護る騎士』のイメージに合致したからだ」


「……表向きは、な」


「ククク……。鋭いね。……佐藤くん。私はね、常に真理ストーリーを追う男だ」


 鬼塚は一歩近づき、俺にだけ聞こえるような低い声で言った。


「誰もいない教室、ふと重なる視線。あるいは、他人のふりをしながらも、呼吸のレベルで同期シンクロしている二人の空気……。長年、二次元の深淵を見つめてきた私には見えるのだよ。君と東雲さんの間にある、強固な『見えない絆』という名のバフがね」


「――――っ!?」


――こいつまさか俺たちのことを知って……


「まあ、安心したまえ。野暮な詮索は私の美学に反する。ただ、私の最高傑作を完成させるには、少なくとも私の目から見て、魂のレベルで繋がっている二人が必要なのだ。……文化祭当日、最高に『映える』二人を見せてくれることを期待しているよ」


 鬼塚はそれだけ言うと、満足げに鼻歌を歌いながら教室を後にした。


(……あいつ、気づいてるのか?)


 一ノ瀬咲希とはまた違う、オタク特有の「直感」というやつだろうか。

 俺は冷や汗を拭いながら、自分の席の机をそっと撫でた。






******





 ――。……。

 時計の針が午後十一時を回った頃。

 俺は風呂を済ませ、自室の電気を消してベッドに潜り込んだ。

 枕元に置いたスマホが、待ちかねたように短く震える。


『――ねえ、一真? 寝てないよね?』


 LIMEの通話ボタンを押すと同時、耳元に届いたのは、あの鈴を転がすような、最高に愛おしい彼女の地声だった。


「ああ。起きてるよ。……お疲れ、凛」


『にひひ。お疲れ様! 今日はもう、部活中もずっと文化祭のこと考えてたんだよ。ねえ、聞いた? 鬼塚くんが「聖女と騎士が並んだら世界が平和になる」とか言ってたって咲希から聞いたんだけど!』


 凛の声は、学校での「東雲さん」とは違う、甘えるような、けれど熱を持った『ハル』のものだった。


「ああ。さっき鬼塚と少し話したよ。……あいつ、俺たちのこと、何となく察してるみたいだぞ」


『えっ!? 嘘でしょ!? まさか、バレたの!?』


「いや、確証はないみたいだけどな。……ただ、俺たちの連携が『魂のレベルで合ってる』とか、変なポエムみたいなこと言ってたわ」


『…………にひひ。……。……それって。……私たちの三年間が、それだけ本物だってことでしょ?』


 通話越しに、彼女がベッドの上で身をよじったような気配がした。


「……かもな。……。まあ、おかげで放課後にお前と堂々と一緒にいられる口実ができたわけだし。……感謝しとくわ」


『うん。……ねえ、一真』


「なんだよ」


『……私さ。……すごく、楽しみ。……学校で、一真の隣に立てるの。……今までずっと、ディスプレイ越しに守ってもらってたけど。……今度は、私が聖女として、一真のことを一番近くで見てあげられるんだもん』


「…………」


『騎士サマ。……浮気しちゃ、ダメだからね? 私の衣装、一真が選んでくれたやつにするんだから……当日、見惚れすぎて石像になっても知らないよ?』


 凛の言葉が、夜の静寂に染み渡る。

 学校では他人のふり。

 けれど、文化祭という名のクエストでは。

 俺たちは「佐藤一真」と「東雲凛」として、世界で一番深い絆を誇示できる。


「……わかってるよ。……お前のことずっと見てるから……おやすみ、凛」


『にひひ。……おやすみ、一真。……。……大好きだよ。……相棒くん』


「俺も大好きだよ、凛」


『にひひ、一真からの『大好き』頂きました!おやすみ!』


 プツン、と通信が切れる。

 俺は熱くなった頬を隠すように枕を抱きしめた。


 鬼塚の予感。一ノ瀬さんのプロデュース。

 そして、俺たちの抑えきれない独占欲。


 文化祭に向けた放課後の日々は。

 どうやら、これまでのどんなレイドボス戦よりも、熱く、甘く、心臓を灼き尽くすものになりそうだった。


 窓の外。

 九月の夜風は、どこか新しい物語の予感を孕んで、優しく吹き抜けていた。

遂に100話突破しました!

ここまで読んで頂き感想なども下さりとても嬉しく思います!ありがとうございます!

これからも今作品をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
結構アイコンタクトとか舌出しとかかなりやってるし、怪しまれてもおかしくないわな。 いい感じに彼氏公開できたら良いね!
いや、多分気付いてる奴他にもいると思うぞ?馬に蹴られたくないだけで ハルってうれしくなるとすぐ調子に乗るし態度に出るから、絶対へマしてるだろ…
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