九話
中津宮を後に境内を左手奥に進むと再び上へと通じる石段が行く手を遮る。比較的に穏やかな石段を白い息を吐きながら上りきると江ノ島の頂上に辿り着く。
広い頂上の手前には藤沢市の管轄の石畳の公園がある。奥には植物園と展望台のある高いタワーが聳え建っている。
石畳の公園の左側手前には大きな芝生のグランドが広がっている。左側奥には露天を含む大きな飲食店があり普段から賑わっている。
公園内のベンチの前では観光客や参拝客が差し出す食べ物を催促している野良猫が後を絶たない。元を正せば何処かの飼い猫だった猫が多く、嘆かわしい現実がある事に里親になれない無責任な飼い主達は気が付かない。
頂上を過ぎて更に進むと今度は下りの石段が目に入る。真冬の天気の良い日の日中に此処から正面を眺めると雪を被った富士山が大きく見えるのには圧巻としか譬えようが無い。
お土産屋と民宿が数件軒を連ねる、その最初の石段を下った処の左手奥には円盤の様な形の屋根を持つ寺院が建立されている。この場所には元々寺があり明治の廃仏毀釈以来の寺の建立となったと聞いているが、その寺の持ち主は以前の寺とは関係がない。