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運気0のイベント開始

『第1回イベント! レイドバトルを開催しまーす!』


「「おおおおおお!」」


 場所は街の真ん中にある広場。天を突くほど大きな塔がそびえ立ち、蒼穹の空に届くほどではないかと思わせるほどの天辺てっぺんで、その少女はマイクを口に当てて話していた。

 竜のような角を側頭に生やし、赤いドレスコードを身に纏い、くりくりした可愛らしい目を大きく開けて、小さな右手にマイクを持った竜人族ドラゴニュートの少女。

 名前はたしかリューナだったはずだ。アクション特化型AIで、発達はしないが進化はする、バーチャル内でしか活動できない特殊なAI。

 少女は背後に《第1回イベント!》と言う言葉を背に映像が流れているスクリーンに左手を向ける。


『制限時間は1時間! 討伐数に比例して、このように獲得報酬も加算されていきます! ランキング上位3名の方には、特別な報酬がありますので、頑張ってくださいね〜!』


「「うおおおおおお!!」」


 画面に獲得報酬の加算方法か書かれている。モンスター一体につき5ポイント。中ボスになると10ポイント。大ボスだと200ポイント。的を得ているようで得ていない。

 普通のモンスターを40体倒せば、大ボス一体を苦労して倒すポイント計算となってしまう。たった40でボス一体。中ボス20で大ボス1体。割が合わないにも程がある。

 倒したモンスターはパーティポイントとなり、パーティメンバー全員に供給される。つまりはパーティメンバーが多いほど有利なイベントだ。とても始めたばかりの初心者に向いているイベントとは思えない。


 いい加減なポイント配分になっているのには、何か意味があるのだろうか。もしかしたら裏があるのかもしれない。もしくは本当に無いのかもしれない。人の欲を試すゲームなのだろうか。もしそうだとしたら、意地が悪いにも程がある。

 しかし今考えるべきは、運営の思惑ではなく、イベントの攻略方法だ。

 ステージは草原。遮蔽物が何もない平地のフィールド。召喚されるモンスターは、おそらく時間制限まで無制限。ジゼルの魔法と自分の剣で、何処まで稼げるか、そこが鍵となる。


(出来ればランキングの上位に入りたいな)


 ゲーマー気質を存分に発揮して頭をフル回転させたカナデは、ジゼルに作戦内容を伝えようと顔を向ける。


「ふおおおお……!」


 目を爛々と輝かせて、満ちる期待に胸いっぱいの少女を見て、思わず顔を綻ばせる。


「……そうだよ、ゲームじゃん」


 たかがゲーム。たかが遊びに、さすがに熱くなりすぎた。いくら奇策上策を弄したところで、ジゼルの求める『遊び』にはなりはしない。



 アタシ達は、この世界には遊びに来たのだから。



 カナデはゲーマー気質ではあっても、ゲーマーではなかった。

 プレイヤー達の唸るような歓声を他所に、真剣味を帯びるプレイヤー達もまた、この広場には存在した。

 とある刀使いは愛刀の鍔に手をやり、とあるガードマンは自分の背より大きな盾を取り出す。とある魔法使いは球体のアイテムを取り出し浮かせた。


『それでは〜〜〜〜イベント……スタートォ!』


 開幕のゴングがなり、広場にいるプレイヤー達すべてが青白い光に包まれる。水瓶の迷宮で体験した、転移する時に発せられる光だ。


「行くよ、ジゼル!」

「うん!」


 そして二人の少女は手を取り合い、仮想の戦場へと脚を踏み入れた――!



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