魔導とは何だ?パラダイムシフトに陥ったクルー達
第5話 魔導とは何だ?パラダイムシフトに陥ったクルー達
「女魔法使い。この俺に付き合ってくれないか?」
「はい!喜んで全力で付き合います♡」
何か歯がかみ合っていなかったが、キャプテン・スレインは女魔法使いと魔導具店へ行った。
当然、キャプテン・スレインが大好きな、副長アストリアも同伴する。
「またやって来たわね、馬鹿女!」
「魔法使いのへちゃむくれ!」
「お前のかーちゃんデベソ!」
「お前のかーちゃんこそデベソ!」
「何でかーちゃんがデベソだって知ってんだ?」
「お前こそ、何でかーちゃんのこと知ってんだ?」
相も変わらず、子供の喧嘩をしているみたいだとキャプテン・スレインは思った。
魔法ポーション、回復ポーション、マジックバッグなど、今まで貯めた現地通貨で買えるだけ買っていった。
「よし、女魔法使い。今日は助かったぞ。」
「はい♡お役に立てて嬉しいです。」
「じゃあ、また今度な。」
そう言って気にもせず、マジックバッグなどを持って船の方へ歩き出した。
それを見送る女魔法使いは、キャプテン・スレインにもうメロメロで、見えなくなるまで見続けた。
◆
船内では魔法アイテムの分析や解明が行われていた。
アナライザーの分析スペースにマジックバッグを置いた。
アナライザーのモニターには、ローディング中と表示されていた。
Loadingの後に表示されているマークが、けたたましくグルグルと回り続けていた。
「俺、このLoadingの後ろの表示見るとイライラするんだよな。」
「そうそう、俺も俺も。」
そんな埒もない話をしていると、やっと結果が表示された。
「あれだけまたせたあげく、『解析不能』とは一体なんだったんだ?」
周囲から落胆の声が上がった。
「じゃあ、もう解明やめちゃう?」
「いや、一応結果を確認したいから、全部やってみてみようじゃないか。」
キャプテン・スレインの指示でアナライザーによる解析は続いた。
しかし、いずれも解析不能だった。 科学ではまだまだ解明できない未知の物体がある。
「なんだこの解析不能の魔法アイテムは?」
「何故だか分からんが、これは手足が無くなっても回復する。優れもののハイポーションだ。」
「わし、もうドクターや〜めた。」
「ドクター、何を馬鹿なことを言っているんだ?」
「だって、これあれば医学は無意味だもん。」
「医学知識も手術道具も不要じゃん。」
もうドクターは医学を捨てた。
「このマジックバッグという物は、大きさや重さに関わらず、アイテムなら何でも入る。」
「しかも仕組みがサッパリわからん。」
「この魔法アイテムも戦闘力を上げたり、防御力を上げたりできる。」
「何なんだこれは?」
「俺も技術者やーめた。」
「ギルバートまでもが、技術者やめるなんて。」
「だってよ、真面目にやってるこっちが馬鹿みたいだからさ。」
メカニックも意味がわからなくて、科学を捨てた。
「そういえば、あの女魔法使いも、いろんな魔法が使えて羨ましかったな。」
「俺のビームライフルなんか、やたらに重いし発射回数は制限あるし、バッテリーパックは重くてかさばるしの三重苦だ。」
「俺も魔法を教われば、あんな魔法を使い放題やりたい放題になるだろうな。」
キャプテン・スレインまでもが、自分が培ってきた戦闘技術に疑問を感じてしまったのだった。
このファンタジー世界では、魔法で何でもやれる。
家や道も魔法でできるし、運搬もフローティングボードで運搬できる。
医学より魔法で回復するし、科学はもう価値があまりないかもしれない。
次第にクルー達は魔法に魅入られる。だんだんと理由もわからずに魔導によって脳が焼かれていくのであった。
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