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第七十五話 〜刀の苦悩〜

おはようございます!!

前回最後に登場したのは誰なのか!?

旅は道連れと言いますが、未来はその人も連れて行くのでしょうか!?

新たな物語の幕開けとなります!

お楽しみください!!

「私も一緒に行っていいかな?」


 と声をかけてきたのは、雪さんだった。恵慈さんの死から多少はもち直したみたいだけど、まだ少し元気がない様子だ。気にして様子を見ていたけど、普段の様子はない。今回はなんで同行したいなんて思ったんだろう。


「え!?雪さん!?一緒にって…、修行の旅にですか?」

「そうよ?ダメかな?」


雪さんは私達の旅についてきたいようだ。


「え!?こっちは別に大丈夫ですけど、むしろ大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ。少し旅をして色々見てまわりたい気分なの。それに、私も妖怪だからね。修行の力にはなれると思うよ。」


 傷心の雪さんは色々な事をやって考える時間を減らしたいのだろうか。でも、雪さんが強いことは知っているから修行の手伝いをしてくれるというのであれば、それはありがたいことかもしれない。

……ただ、そんな事を言うと居ても立っても居られない人がいそうだな……。


「……ほう…。確かに、ねぇちゃんは強そうだなぁ!?恵慈から聞いていたが、雪女なんだろ?冷気を操る相手とはまだ、戦ったことがねぇんだ!いっちょやるか!?」


ほらやっぱり、賀茂さんは安定している。


「相変わらず、評判通りって感じね。道中戦うこともあるだろうし、それまで待っていなさい。」


 おお!雪さんも意外と前向きだ!戦闘は嫌いじゃないのかな?

 ……と言う流れから、空亡の刀をとりに行くという目的と私の修行(賀茂vs雪の模擬戦)を目的とした異色パーティの旅が始まる。


 …………

 ……


 ―その頃、富士の樹海にて―


 富士の樹海のその奥深く。一本の刀が祀られた祠がある。その中に祀られた刀の銘は、

『|天ノ國:極姫《あまのくに:きょくひめ》』

 銀色に鋭く輝く直刀。

 

 刀はご主人を待っている。今となってはご主人と別れて1000年以上の時を過ごしている。ここに祀られるようになったのは、安倍晴明のおかげ。ご主人と別れたあと、百鬼夜行の際に開いた空間を閉じる依代として使われた。刀としての本分は真っ当できずとも、ご主人の意に沿って使われるのであれば光栄であると感じていた。刀は儀式の依代(よりしろ)としてそこに存在し続けなければいけないが、安倍晴明により、不屈の術式を施され、永遠とも言える長い月日を経ることができるようになった。

 今はここに在り続けて1000年。空間の穴は500年前には修繕して、刀の存在意義ももはやない。そんな中、まだここで大人しくご主人の迎えを待っている。なぜそんなに長い間待っていられるのか?それは、1000年前の安倍晴明の言葉が全ての所以だ。

 

―「空亡はいつか必ず、お前を必要として迎えに来る。それまで待っていろ。」―


 安倍晴明の言葉は確信めいたものがあり、必ず迎えに来ることが理解できた。


(わたくし)」は刀にして1000年もの時を経て、自我というものに目覚めた。ある種の九十九神(つくもがみ)のようだ。無機物であろうと長年の歳月を経て、念を込められれば、それには魂が宿る。そんなお伽話のようなことが、現に起こっている。

(わたくし)」が目覚めたのは500年ほど前。空間の穴の修繕が済み、目的を達成した時に、500年間妖力の満ちる樹海にいた事、空間の穴付近にいた事で常世の気配を常に感じていた事、色々な要因があるだろうが、どれが原因かはわからない。だが、そのタイミングで目が覚めた。不思議なことに自分が刀としての打たれて誕生した時からの記憶が一気に襲ってきた。最初は膨大な量……500年分の記憶が一気にきたために、ぶっ壊れるかと思ったが、意外と処理できた。


「私」がここにいる理由も、

「私」が誰の所有物なのかも、

「私」がこれからどうするべきなのかも、

「私」がなんなのかも、


 全てが知識として「私」の中に蓄積した。


 刀生500年分の記憶は凄まじいものだった。ただ、濃密な時間は誕生から100年余りだった……。


 誕生からご主人に出会い、ご主人の取り巻きと生活を共にした。そのあとはご主人と別れる悲しい別れもあったが、安倍晴明のおかげで「私」は生きる意味をもらった。その後数十年は空間の穴を護る御神体のような扱いを受けていた。しかし、世が平和になって行くにつれて樹海もさらに深くなり、人の往来がなくなった。「私」は1人で空間の穴を護ると言う任務に勤しんでいた。別になんら問題はない。いつかご主人とまた出会えると確信がある。それを糧にいつまででも待っていられる。

 それからたちまち時は過ぎ、100年、また100年。もう200年あたり過ぎた頃に空間の穴は亀裂となり塞がっていった。この辺りで「私」の自我が目覚めたが、追体験をした事で本当に500年過ぎたような感覚に陥った。

「私」は期待した。穴が塞がった。私の役目は達成できた。もう、あとはご主人に迎えにきて貰えればいい。安倍晴明の確信めいた言葉を愚直に信じて500年。遂にその時が来るのかと…。

 されど、待てども待てどもご主人は現れない。いつの間にかもう500年が過ぎていた。まだ来ないのかまだ来ないのか。痺れを切らした「私」は一言叫ぶ。

 

「……遅い!!!!!!!!!!!!!」

 

 出ないと思っていた声が出た。どこから出た言葉だろうか。本当の発声ではないが限りなく声に近いそれが樹海に響き渡り、木々に止まっていた鳥達や動物達もビクッとなり、一斉に逃げ出した。

 ……

 …………


 ―とある電車のなか―

 ビクッとその体を揺らした空亡。


「おお!?どうしたの!?」

『……いや、なんでもない?なにやらよからぬ気を察知した気がする。まあ、気にするほどのことでもないだろう。』

「そう?ならいいけど?……あ!もうすぐ着くって!!」

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

道連れは雪さんでした!道連れというか、ついて行きたくてついてくるんですけどね!

また、新キャラクターの登場です!!

空亡の刀です!

自我を持たせてみました!

これからどんな話になっていくでしょうか!?

お楽しみください!!

次回は10/19朝アップします!!

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