第五十四話 〜賀茂忠志と言う人物〜
おはようございます!!
前回、長老から教えてもらった、賀茂忠志と言う人物。
今回はその人物について掘り下げていきます。
実際の人物としてはまだ登場しないですが、その人となりを長老やアジさんから聞き出しましょう!
今回もお楽しみください!!
バトルジャンキー……。
常に強者とのバトルを追い求め、強さを手にするために日々修行に励む者であり、好んで死地に赴く者である。
なんとなく言葉の意味はわかる。けど、それが実際にどれだけやばいのかは見当がつかない。
「今週末にでも来てもらうから、実際に会ってみればわかるよ。」
長老はなんだか少し疲れ気味に話した。
「僕なんか弱いから相手にされないよ。まあ、そのおかげで少し仲良くなったけどね。」
なるほど。恵慈さんは陰陽師としての力がなくて実戦では弱い部類らしいから、賀茂さんのお眼鏡にかからないのか。お父さんと長老は強者として認められているからきっと戦いを申し込まれたりするのかな?
「恭弥はいいよなー!アイツ所かまわず狙ってくるから気が気じゃないんだよ!」
お父さんは大変そうだった。
「そういえば、お母さんも副隊長やってるくらいだから強いよ……ね……?」
お母さんの方を見ると誰よりも項垂れていた。さっきまでは都合よく考えないようにしていたのか、私が話をふったあたりから項垂れていたみたいだ。
「お願い、アイツの話はお母さんにしないで……。」
お、お母さん……?
「……まあ、そう言うことだからちょっとそっとしておいてやってくれ。そのうち忘れて戻ってくるから。」
「え!?うん、とりあえず、わかった。」
とりあえずわかったと返事をし、小声でお父さんに耳打ちをする。そう言うことってどう言うことだ?
「…一体何があったの?」
お父さんも小声で返答してくれる。
「ものすごい勢いで求愛されてるんだよ。」
「……!?え!?」
お父さんの言葉に思わず大きな声で驚いてしまった。
「しー!!声大きい!!」
「……あ!?ごめん。なんでお父さんはそんなに余裕なの?」
「アイツにお母さん取られることは絶対ないし。お母さんも実際嫌がっているからな。」
それは自信があるようですね。
「んー、まあ、この感じ見てると確かにありえないのはわかるね。」
「そんな感じだ。」
「了解。」
そんな感じで、お母さんの前では基本的に賀茂さんの話はタブーのようだった。今お母さんは精神統一をしているようで、こちらの声は何も聞こえていないっぽい。
「ちなみにですけど、現在契約を確認している人の中で、妖怪との契約数は忠志くんが1番多いんだよ。」
恵慈さんが補足で説明してくれた。
「あ、そういえば、1人の陰陽師で3体の妖怪と契約できている人がいるって聞きましたね。賀茂さんが最多なんですね!?それはそれで気になりますね。」
以前聞いていた契約数No.1。聞いた時からどんな人なのかは気になっていた。
「まあ、今度会えるから話を聞いてなみたらいいんじゃないかな?素直に話してくれるかどうかはわからないけど。」
「いや、私はまだ陰陽師なりたてなので、実戦とかはできませんよ!?」
周りから才能があると言われて自惚れているわけではないけど、戦うのは無理だ!
「流石に、未来さんに戦いを挑んだりはしないと思うし、普通の人に対しては案外常識的だから大丈夫だよ。」
恵慈さんは私の心配を笑いながら払拭してくれた。
「ほ。それなら良かった。会った時に話できたらいいな!…あ!それで、なんで賀茂さんに頼むしかないんですか?」
最初の話だと、移動に関しては賀茂さんに頼むしかないみたいな話だったと思うけど、契約妖怪に移動に関して有利な能力を持っている妖怪がいるのだろうか。
「それに関しては俺から話そう。」
長老が私の疑問に返答してくれるようである。
「まず、個人情報になるから他言無用で頼む。賀茂からは一応、了承は得ているが、なるべく教えないようにしているのでな。賀茂は『自分の能力がバレていて自分は相手の能力がわからない。そんな不利な状況燃えるぜ!』とか言っていたが、あいつは馬鹿だからな。」
そんなことを考える人なんだ!?それでも、よく元気でいるな。むしろ、すごい人なのかもしれない。
「まあ、とにかくだ、さっき恵慈が話したように、賀茂には3体の契約妖怪がいる。そのうちの1体の妖怪の力を借りようと思っている。」
やっぱり妖怪の力を借りるんだ!?移動に役立つ力を持った妖怪ってことだろうか?
「その妖怪は『雲外鏡』。鏡の妖怪だ。本来は化けた妖怪なんかの正体を暴いたりする能力を持っているが、契約して強化された雲外鏡は鏡の世界を保有しているんだ。」
鏡の世界?
「まあ、簡単に言えば、異空間を持っている。ということだな。それで、その異空間に運び出す荷物を全部収納して引越しをする。」
「ああ、なるほど!」
異空間を持っているってすごい便利な能力だな。
「そして雲外鏡と賀茂の登録した鏡からはどれだけ離れていようと出入りが可能だ。ほんとのチート能力だな。」
「本当になんてことだ……!?」
チートすぎる!?●次元ポケットを持っててさらにはルー●を使えるだと!?羨ましすぎる。
「そう。それで、東京の荷物を入れて群馬支部に運び込みを行ってもらおう。という訳だな。」
なるほど、ほんと便利な能力の有効活用って感じがするなー。
「でも、聞いた感じ、素直に言うこと聞いてくれる人ではなさそうですけど、大丈夫なんですか?それに、歩き回っているって言ってたし、今どこにいるかとかもわかっているんですか?」
色々疑問は残る。そんな自由奔放な人が、はい、わかりました、と引き受けてくれるのだろうか。
「場所に関しては問題ない。ウチには登録妖怪が今現在どこにいるかわかる仕組みがあるのでな。」
そんな仕組みがあるんだ!?それなら問題ないか。
「もう一つ、言うことを聞かせる手段は…仕方がないな……。
俺との試合を提示するかな。」
実は現代の陰陽師で最強と言われているのは、長老である。それだけの強さがあったから大臣まで登り詰めたと言っても過言ではない。そして、賀茂からの挑戦依頼にはいつもうまいことはぐらかしたり、逃げたりすることで避けてきていたみたいだ。そんな長老と試合ができると知れば、必ず乗ってくるはずだと思っているみたいだ。長老との試合ができるようであれば、引越しの手伝いなんて些細なことだろう。
「いいんですか?そんなことを言っちゃって。」
恵慈さんは長老を心配するように話しかけた。
「ん?ああ。何かないと手伝いなんてするやつじゃねーだろ?一回試合するだけだからな。やってやってもいいだろう。普段は面倒だからあしらってたけどな。」
普段はあしらっていたんだ…。でも、こればっかりはどうしても首を縦に振ってもらわなきゃ困るってことなのだろう。
「忠志くんの強さ知ってますよね?一筋縄では行かないですよ?きっともっと強くなっているでしょうし。」
恵慈さんは長老の心配をしている。賀茂さんは契約数が多いだけあって実力も高いみたいだ。
「いいじゃねーか!成長をこの身に受けて感じてやるよ!それに、俺も最近は鈍ってるからな。いいリハビリになると思うんだよな!」
「まあ、そこまで言うなら止めないですけど…。」
長老は特にビビる様子もなく、賀茂さんの成長を見られると少し嬉しそうでもある。
「恭弥。問題ないよ。腐っても長老だからな。俺たちは長老の強さも知っているだろ??」
お父さんが心配性の恵慈さんを諭すように言った。お父さんは長老が負けることはないと確信しているみたいだ。お父さんがそこまで言うほど長老って強いのかな?前に空亡もただ者ではないとも言っていたし、気になるな。
「ガッハッハ!まあ、見とけ見とけ!」
「長老の戦いも久しぶりに見るなー!楽しみだな!模擬戦ってことですよね?」
「もちろん!本気の戦いはちゃんとその時になったらだな!」
「ちょっといいですか??」
私は今の話で気になったことが出てきたので、質問をしてみることにした。
「おう、なんだ?」
「模擬戦とか言ってますけど、戦う場所とかってどこなんですか?妖怪の戦いって結構荒っぽいし、普通の場所でもできそうにないし、特別な場所みたいのがあるんですか?」
私は公衆の面前でドンパチするのはいかがなものかと思った。それでも、普通に模擬戦という話が出てくるのは、どこか特別な場所があるのかと疑問に思った。
「あー、確かにそうなるわな。実は陰陽省保有の訓練場があるんだよ。各地方に訓練場は設けてあるから、そこを使って模擬戦をすることになるな!」
長老は私の疑問に答えてくれた。
「なるほどー!群馬にもあるんですか?」
「あるよ。支部の近くにあるんだけど、明日そこも紹介するよ。」
と、恵慈さんが返答してくれた。自分も、訓練に使用できるなら願ったり叶ったりだ。そして、その場所で模擬戦が行われるらしい。陰陽師同士の模擬戦や妖怪たちの模擬戦それだけでなく、行事なんかも訓練場を使用するらしく、多目的に使用できる場所のようだ。中は大きな体育館のようなものをイメージしたらいいらしい。多少壊したところで長老が居れば問題はない。
「ありがとうございます!明日も楽しみだな!」
「いいね!未来ちゃん!明日からも頑張っていこう!とりあえず、今日は前夜祭的として飲もうか!?」
長老は飲みたいがために来たのではないかと思うほど、用意周到だった。後ろから何か取り出したかと思ったら、お酒がいっぱい入った袋だった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
賀茂忠志と言う人物像はなんとなく理解してくれたでしょうか!?
今後の物語で色々かき乱してくれるのではないかと思います!!
ご期待ください!!
次回は9/28朝にアップします!!




