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夜明けの陰陽師〜安倍晴明の子孫と伝説の妖怪がタッグを組んだら〜  作者: 太星
第二章〜新たな決意と共に〜
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第七十一話 〜さようなら〜

おはようございます!!

恵慈さんはが亡くなりその後の話になります。

悲しい出来事でしたが、これを乗り越えて進んでもらいたいです。

そんなにすぐ乗り越えられるわけはないですが、少しずつ強くなってもらいたいですね。

長老と賀茂さんの模擬戦が終了、「厄」の総大将からの宣戦布告、そして……、恵慈さんの「死」。

 まさか、こんな事態になるとは想像もしていなかった。訓練場内は騒然とし、全中継していたことから、全国の陰陽省関係者の知ることとなった。


 ―陰陽省、幹部恵慈恭弥死去―


 このニュースは陰陽省関係者に瞬く間に知れ渡った。もちろん私の両親にも……。しかし、陰陽省という秘密組織である以上、メディア等での発表はもちろんない。

 模擬戦後の翌日に通夜、その次の日に告別式・葬儀が執り行われることとなった。模擬戦が終わったあと、陰陽省専属の病院へ恵慈さんは運ばれ、私も同行した。その場で「死亡」を確認した。程なくして、両親が駆け込んできた。


「恭弥!!」

「恭弥ちゃん!!?」

「お父さん、お母さん……!?」


両親がいきなり入ってきてびっくりした。


「未来……。すまなかった。辛かっただろう……。こんなことになるなんて……。」


 お父さんはいつもはふざけていたり、時には厳しいが、始めて見る顔だ。悲しみ、怒り、後悔、などなど全ての負の感情をおり混ぜたような顔だ。その目には涙が溢れている。お母さんも同じような顔だ。


「ううん。……ごめん、私たちもいたのに、何にもできなかった……。」

「……いや、未来は悪くないだろう。悪いのは全て「厄」の奴らだ。」


 今回の一部始終の話はあらかた理解しているようだった。


「それより、恭弥は……!?」

「…ここに……。」


 私は後ろのベッドに横たわる恵慈さんのところに案内した。顔には白い布がかけられて、すでに死亡を確認した後の状態である。


「……恭弥……、きょうや…………。」

「恭弥ちゃん……。」


 2人は顔の布を剥がし、素顔を見ると泣き崩れるように膝をついて恵慈さんの手を握っている。


「お父さん…、お母さん…。2人に話さなくちゃいけないことがあるんだ。恵慈さんがいるこの場で話すのが1番いいと思う。」


 私も悲しいし、涙がとめどなく流れてくるけど、私はこれを絶対に2人に伝えなくちゃいけない。

 それが恵慈さんとの最後の約束だから……。


「恵慈さんの最後の言葉。聞いてくれるかな……?」


 2人は私の気持ちも理解してくれたようで、とめどなく流れる涙を拭いながら、俯くのをやめて恵慈さんの顔を見た。


「お父さん、お母さん、ごめん、ありがとう。


 ……だって。やっとお父さん、お母さんって言えたって喜んで笑顔で息をひきとったよ。」


私は恵慈さんが最後に振り絞った言葉を伝えた。


「……、ば、ばか、やろう……。もっと…もっと早く呼べって言ってたのになぁ……。」


お父さんは泣きながらも少しはにかんだ。


「そうね、いつだって迎える準備は、できていたのに……。」


お母さんもそれにつられてかはにかんだような表情になる。


「それでも、最後の最後で、恭弥の()になれたのか……。」

「ええ。よかった、よかった……。」


 そう呟くと2人は大声で泣き出した。私も一緒になって泣いて、その後、長老が部屋に来るまで泣き続けた。


 ――――――


「こんな時に申し訳ないが、恵慈の葬儀をやるのに喪主をありちゃんに頼みたい。頼まれてくれるか?」

「……ああ、もちろんですよ。息子…ですから…。」


 ということで、お父さんが恵慈さんの葬式の喪主として、本当の家族として最後の儀式を執り行うこととなった。


 ――――――


 …お通夜…

葬儀、告別式は親しい者達のみで行うことにしたため、今日のお通夜が職場の人たちが恵慈さんに会える最後の日となる。 

 棺に収まった恵慈さんは生前の爽やかな微笑みを浮かべているようだ。今にも「おはよう」と言ってくれるのではないかと期待してしまうくらいだ。

 通夜は滞りなく進んでいたが、裏では一悶着あったみたいだった。

 原因は白河雪さんだ。恵慈さんの死をどうしても受け止めきれない彼女は恵慈さんの亡骸を氷漬けにして、自らも一緒に氷漬けになる!と叫び、泣き喚き、手に負えない感じだったようだ。

 この場を収拾したのはフローラだった。正直1番恵慈さんに近しい者と言ったら、フローラだろう。そのフローラが気丈に振る舞い、雪さんを慰めた。本当は1番泣き叫びたいであろうフローラに諭された雪は落ち着かざるを得ずに、落ち着いてフローラと話を始めた。


-----

 

 実は私、雪はフローラのことが好きではなかった。ただ醜い恋の感情が生み出した感情でしかないが、四六時中恵慈と一緒にいられるフローラが嫌いだった。だが、今話しているこの小さな妖精は自分以上に恵慈を理解しているとわかり、そんなちっぽけな理由で嫌っていたのを恥ずかしく感じた。

 どう足掻いでも恵慈は帰ってこない。そうとなれば、恵慈が好きな顔で見送ってあげるのが1番理にかなっている。


 ―「雪は、笑顔が綺麗だね。」―


 いつか、言われた、この言葉。私はフローラから、恵慈の本当の気持ちを打ち明けられ、この言葉を言われた時のことを思い出していた。


 ―「その笑顔に、僕は救われたよ。いつまでも僕にその笑顔を向けていて欲しいな。」―


 きっとこの言葉は、恵慈にしたら精一杯の()()だったんじゃないだろうか。私は応えてあげられなかった自分の鈍感さを悔やんだ。

 恵慈も大概だったけど……。


 ―「でも、その綺麗な笑顔を振り撒かれるのはちょっと嫌だな。」―


 なんて独占欲が強いんだ。意外だったな。そんなこと言わなくても、恵慈だけのものだ……。


 私はフローラと話して落ち着いた後に、参列した。恵慈の顔を見られるのはこれが最後……。

 恵慈が欲していた1番の笑顔で見送ってあげよう。

 

 ―「ありがとう。雪。僕の気持ち伝わってよかった…。大好きだよ。」―


 ふと、恵慈からの言葉が聞こえた気がしたが、気のせいだろう…。


 一悶着があったという雪さんだが、綺麗な笑顔を見せてくれた。私にはどんな事情があるかはわからないけど、きっと、恵慈さんと雪さんにしかわからない何かがあるのだろう。

 雪さんには酷な状況だけど、フォローをしてあげられたらいいな。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

恵慈さんは未来一家に大きな影響をもたらしました。

きっと彼との出会いが未来をもっともっと強くしてくれます。

雪さんも思いを知れてよかったです。酷かも知れませんが、知らないよりは知ってた方がいいと思います。

次回はどんな話でしょうか!?

次回は10/15朝アップします!

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