第九十六話 〜陰陽師の隠された使命〜
おはようございます!!
みずちの協力が得られたが、まだ、チームメンバーへの面会はまだです。
失礼をするかもしれない師匠は大丈夫なんだろうか!?
今回の話もお楽しみください!!
みずちが封印を解くことに協力してくれることになった。紆余曲折あったけど、なんとか最初の計画を進めることができる。
私達のチームにはもう1人師匠という人間がいるけど大丈夫だろうか。
「ねぇ、みずち?私達はチームで動いていて、さっきも見ただろうけど、もう1人人間いるんだけど大丈夫??」
確認はしなくてはいけないだろう。
「―問題ない。私は人間をもう一度信じてみようと思ったのだ。ましてや、未来や空亡が信じている者であろう?―」
みずちがそう言ってくれて私は感心した。嬉しくなって、寂しい思いなんてさせてはならないと強く思った。
『助かる。…では、皆を連れてこう。』
空亡の発言に賛同するようにみずちは黙った。私もみんなを呼びにひとまず戻る。
―――――
みんなを引き連れて祠の前へ集合した。
まずは自己紹介だろうか?
「―先はすまなかったな。我はみずち、龍だ。今は封印されているが、意識はこの周辺であれば飛ばせる。故に話をできると言った感じか。一緒に封印されている「輪入道」は抑え込めているが、封印を解くことで解き放たれるだろう。だが、お主らであれば問題はないだろう。―」
みずちから自己紹介と封印の件を話してくれた。
「ご丁寧にありがとうございます。私は雪。雪女よ。」
「ワタシはフローラですー!妖精です。」
「…、賀茂忠志。人間だ。」
みんなも自己紹介したが、師匠は少し元気が無さそうだ。
「師匠、どうしたんですか?元気ないですよ?」
私はそんな師匠の様子が気になって聞いてみた。
「…未来もめちゃくちゃ泣いていけど、あんな話聞かされて元気でいられるか?正直、人間として恥ずかしいぞ。人間は欲深いモノとはいうが、酷すぎるだろ……。」
師匠も私と同じ人間で、同じような感性の持ち主だった。やっぱり根っこの部分はいい人なんだ。
「―ふふ。やはりそうなんだな。未来の信じる者たちは私が信じるに足る人物であるな。―」
みずちは確信したように言い放った。
「お前ら妖怪は基本的に嘘は好かないだろうが、人間は欺くことに長けている。そんな人間を……、俺を信じてくれるというなら、俺は全力を持って期待に応えよう!」
師匠もみずちへの思いのたけを全力でぶつけた。やっぱり師匠が師匠でよかった。
「―ああ、ありがとう。―」
その思いにみずちも感謝した。
「私達、陰陽師はきっと人間を守るためだけじゃなくて、人間から妖怪達を守るのも使命なのかもしれないですね!」
私は思った事を言葉にし、胸に刻むことにした。きっとこれが私の使命なのだ。
「人間と妖怪を守る……か。陰陽説だな。きっと必然なんだろう。」
師匠は陰陽師の基本的な考え方、陰陽説だと言った。確かにそうなのかもしれない。
「―さて……。では、早速封印を解いてもらおうか?解き放たれた後は協力を惜しまないぞ。―」
みずちは話を戻して、本来の私達の目的の遂行に協力してくれるそうだ。解き放たれた後のこともしっかりと考えてくれていた。
「ありがとう!!……、じゃあ行くよ!!」
私のかけ声に応じて、みんながすぐに臨戦体制をとる。みんなフラストレーションが溜まっているらしい。メラメラの怒りのオーラが立ち上っているのが見える。
人間の嫌な部分を知り、人間が嫌いになるものもいるだろう。だが、みんながみんな嫌な人間ではない。それを知っているからこそ、怒りの矛先がわからない。今回は、大戦時にここに封印されることがなければみずちはそんな目に遭うことはなかったのだ。だからみんなはその怒りを今封印されている「輪入道」という妖怪にぶつけようと考えている。
単なる八つ当たりである。
だが、それで気分が少しでも晴れるのであれば、一役買ってもらおう。私も一発思い切りぶん殴りたい気分だ!!
そんなことを思いながら、力を封印の元に送る。祠の中にある楔がピキッと割れて、妖力の渦がみるみる形を成してきた。
「―私もすぐに加勢しよう。―」
妖力と同時にみずちの妖力も溢れてきて形を成した。格が高いだけあって、封印が解かれたすぐ後だというのにその存在感はとても厳かで大きいモノだと感じた。
同時に形を成した「輪入道」は、みずちの迫力には事足りず、こんなものかと思ってしまった。
輪入道とは、炎に包まれた牛車の車輪の中央に顔がある容姿をしている妖怪だ。見たものはその魂を抜かれるといった逸話がある。
『みな!輪入道は魂を抜く!目を合わせるな!』
空亡はその姿が顕になる前に注意だけを叫んだ。しかし、その注意は無意味なものとなった。
みずちが川の水を操り、輪入道を包み込む。水による乱反射により水の中は直視できない様になった。
そこに、お姉ちゃんが冷気吹きかけ、凍らせる。それだけでも、勝敗は決したと思ったが、続け様に師匠がかまいたちで真っ二つに切り裂く。切り裂かれた氷の塊はフローラの渾身の一撃により粉々に砕かれる。
……私と空亡の出番は??
正直一発でも殴りたいと思っていたけど、こうもあっさりやられてしまうと、それはそれでスッキリした。
空亡はと見てみると、注意せよと叫んだ挙句肩透かしを受けて少し恥ずかしそうだ。表情は普段通りだが、少し顔が赤くなっている気がする。可愛い。
「……えっと……、終わり……?」
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
今回の封印は無事に攻略できました!
まあ、速攻でしたけど。
それだけみんなの戦闘能力と怒りが強かったのでしょう。
また、陰陽師の在り方も少し違う面もあるのかもしれません。
次回は11/10朝アップします!!




