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第七十九話 〜お姉ちゃん〜

おはようございます!!

温泉に入ってさっぱりしたあと、翌日の作戦会議を行いました!

何やら樹海には不穏な空気が流れているようですが、どうなるのでしょうか!?

今回もお楽しみください!!

「飯くわねぇか?」


 その一言に、時間の流れを忘れて話をしていたことに気がついた。

 腹が減っては戦はできぬ、とも言うし、考え事もまずは腹ごしらえだ。旅館の中にレストランもあり、そこで夕飯を食べることにした。

 レストランへの道中、従業員の人たちが少し噂話をしているのが聞こえた。

 

 ・昨日あたりから異常な天気をしていること

 ・誰もいない部屋で物音がする

 ・樹海あたりがざわついている

 

 色々な噂話が飛び交っていた。

 今日が平日なこともあり、旅館的にはそこまで忙しくないから話が耳に入ってくるのだろう。

 しかし、樹海がざわついているのは少し心配だ。何せ、明日から向かう場所なのだ。

 だが、今考えたところでどうにかなる話でもない。明日の作戦を練る時にでも話に出してみよう。


 そうして、レストランで夕食を食べることとした。食事の後は一休みをして、再度私達の部屋に集まり、明日の予定について話し合うこととした。


「明日は今のところ晴れの予報だから予定通り樹海に向かう。」


 賀茂さんが明日の予定について話し合うように方針を決めた。


「ええ、いいんじゃない?」

『問題ない』

「大丈夫です!」


 三者三様の返事をし、明日の予定を確定した。次は細かい話に入る。


「兄ちゃん。兄ちゃんの刀っつぅのはどの辺にあるかわかるのか??」


 球体の空亡の方を見て返答を待っている。


『うむ。正確な場所は我にもわからん。だが、我の妖力を感じる場所の目星はついている。そこに刀はあるだろう。』


 まあ、つまりは行ってみないとわからないということか。だが、空亡本人の半身であり、同一の妖力を兼ね備えている刀ともあれば、探すのは容易だろう。


「なら、問題ねぇな。とりあえず、明日は朝から行動を開始しよう。」

「あ、少し気になってることがあるんですけど……。」


 恐る恐る手を挙げつつ、噂話の話をした。


……


「ざわついてるって言ったってなぁ。どうざわついてるかもわからねぇし、一旦は行って確かめるしかねぇな。」


 賀茂さんは目を閉じ考えながらそう言った。


「そうね。ただ、いつもとは違う危険性があるって認識しておくことにしましょう?」


 雪さんも発言のように、私の意見を鵜呑(うの)みにはしないが、意見としては受け取っておこう。という感じである。


『まあ、いずれにせよ、未来は我が守るぞ。』


 空亡はいつもの調子で、かっこよく決めていた。

 私は赤くなる顔を見せまいと俯き加減で頷いた。


「うん、ありがとう。」

 ―わらわも守りますからね!―


 負けじとソラからも声がかかった。


「うん、ありがとう!」

 

「さあ、それじゃあ、明日も早いことだし、早めに寝ましょうか!」


 雪さんはパンッと手を叩いて解散の合図とした。合図とともに賀茂さんは自分の部屋に戻り、空亡は球体の姿で賀茂さんに連れて行かれた。

 ……普段から私は空亡と一緒に寝ているので、気にしていないが、雪さんがいることに気を遣っているのだろう。


 ―――――


 電気を消して布団に入り、眠りに入ろうとした頃、雪さんから話を切り出した。部屋は真っ暗で布団は隣だが、そこまで近くはない。お互いにどっちを向いているかさえわからない状態だ。


「未来さん……。ごめんね。いきなりついて行きたいなんて言っちゃって。」


 いつもの雪さんとは別人のような弱々しい声色で話が始まった。


「本当は、恵慈のことが忘れられなくて、何かに没頭したいんだけど、やっぱり恵慈ことをどこかで追っていて、あいつの義妹の未来さんに(すが)っているんじゃないかと思うんだ……。

 普段は気丈に振る舞っているけど、今も暗い中にいると体が震えちゃうんだ……。情けないね……。」

 

 声に恐怖や後悔、色々なネガティブな感情が乗っていることは声を聞けばわかる。その声も小刻みに震え、時々しゃっくりのようにはねている。きっと泣いているんだ。

 私はガバッと自分の布団から出て、雪さんの布団に入り抱きしめる。雪さんは後ろ向きで話をしていたようで背中側から抱きしめる形になった。


「雪さん……。雪さんは恵慈さんにとても愛されていましたよ。雪さんの話をする恵慈さんはすごく優しい顔をしていました。私はそんなに長く恵慈さんと過ごせなかったけど、雪さんを愛していたことはわかります!

 雪さんの気持ちを完全に理解することなんて私には出来ないですけど、(すが)ってなにが悪いんですか?なにが情けないんですか?

 最愛の人を亡くしたんだからそれくらいは普通だと思います。そこに人間も妖怪も関係ないと思います!」

 

 抱きしめられている雪さんは、ヒックヒック言いながら泣いているが、きっと話を聞いてくれている。

 

「それに、そんなにすぐケロッとされてたら、恵慈さんが悲しむかもしれませんよ?きっと最後には笑って欲しいとは思いますけど、少し立ち止まるくらい、いいじゃないですか!?」


「……ぅん……。」

 

 私の言葉に弱々しくだけど、相槌を打ってくれた。

 

「……ありがとう。少し楽になったかも。今日はこのまま寝ても、いいかな……?」

 

 雪さんは少し落ち着いたみたいだが、最近ずっと眠れなかったのだろう。安心して眠気が来たのかもしれない。

 

「雪さん…。一つお願いがあるんですけど、いいですか?」


 私はそんな雪さんになにかしてあげたい気持ちになりお願いをすることにした。

 

「…ん?…なに?」


「『お姉ちゃん』って呼んでもいいですか?」

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

今回は少しナーバスな回となりましたが、それでも、前を向いて進んでいけるのではないかと思います!!

雪さんは個人的にも好きなキャラクターなので、未来と親密になれるのは嬉しいです!!

次回は10/23朝アップします!!

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