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運気0の従者爆誕

 第1回イベントが終了して、ジゼルとカナデは広場のベンチに腰掛けていた。運営から送られたのは、『運命の紙片』と言う名前の一枚の紙切れだった。

 紙切れには5つのスキルと、その能力が書かれていて、分配されるスキルはランダムで選べるのは一つのみだとも書かれてある。


「うっわぁ……どれも欲しいんだけどなぁ……。ジゼルはもう決めた?」

「……え、あ、ううん、まだ」

「そっか……レアな魔法スキルを覚えられるんだったら、絶対にそれがいいと思うけど……どれどれ」


 カナデはジゼルのスキル欄を覗き込む。


『凶戦思考』

一時的なSTR値を30%上昇補正。


『東龍剣術』

刀剣術スキル『東龍剣』を獲得可能になる。


『料理』

専科スキル『料理』を獲得可能になる。


『スイーパー』

魔法攻撃の吸収(吸収率はINT値に比例する)。


銀剣士アルゲントゥム

一時的な20%のSTR値&AGI値補正。


 目が点になった。比喩ではなく、実際に・・(こんな感じ)になった。ついで言うとに口もω(こんなふう)にモニュらせていた。


「なにこれ」

「……これ、スキルの配布ってランダムだったよね」

「ほとんど剣士職が喜びそうなものばっかりじゃない。アタシに来れば良かったのに、これ」

「……魔法使いが使えるスキルってあるかな」

「ないわね。残念だけど」

「……不幸だ」


 頑張った時の報酬がショボいことほど萎えることはない。ジゼルは必然的な不幸体質になれることはあっても、ランダム等の偶然的な感情の起伏には慣れていなかった。

 目に見えてショボン……としているジゼルを、どう励まそうか悩んでいると、二人に声をかける者がいた。


「――おお、探したぞ、白髪の少女」

「……あ、こんにちは。それと何度も言いましたけど、これ銀髪ですよ」


 黒髪黒目で黒い忍び装束。全身を黒に包んだ少女が現れた。真っ黒少女に、ジゼルは朗らかに笑いかける。少女は目を見開いて、心底驚いたような素振りをした。


「……」

「どうしたんですか?」

「い、いやすまない。先程までの貴女とは、少し違う雰囲気に見えましたもので」

「ああ、たしかに。ジゼルって剣を持つと雰囲気変わりますよねー」

「そ、そうかな?」

「別人なのではないかと疑ってしまったぞ」

「そこまでですか、アヤメさん……?」


 少しショックを受けたのか、ジゼルは肩を落として再びショボンとしてしまう。


「それでアヤメさん。探したって言うのは、私のことをですか?」

「ああ、そうだった。当初の目的を忘れるところだった」


 彼女は思い出したように()()()()()()()()()()()()()()()


「「――は?」」


 ジゼルとカナデは、一瞬の間も開けない奇跡的なシンクロ率100%の疑問の声を上げ、慌てて周りを見回しながらアヤメに問うた。


「ち、ちょっとアヤメさん!?」


「今から我がからだは貴女の剣となり盾となります。我が真刀【霽月せいげつ】と許多の忍具は貴女の魔法となりましょう。貴女の裏を司り、背後から貴女の護衛となりましょう。――誓いを此処に」


 かしこまって厨二病っぽい言葉を発するアヤメにドン引きしながらも、ジゼルは瞬間的に自分に課された課題を見つけ出した。

 まず――この人を止める。


「と、とりあえず顔を上げて……じゃなくて! な、何をしてるんですか!? 顔を上げてください!」

「忠誠を誓おうとしているのだが……忍びの者であれば普通だろう?」

「忍者のことなんて知らないですし! あと多分それ時代劇の見過ぎだと思います!」

「私は時代劇など見たことないのだが……」


 両手をぶんぶんと振ってイロイロな間違いを指摘するジゼルに構わず、アヤメはなおも頭を下げる。そんな二人のやりとりを、カナデは爆笑して見守っている。いやもうホント、豪快に。


「カナデ! 笑ってないで手伝って! ほらアヤメさん! ここゲーム内とはいえ公共の場ですし、なによりも人の目がありますから!」

「いいや。私はやめんぞ。貴女が認めてくださるまでは、私は引けはしない!」

「何をカッコいい風に言ってるんですか! 客観的に見たら変な恥ずかしい人にしか映りませんから! ほら立って! 立ってください恥ずかしい!」


「私は恥ずかしくはない!」

「私が恥ずかしいんです!」


 ジゼルとアヤメが繰り広げる延々と続きそうなド低脳なやりとりを、カナデは女子高生らしからぬ大きな笑い声を上げて爆笑していた。



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