第六十話 〜適性〜
おはようございます!!
群馬支部での挨拶と長老の話が終わり、今後の方針が決まったところで、未来の群馬支部での活動が開始します!
これから未来はどんな物語を紡いでいくのか!?
お楽しみください!!
長老に今晩の夕飯を奢るように罰を与え、少し気分がスッキリしたところで、恵慈さんに言われたように今日の作業に入ることとした。
支部長室には私と恵慈さん、長老とフローラがいるが、長老は一旦東京に帰るようだ。夕飯だけ食べにまた来るそうだ。今日に限ってはきてもらわないと困るけど。なんでも、賀茂さんと連絡を取るには大臣室からの回線が必要なようである。細かい話はよく聞けなかったが、あとで教えてくれるそうだ。
そんな長老の出発を見送り、私達は自分たちの作業に入った。まずは群馬支部の大まかな説明をしてくれた。
東京本部と同じで基本の事務作業を行うフロアと食堂やホールのような場所が2階にある。どこの支部も同じようなフロアとなっているようだ。ただ東京と違って全面に窓があり、外の光景がわかる。駐車場があるのも東京本部との違いだろう。基本的には車通勤の地域特性が現れている。あとは恵慈さんとフローラがいるのが大きいのだろうか。東京に比べて開放的なのは2人のセキュリティーがあってこそだろう。基本的には24時間体制でフローラが守っているし、何があっても恵慈さんが対処してくれる。
とは言っても、全てを2人に任せるわけにはいかない。それでもこれだけの開放感をもたせられるのは、群馬支部の人達の努力あってこそなのだろう。こんなメンバーの仲間入りともなると緊張もする。
と、話を聞いて考えていた。カモフラージュの壁などの通過には東京で発行したIDカードで大丈夫ということで、自分ももう入場はできるようだ。恵慈さんに連れられながらそんな話もした。支部長室から出て適性検査を行う部屋についたところで、工藤さん合わせ3人の職員の人達が集まってきた。
「さて、これからは未来さんの適性検査をします。」
「はい!!お願いします!!」
適性検査とは私の陰陽師としての適性検査であると同時に、より精密に力の流れを見ることで適した修行方法や、潜在的な適性を見ることもできるようだ。
今朝恵慈さんが設営していた適性検査をする部屋に行くことになった。そこには、椅子が2つあり、壁にはお札、床には五芒星の陣が組まれている。恵慈さんは力がなく陰陽師として術式を行使できないが、他の人の力を借りるとこで妖怪の力を借りることはできる。今回の適性検査では『百目』の力を使って適性を見てくれる。
「僕に力があれば、こんな陣や札は必要ないんだけどね。」
そう自虐気味に言った。この陣や札は他人の力を恵慈さんに分け与えるための細工のようだ。そして、今回集まってくれた3人は陰陽師ではない職員の中でも力の保有量が多い人だ。彼らは力はあるが、常世の存在を感知できないために陰陽師になれなかったみたいだ。理由は異なるが陰陽師になれなかった者同士、協力しあって自分のできる範囲で貢献しようと思うその精神に感服だ。
「さて、じゃあ、早速始めようか!未来さんは中央の椅子に座ってリラックスしててね。工藤さん達はいつも通りその場で待機していてください。」
指示に従って椅子に座る。向かいにある椅子に恵慈さんも座り、私の方を向く。工藤さん達は恵慈さんの後ろに待機している。
「…百目、よろしくね。」
恵慈さんは小さく呟き、両目を開き私を見た。
一般の人には見えないし感じないのだろうけど、陰陽師である私には恵慈さんの瞳から放たれる力を感じることができる。その力は私の内にある力の流れに乗るように巡っている感覚がある。おそらく力に乗じて百目が私の力を解析しているのだろう。痛みや気持ち悪さはないが、どことなくくすぐったい感じである。
10分ほど経って、百目の力がなくなったと感じたあと、恵慈さんが話を切り出した。
「はい。これでおしまい。ありがとう。工藤さんたちももう大丈夫ですよ。ちょっと食堂とかで休憩してていいですよ。ありがとうございました。」
「はい。わかりました。ありがとうございます。」
工藤さん達は恵慈さんに言われた通り、部屋を後にした。
「未来さんはちょっと残っててね。ここで話をしちゃうから。」
「あ、はい。わかりました。」
工藤さん達3人の力を借りたからか、昨日のように力を使い果たしたという感じでもなく涼しい顔をしている。やはり、力さえあれば恵慈さんは偉大な陰陽師となれたのだろう。だが、今の状況を悲観せず、出来ることをできるだけこなしているのは素直にすごいことだと感じた。
「さて。じゃあ早速解析の結果を教えるね。まず、未来さんの陰陽師としての才能は申し分ないね。力の潜在量もトップクラスだね。それで、やっぱり思った通り、力に対する感受性がずば抜けて高いね。ここでいう力は陰陽師としての力もあるし、妖力のことでもあるし、常世に関係する力全てのことね。」
おお!やっぱり感受性は高かったんだ!?
「なるほど。それはよかったです!」
「うん、将来有望だね。この感受性は術式とか改良とかにも相性がいいから師匠譲りってとこかな?回復術式に関しても副隊長の娘だから適性はあるだろうね。」
そっか。お父さんお母さんの2人のいいところ受け継げたんだ。よかった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
長老へは夕飯を奢ってもらうという罰則を与えるようですね!
たらふく食べてください!
そして、未来の適性を恵慈さんに見てもらいました!
感受性については言われていた通りという感じですね!
次回も新しい発見があるでしょうか!?
次回は10/4朝アップします!!




