第七十四話 〜空亡の刀〜
おはようございます!!
急に空亡が刀をとりに行くと言い始めました。
果たしてその刀の性能やいかに!?
そして、無事に刀をとりに行くこともできるのでしょうか!?
今回のお話も楽しみください!!
『刀をとりに行きたいのだ。』
空亡から発せられた言葉は意外な言葉だった。私は今まで拳で戦う空亡しか見たことがなかったから、徒手が空亡のスタイルかと思っていた。
「その刀がそれほど重要ってこと?」
『うむ。その刀は我の半身と言っても良い。ある程度の力もその刀に込めてあるのでな。今までは、3割ほどしか全力が出せなかったのだ。』
「…え!?3割!?」
玉藻前との戦闘の時はそれでもとてつもなく強いと思ったけど、あれでも3割ってこと!?
『もともと、現世に来た時は真っ先に刀の元へ行ってからと思っていたが、状況が変わってしまってなぁ。いい機会だし、必要になるだろうから、取りに行こうと思ったのだ。』
そうなんだ!?その途中でのっぺらぼうと玉藻前に邪魔されたってことか?
「まあ、確かに空亡の戦力が倍増するなら、それは優先した方がいいと思う!」
「なるほどなぁ。お前さんの力はヒシヒシと感じるし、それが倍増するってんならこちらとしても不都合はねぇな。……、だが!それでも嬢ちゃんの修行を怠るわけにもいかねぇよ!!」
賀茂さん的には譲れない部分のようだ。
「えー!?そこは譲れないですか!?確かにどれほどかかるかわからないですしね……。やっぱり私だけ残るとか……。」
「いやいや、妖怪と陰陽師の連携は、その信頼関係からだ。なるべく一緒にいてお互いを感じていた方がいい。……、何も道中修行すんなって訳じゃねぇんだろ?」
実際に契約している人の話は信憑性が違うなぁ。
『そうだな。道中は恵慈のこしらえた訓練メニューをこなして貰えばいいだろうと思っている。』
そう、恵慈さんが作ってくれた特訓メニューがある。
「はっ!んなんじゃ全然足りねぇよ!アイツは甘ちゃんだからなぁ!俺がついて行ってやるよ!」
え!?あまちゃん!?結構ガッツリ訓練メニューあったと思うけどなぁ。
「え!?どういう?」
「だぁかぁらぁ!おめぇらの旅に同行して、嬢ちゃんの修行をつきっきりで見てやるって言ってんだ!」
ああ!?そう言うこと!?結構回りくどいなぁ!言わないけど。
「それは、ありなの?」
『まあ、我は構わんが……』
まあ、格上の陰陽師から直接指導を受けられるのは嬉しいけど…
「でも、他の陰陽師の人たちの強化もしなきゃなんですよね!?」
そう、私にかまけている暇があるのだろうか?
「アホか!!1番歴が浅くて教えなきゃなんねぇのは嬢ちゃんなんだよ!?他の奴らはすでに師事してる師匠とかいるからそいつらに修行してもらってるよ。俺は誰にも師事してねぇし、弟子も持ってねぇ。それでも、そこらの陰陽師とは格がちげぇ。そんなの嬢ちゃんに教えるのは俺しかいねぇじゃねぇか!」
「……本音は?」
ペラペラと喋っているが、なんかどこか本音を隠しているような感じがした。ので、聞いてみた。
「1番伸びしろがあるのも嬢ちゃんだからな!強くなった嬢ちゃんと一戦交えたいってのが本音だ!」
とても素直な人だった。
「なるほど。ちょっと一戦についてはおいておきますけど、そういうことなら、一緒に行きましょうか!?」
「ああ、よろしく頼むぜぇ!!」
『まあ、よろしく頼む。』
ということで、空亡の刀をとりに行く道中は賀茂さんから修行を受けながら行くこととなった。むしろ旅をしながらの修行は賀茂さんの十八番と言っていいだろう。四六時中旅しながら修行している人だし。
これはこれで大変な旅になるだろうけど、楽しみもある。
「それで、その刀ってどこにあるの?」
『ふむ。霊峰富士だ。』
「富士って富士山のことかな?」
富士山かー。行ったことないなぁ。
『そうだな。だが、場所としては麓の樹海の中だ。あそこは妖力の濃度が異様に濃いから、保管場所としてぴったりなのだ。』
「なるほど。空亡の刀ってことは、平安時代からそこにあるってことだよね?大丈夫なの?」
普通に刀とは鉄でできたものだ。そんなに長い間放置されていて大丈夫なのかと、気になった。
『問題はないだろう。晴明が上手く隠しているだろうし、朽ちないように術もかけているはずだ。』
それについては問題ないと即答だった。安倍晴明も関連しているんだ。
「そうなんだ!!じゃあ、大丈夫だろうけど、空亡が常世に行った後に隠されたんだったら詳しい場所はわからないんじゃないの?」
『それも問題はない。我の妖力が残っているからある程度の察知できるだろう。』
「そっか!じゃあ、ちゃちゃっと行っちゃわないとだね!」
「……??当時はその刀使っていなかったのか?」
賀茂さんは気になったことを聞いた。私も気になっていた。平安の百鬼夜行の最後は空亡と安倍晴明が解決し、その後常世に行ったらしいが、前回の百鬼夜行の時には刀を持っていなかったのだろうか。
『ああ、もちろん刀を使っていたぞ。だが、最後に晴明に刀を託したのだ。』
刀を託した。なぜそんなことが必要だったのだろうか。確かにさっき、晴明が、と話をしていた。空亡は話を続ける。
『晴明は我の刀を依代に、百鬼夜行で開いた空間の亀裂を閉じる術式を行使したのだ。』
そうか。百鬼夜行ほどの大量の妖怪の移動にはそれだけ大きな道が必要だ。常世から現世にかけて空間の穴ができているのは必然。そこを修復するのに空亡と安倍晴明の力が必要だった。しかし、空亡は常世へ行ってしまったために、自分の半身でもある刀を晴明に託したのだ。
「そうだったんだね。……でも、空間の穴を閉じるのに使った刀を使っちゃっていいの?」
『あぁ。あれから1000年以上経つ。すでに空間は修繕しているだろう。もう、刀がなくても問題はない。』
そうか。その刀の役目は終わっているのか。
「じゃあ、問題ないね!空亡のパワーアップの旅にでようか!?」
「嬢ちゃんのパワーアップの旅でもあるけどな!」
「はい!頑張ります!!」
私達はこれからの旅に期待を込めていた。
―恵慈さん……!もっとずっと強くなって、絶対に仇とりますからね!見ていてください!―
私は天国にいる恵慈さんへの思いを心で叫んだ。
決意を固く強固にする為だ。気持ちが引き締まる。絶対にやりきってみせる!!
「……ごめん、話、聞いちゃった。私も一緒に行ってもいいかな…?」
突如、後ろから声をかけられた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
空亡の刀は富士山の麓の樹海にあるそうです!
色々出てきそうですけどね。
そして、最後には誰かが話しかけてきましたが、果たして誰が!?
次回も楽しみにください!!
次回は10/18朝アップします!!




